財務省がついに動いた!?1週間で10兆円以上の為替介入を実施か?
介入警戒感が強まる中、なかなか動かなかった財務省がついに動いたようです。おそらく、この1週間で、2回の米ドル売り・円買い介入を実施した模様。
1回目は4月29日の月曜日。東京市場が休場の薄いマーケットの中で介入をしました。その直前に米ドル/円が急騰し一時160円をつけた後のことでした。
(出所:TradingView)
介入の規模ですが、日銀の当座預金残高の変化から、5兆円を超える金額だったようです。さらに、今日(5月2日)の未明、FOMC(米連邦公開市場委員会)が終わったNYの午後に再び介入を実施したようです。
米ドル/円は157円台半ばから153円まで下げましたので、やはり月曜日と同じ程度の金額ではなかったかと推測できます。
そうなると、合計で10兆円以上の介入ということになります。金額もすごいですが、東京市場休場の薄いときや、FOMCが終わって、みんなが油断しているときに実施するなど、なりふり構わずやってきているという印象です。
(出所:TradingView)
★ザイFX!と、今井雅人氏がタッグを組んで為替情報を配信する「ザイFX!プレミアム配信 with 今井雅人」では、実践的な売買アドバイスをメルマガで配信! メルマガ登録後10日間無料です。
介入資金(米ドル資金)には限りがある。今後の巨額介入は難しくなってくるか?
それでは、今後はどうなっていくのでしょうか。
為替介入は、基本的に外貨準備を使って行われます。日本の外貨準備高ですが、2024年1月時点で、約1兆2918億ドル(円で約200兆円)あります。その中で外貨は1兆1562億ドル(約180兆円)ですが、米国などの証券で保有しているのが1兆ドル(約156兆円)、預金が1550億ドル(約24兆円)です。
この預金を取り崩して介入資金に充てるのだと思われます。ですから、10兆円すでに使ったのだとすれば、残りは14兆円足らずになる計算です。
この残高以上の介入を実施しようとした場合は、米国債などの証券を売って米ドル資金を確保する必要がでてきます。ただ、米国政府は日本に米国債を売却されるのには難色を示す可能性があるのではないかと考えられます。米国の長期金利の動向に影響を与えるからです。
そう考えると、今後、今週(4月29日~)のような巨額の介入を実施するのは難しくなってくるのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
2022年の介入も、9月22日に2兆8000億円、10月21日に5兆6000億円、10月24日に7000億円の介入を実施していますが、その合計は9兆1000億円です。これを1つの目安として考えてみるといいかもしれません。
★ザイFX!と、今井雅人氏がタッグを組んで為替情報を配信する「ザイFX!プレミアム配信 with 今井雅人」では、実践的な売買アドバイスをメルマガで配信! メルマガ登録後10日間無料です。
米ドル/円の上昇傾向は変わらないがじり高にシフト
さて、資金が有限であるため、徐々に介入がやりづらくなっていく状況の中、円相場はどう推移していくでしょうか。
先日、日銀の植田総裁は改めて、「今後も緩和的な政策を継続していく」ことを強調していました。また、現在の円安についても、「物価に悪影響を及ぼすほどのものではない」とさほど気にしていないという姿勢を見せました。
一方の米国ですが、本日(5月2日)の未明に行われたFOMCでは、インフレの高止まりに懸念が示されました。
日米金利差は依然として縮まらない見通しの中で、米ドル/円の上昇傾向は変わらないと考えています。
ただし、10兆円に相当する米ドル売りが市場に放出されたのは事実で、それはマーケットの需給を一時的にゆがませた可能性はあり、そう考えると一気に160円に再突入というよりは、今後はじり高の展開になるのではないかと予想しています。
(出所:TradingView)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)