2週間のイラン停戦合意で原油安、米ドル安へ
みなさん、こんにちは。
ホルムズ海峡開放の合意期限が日本時間4月8日(水)午前9時に迫り、多くのマーケット参加者が緊張感を高めているその2時間前、「パキスタンのシャリフ首相が2週間の停戦を米国とイランに求め、トランプ大統領、イラン側ともに受け入れた」との報道で、マーケットは一時パニック状態へ。
為替に限らず、すべてのマーケットはいったん逆流してリスクオンに。WTI原油先物は1バレル=110ドル前後から一気に90ドル台前半まで急落し、株は反発、米ドルは下落。一時米ドル/円が157.87円、ユーロ/米ドルが1.1722ドルまで米ドルが反落しています。
イラン戦争勃発から4月8日(水)の停戦までの、主要通貨の対米ドル騰落率を見ると、すべての主要通貨に対して米ドル高が進んでいます。

これは一部で「米ドルが唯一避難通貨として魅力的だったため、円はもとより、スイスフランではなく、米ドルのみが買われた」という解説がされています。
ただ、今回のイラン戦争というリスクオフ局面でも米ドルが買われたのは、金(ゴールド)が利益確定で急反落したためだと考えています。
戦争勃発後、株の急落を横目に、大きく利益が乗っていた金を利益確定した参加者が多数。 同様に、昨年後半からショートにしていた米ドルも買い戻し。
そのため戦争勃発後、金売り、米ドル買いになったわけであり、金が避難資産でなくなったわけでも、米ドルが唯一の避難通貨として輝いたわけでもないと想定しています。
それが、対米ドル騰落率にあらわれています。たとえば戦争勃発後、米ドルはユーロに対して1.84%上昇。
これは戦争勃発後の原油の暴騰や、株の急落と比較するとわずかな上昇であり、一斉に米ドルが買い進まれたわけではありません。
それでは次に、この米ドルの動きをもう一度チェックするために、ユーロ/米ドル、そして米ドル/円の動きを見てみましょう。
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ユーロ/米ドルでの米ドル高はイラン戦争勃発後、わずか400pips程度。戦争終結、米ドル弱気論復活で1.2200ドル超えのシナリオへ
ユーロ/米ドルの日足から見ると、イラン戦争勃発後、1.1795ドルから1.1411ドルまで400pips弱急落しました。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
米ドルが買われたものの、原油や株の変動と比較すると、避難通貨として唯一の魅力があり、米ドルが急騰(ユーロが下落)したわけではありません。
これは、これまでのリーマン・ショックやコロナ時に米ドルが急騰したシーンと大きく相違します。
リスクオフの局面では通常、多くの参加者が株などのリスクアセットから、とりあえず現金である米ドルに資金をいっせいに戻すため、米ドルは大きな値幅を持って暴騰します。
ただ、今回はユーロ/米ドルでもわずか400pips程度の米ドル上昇であり、3月13日(金)に安値をつけてから、ユーロ/ドルが反発し始めています。
3月13日(金)に停戦の話題などの報道はありませんでしたが、それでも米ドルが下がり始めたことに、多くの参加者は驚きをもって見ているといったところ。
今回の停戦報道で中長期の米ドルの弱さ、言い換えれば米ドル離脱の動きを再確認したとレポートするエコノミストも多数。
短期的には、停戦交渉が再び暗礁に乗り上げ戦争継続となれば、ユーロ/米ドルも再び節目の1.1400割れを目指し下落する可能性もあります。
しかし、今回のイラン戦争の件で、中間選挙に向けて支持率を落としているトランプ米大統領としては、4月中にこの戦争終結の目処を立てたいところ。5月には米中首脳会談も控えています。
こうした環境下、可能性としては徐々に戦争終結、そして財政・債務問題を背景にした長期的な米ドル弱気論が復活し、米ドル安に向かう可能性が高いとみています。
その場合は、年初のマーケットのコンセンサスだったユーロ/米ドルの1.2200ドル超えというシナリオが復活するのでしょう。
【※関連記事はこちら!】
⇒ユーロ/米ドルは1.22ドルに向けてじり高か。「トランプが世界経済の秩序を消し去っている」対主要通貨で米ドル安継続へ。米ドル/円は米ドル買い需要もあるが介入次第(1月22日、西原宏一)

(出所:TradingView)
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ユーロ/円は190円に向けて押し目買い継続。米ドル/円は介入警戒感も高いが、160円超えを目指し底堅いまま
それでは、米ドル円はどうでしょうか。米ドル/円はイラン戦争勃発後、総じて156〜160円のレンジで神経質に推移しています。

(出所:TradingView)
原油の大半をホルムズ海峡経由で輸入している日本は、戦争継続で原油が高騰すれば円安圧力が高まり、165円に向けて上昇すると想定しています。
一方、イラン戦争が停戦に向けて進んだとしても、原油が60〜65ドルに戻るのは難しい。戦争中に多くの工場や施設が破壊されており、その回復には半年から数年かかると言われているからです。
そもそもイラン戦争前から、米ドル/円は160円超えを目指して155〜160円の米ドル高値圏で乱高下していたわけですので、表面上は大きく変わりません。
ただ、原油高が純原油輸入国の通貨である円への売り圧力を、さらに高めたことは確か。
160円は介入警戒感も高いためなかなか超えませんが、米ドル/円は底堅いままです。
その結果、本コラムで強気スタンスのユーロ/円の上昇トレンドは変わらず。190円に向けて、ユーロ/円の押し目買い継続する方針です。

(出所:TradingView)
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