トランプ発言に振り回されるマーケットが続く
8年前、トランプ米大統領の一期目のとき、猫の目のように変わる彼の言動に振りまわされ、非常に苦労したときのことを鮮明に覚えており、今回も同じような状況になることを懸念していましたが、その懸念が現実となっています。

トランプ大統領の発言にマーケットは振り回されている (C)Mark Wilson/Getty Images
トランプ米大統領は今週(3月2日~)、「自国通貨を安くしている中国や日本に対して関税を掛ける」という発言をし、円安を牽制しました。この発言を受けて、急激に円高が進みました。
これで、円高のトレンドが始まるかと思われましたが、トランプ政権がカナダや中国に対する関税の発動を延期するという報道が出ると、一気に巻き戻しが起きました。
連日、このような、出しては引っ込めるというトランプ米大統領の手法にマーケットが振り回されています。やはり、トランプ米大統領は関税を各国との取引の武器として利用しているふしがありますので、今後もこのようなことが続くことを覚悟しておかなければいけません。
当面は上下動を繰り返すかなり難しい相場展開が続くという前提でトレードに臨む必要があります。

(出所:TradingiView)
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中期的には円高リスクがかなり残っている
一方、中期的に考えると、まだ円高リスクはかなり残っていると思います。トランプ米大統領の経済政策を受けて、米国経済がスタグフレーションに陥るとの予想が増えてきました。
ウォールストリート・ジャーナルなどでも連日そうした報道が見受けられるようになってきました。スタグフレーションはリスクオフの流れを起こし、その結果、為替市場では円高が進むという展開が一番想定しやすいシナリオです。
米ドル/円の週足のチャートを見ても、次の大きなチャートポイントは140円程度です。

(出所:TradingiView)
トランプ米大統領の政策はころころ変化するので、非常に不確定的ではありますが、中長期的には米ドル/円は下落トレンドに入る可能性は比較的高いと考えています。
ただ、繰り返しになりますが、当面はトランプ大統領の発言等に振り回され、乱高下する展開が続くことを頭に入れておく必要があります。
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米雇用統計の反応は通常よりも鈍くなるか
ちなみに、本日は米国の雇用統計が発表されます。予想は失業率4.0%、NFP(非農業部門就業者数)は前月比16万人の増加、平均時給は前月比プラス0.3%となっています。
FRB(米連邦準備精度理事会)の金融政策に影響を与える重要な経済指標ですので、注目度は通常は高いのですが、トランプ米大統領の発言に振り回されていますので、通常時よりは反応は鈍くなってくるのではないかと予想しています。

(出所:TradingiView)
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