パウエル議長はオミクロン株よりもインフレを懸念。2期目はタカ派な金融政策になりやすい
金融市場はオミクロン株の影響でリスク回避となっていますが、11月30日(火)にFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が議会証言で「インフレは一時的」という表現をやめる時期にきたことを示唆しました。さらに、12月14日~15日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)で「テーパリング(※)を加速させることの議論は適切」とも発言しました。
(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
パウエルFRB議長は、11月30日の議会証言でインフレは一時的という表現をやめる時期にきたことを示唆。さらに、12月14日~15日に開催されるFOMCでテーパリングの加速させることについても言及した (C)Bloomberg/GettyImages
新型コロナウイルスの新たな変異種オミクロン株の感染が拡大しているため、インフレ対策は後退するかと市場参加者も予想していましたが、パウエル議長はインフレの方を懸念しているようです。
そのためオミクロン株でのリスク回避や、米国の金融政策が転換することもあり、株式市場は売る材料が重なって軟調な推移となり、為替市場は米ドル高に推移しました。
(出所:TradingView)
バイデン大統領もインフレ対策を最優先課題としており、パウエル議長の2期目はタカ派な金融政策になりやすいことになります。
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今週発表の米CPIが高い数字となれば、FOMCでのテーパリング加速予想が確実なものに
今週(12月6日~)10日は、米国のCPI(消費者物価指数)が発表されます。
前回は6.2%上昇と、31年ぶりの高い水準となりました。
そして今回の予想値は6.8%上昇となっており、前回よりもさらに高い数字が予想されています。
来週(12月13日~)、14日~15日に開催されるFOMCでは、すでにテーパリングの加速が予想されていますが、今週(12月6日~)発表されるCPIが高い数字となれば、その予想はほぼ確実なものになるのではないかと思います。
利上げ予想も、来年(2022年)初旬の予想が増えてきており、これは米ドル高の材料になります。
ただ、米長期金利はオミクロン株の影響もあり、12月3日(金)には1.33%台まで低下しました。
長期的には上昇すると思いますが、目先は軟調な動きが続いています。
(出所:TradingView)
米ドル円と米長期金利の相関性は高いため、米ドル/円も112.50~113.60円での推移が続いていますが、米長期金利の上昇が始まれば、米ドル/円も上昇し始めると思います。
(出所:TradingView)
米ドル高トレンドは、まだ止まる雰囲気なし。FOMCを控え、トレンドについていく方が良い
為替市場は米ドル高トレンドが継続しており、まだ止まる雰囲気がなく、ファンダメンタルズとしてもFRBの金融政策の転換が材料となって、米ドル買い方向でトレードする方がいいように考えています。
ただポジションの巻き戻しも同時に出ているため、これまで円売りやユーロ売りに偏っていたことから、その巻き戻しで米ドル/円やユーロ/米ドルに関しては米ドル高トレンドとはなっていません。
豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルや英ポンド/米ドルなどでは、米ドル高トレンドが継続しており、まだこれが継続すると考えて、米ドル買いがいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは、リスク回避のときにユーロの買い戻しが出ることで下降トレンドは止まっていますが、1.1180~1.1380ドルのレンジで推移しています。
大きな動きを見直すと、1.1500ドルを下抜けてからは下げが加速したこともあり、重要な節目だったことになります。
ユーロもポジションの偏りがなくなれば、リスク回避のときでも対米ドルでは下がる動きになると思います。
1.1380ドルがレジスタンスとなっており、さらに1.1500ドルはかなり強いレジスタンスになります。
ユーロ/米ドルの下降トレンドは止まっていますが、こちらも米ドル買いでいいのではないかと思います。
(出所:TradingView)
米ドル/円はまだもみ合いですが、来週(12月13日~)にFOMCを控えていることもあり、トレンドは反転を予測するよりもトレンドについていく方がいいため、他のドルストレートは米ドル買いのトレードがいいのではないかと考えています。
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