イランが世界最大のLNG基地を攻撃。LNG問題は原油より深刻
みなさん、こんにちは。
現在、日本のLNG(液化天然ガス)輸入の割合がもっとも多いのは、豪州の約40%。次いでマレーシアの15%、ロシアの9%、米国の7%と続きます。中東からの輸入量はカタール・オマーン・UAEを合わせて約10%です。
日本がカタールから直接調達しているLNGは決して多くありませんが、世界の生産量の約20%を占めるカタール産LNGが突如消えるインパクトは甚大です。
そのカタールが攻撃されました。
イランは3月18日(水)、カタールの巨大産業複合施設「ラスラファン」に弾道ミサイル5発を発射しました。4発は迎撃されましたが、1発が着弾し大規模な火災が発生。カタール国営エネルギー会社カタールエナジーは「緊急チームを即座に派遣し消火活動中だが、甚大な被害が生じた」と発表しました。
この攻撃は、イスラエルが同日早朝にイランの「サウスパルス天然ガス田」を攻撃したことへの報復です。サウスパルスは世界最大のガス田であり、イランの国内エネルギー供給の根幹をなす施設。2月28日(土)の戦争開始以来、イランのエネルギー生産施設への攻撃は今回が初めてとなります。
カタールは世界第2位のLNG輸出国であり、アジアへの最大の供給国でもあります。
イランの革命防衛隊はさらなる攻撃を予告しており、その後実際に周辺各国へ被害が拡大しています。
トランプ米大統領は「戦争は長期化しない」とコメントしていますが、戦争が終わってもエネルギー市場の回復には時間がかかるとの見方が強まっています。
米ドル/円は口先介入や単独介入の可能性もあり、高値追いの買いは禁物だが、円安は継続しそう。162円に向けて丁寧に押し目買い
この攻撃を受け、多くのメディアが一斉にエネルギー市場への衝撃を報道しています。
「戦争が終わっても、修復作業中は供給への影響が数カ月から数年続く可能性がある」——MST・フィナンシャルのエネルギーアナリスト、サウル・カボニック氏
「ラスラファンのLNG生産能力が損傷を受けたなら、世界のガス需給は一段と逼迫する」——ウッド・マッケンジー欧州ガス・LNG部門長、トム・マルゼク=マンサー氏
(出典:FT(フィナンシャル・タイムズ))
為替市場への影響は以下のとおりです。
米国はエネルギー自給国であることに加え、安全資産としての需要も高く、米ドルは独り勝ちの状態が続いています。
一方、日本はエネルギー輸入大国で、低金利なことを背景に、円は売られやすい状況。
その結果、米ドル/円は一時159.87円と、160.00円ブレイク目前まで上昇しています。
この局面では当局による大規模介入は難しいとみられますが、口先介入や単独介入の可能性はあるため、高値追いの買いは禁物です。
もっとも、戦争が終わってもエネルギー市場の回復には時間がかかるとの見方から、円安は継続しそう。162円に向けて丁寧に押し目買いを継続したいところです。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
豪ドル/円は120円へ続伸の可能性高い! 天然ガス輸出国として競争力が上昇し、年末までの追加利上げが織り込まれつつある
もう1つの注目通貨は、豪ドル/円です。
資源国として天然ガスの輸出競争力が上昇しており、これが豪ドルのサポート要因となっています。
加えて、3月17日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])はコンセンサスどおり、0.25%の利上げを発表。政策金利は4.10%となりました。
5対4という僅差の票決が象徴するように、今回の利上げは決して一枚岩の判断ではありませんでしたが、原油高によるコストプッシュ型インフレを重視するタカ派が辛うじて上回った格好です。
今後のRBAの政策金利について、金利先物市場では年末(12月末)までに4.50%への利上げが織り込まれています。
天然ガス輸出国であること、そして年末までの追加利上げが織り込まれつつあることを背景に、豪ドル/円は一時113.96円まで上昇しています。
そもそも豪ドル/米ドルや豪ドル/円はイラン戦争前から続伸しており、中東情勢の悪化によるエネルギー価格の上昇がさらに豪ドル買いを加速させています。豪ドル/円は120円レベルまで続伸する可能性が高まっています。

(出所:TradingView)
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