■為替マーケットの3つのテーマを再確認
みなさん、こんにちは。
まず、過去2週に続き、今回も為替マーケットのテーマを再確認してみます。
【参考記事】
●材木相場、暗号資産が調整局面入り…。株の下落誘引なら、リスクオフ要警戒!(5月20日、西原宏一)
●次にテーパリングに動くのは米国なのか?材木相場続伸で、カナダドル/円は95円目標(5月13日、西原宏一)
現在は、下記の3つの要素が交互にテーマとなり、為替市場は方向を探っているといえます。
(1)BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])に続きテーパリング(※)に踏み切るところはどこだ?
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(2)商品市場の活況で利するところはどこだ?
(3)新型コロナウイルスのワクチン供給がうまくいっているところはどこだ?
今週(5月24日~)動きがあったのが、(1)のテーパリングについて。
テーパリングの流れを整理すると、4月21日(水)にBOCがテーパリングに動きます。次に、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])が5月6日(木)に事実上のテーパリングを示唆。
【参考記事】
●木材や鉄鉱石の急騰で、資源国通貨買い!豪ドル/円は直近高値上抜けで90円視野に(5月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
●テーパリングに着手したカナダ。カナダドルは全面高! 次は、米国やオセアニア?(4月22日、西原宏一)
そして、テーパリングに動くと当該通貨は大きく値を上げるため、テーパリングに関する報道に注目が集まるわけです。
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■RBNZが、テーパリングに一歩前進
このような中、今週(5月24日~)、26日(水)にRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が動きます。
5月26日(水)の金融政策決定会合で、RBNZは政策金利を過去最低の0.25%に据え置くことを決定しました。
次に、LSAP(大規模資産買い入れ)の規模は、1000億ニュージーランドドル(約7兆9300億円)のまま維持。
しかし、RBNZは声明文から「必要とあれば利下げ」との文言を削除したことに加え、2022年9月の利上げを示唆。
これにより、ニュージーランドの10年債利回りは、一時1.90%に乗せ、2.00%に迫る急騰となりました。
(出所:TradingView)
呼応し、ニュージーランドドル/米ドルは0.7316ドル、ニュージーランドドル/円は79.63円まで急騰。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
BOCに続くところは、米国ではないかという見方も多かったわけですが、RBNZがサプライズで金融緩和縮小に向けて一歩先んじた展開。
このコラムで何度かご紹介させていただいたとおり、ニュージーランドは豪州とトラベルバブルを締結しており、ポストコロナに関し他の主要国より一歩進んでいます。
【参考記事】
●早晩、ドル/円の調整は終わる可能性高い。108円台ミドルレベルは、買いの好機!(4月15日、西原宏一)
しかし、ニュージーランド政府は過去1年の不動産価格の高騰に対し、年明けより融資の総量規制を開始したことから、RBNZも金融緩和縮小に対しては動かない可能性もあるのではないかとの見方もありました。
ところが、そうした見方とは裏腹に、5月26日(水)にRBNZが動いたことで、ニュージーランドドルが急騰。
4月にBOCがテーパリングに動いたことで、カナダドルが急騰したことは記憶に新しいため、今回のRBNZの発表後のニュージーランドドルの上昇は、マーケットの当然の反応といえます。
■ニュージーランドドルをロング、対する通貨は?
ただ、ニュージーランドドルをロングにするのに、対象通貨を何にするかは適切に判断する必要があります。
なぜなら、マーケットは、次にテーパリングに動くのはどこになるのか注目しているからです。
テーパリングからもっとも遠いと考えられているのは日本(円)なので、ニュージーランドドル/円は上値余地が拡大していると想定します。
【参考記事】
●次にテーパリングに動くのは米国なのか?材木相場続伸で、カナダドル/円は95円目標(5月13日、西原宏一)
一方、このところECB当局者から、テーパリングに関して否定的な意見も報道されているユーロに対しても、ニュージーランドドルは値を上げています。
そして、同じオセアニア通貨でも、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が金融緩和縮小に対して慎重な姿勢を崩さないため、豪ドル/NZドルのショートもワークすると想定します。
(出所:TradingView)
しかし、ニュージーランドドルが対米ドルで上昇が続くのかは懐疑的。
なぜなら、RBNZの次にテーパリングに動くのは、米国ではないかとの意見も多いためです。
今後、米国のテーパリングのウワサが出れば、当然、マーケットは米ドル高に振れるため、ニュージーランド/米ドルの上値は限られるからです。
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■ニュージーランドドル/円は85円へ上昇再開
個人的な注目は、ニュージーランドドル/円のロング、もしくはユーロ/ニュージーランドドルのショート、加えて、豪ドル/ニュージーランドドルのショートです。
以下は、ニュージーランドドル/円の日足です。
(出所:TradingView)
ニュージーランドドル/円は、昨年(2020年)3月19日(金)に59.91円という安値をつけた後、急反発。
その後、早期に新型コロナウイルス感染者がゼロに達したことや、豪州とのトラベルバブルを締結したことなどから、一貫して上昇。
79円台ミドルで3度ほど上値を押さえられていますが、今回、RBNZが2022年9月の利上げを示唆したことから、仮に80円を上抜ければ85円へと上値余地が拡大します。
(出所:TradingView)
今回のRBNZの判断に関して、モルガン・スタンレーが「グレート・フォーキッシュ・シフト」と称するほど、注目が高まっています。
85円へと上昇を再開した、ニュージーランドドル/円の動向に注目です。
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