米ドル/円は158円台から一時156円台へ反落! 日銀は金利据え置きもタカ派姿勢、米国株はAI懸念で下落
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(10月26日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 週前半は半導体株が急反発して戻りを試しましたが、後半はビッグテックの決算でAI投資の収益化への懸念が再燃しました。
週間ではS&P500が0.6%安、ナスダック総合指数が2.0%安で、ともに3週続落となりました。3週連続の下落は3月以来です。NYダウは0.9%安と3週連続のプラスが途切れました。一方、小型株のラッセル2000は+1.3%と堅調でした。
ナスダック100は10月だけで時価総額が約2兆ドル減少しています。半導体株指数SOXも週間で0.8%安と4週続落となりました。
週初からの3営業日で、注目の半導体株指数SOXは8%強上昇しました。
SKハイニックスが過去最高益を発表したことや、アンソロピック向けのAI半導体などの調達を支援する630億ドル規模の融資案件が発表されたことが好感されました。
28日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が想定どおり政策金利を据え置いたことも追い風になりました。
流れが変わったのは29日(木)。アルファベットが売上高の予想未達で急落し、AI投資に見合う収益を上げられるのかとの懸念が広がりました。
引け後に発表されたアマゾンとインテルの決算も失望を誘いました。特にインテルは第4四半期の売上高予想が市場予想の約171億ドルを大きく下回りました。
そして、30日(金)の米国株は全面安でした。S&P500は1.8%安と6月以来の大幅な下落率、ナスダック総合指数は2.9%安、NYダウは1.1%安で、半導体株指数SOXは7%超の大幅下落となりました。
日経平均もハイテク株中心に乱高下しましたが、週間では596.95円高(0.95%高)と3週ぶりに反発しました。ただ、30日(金)の米国株の動きは反映していません。
27日(火)から3日続伸して合計2500円弱上昇し、29日(木)には6万5000円手前まで戻しました。
しかし、30日(金)には2%超の下落。アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、イビデンの4銘柄で1100円あまり日経平均を押し下げました。10月は月間で3463円(5.19%)の下落でした。
TOPIXは週間で0.02%安、ほぼ横ばいながら3週連続安となっています。
個別銘柄では決算を受けた値動きが大きく、オリエンタルランド、コナミグループ、信越ポリマーは好決算を受けて大幅高となりました。
一方、富士通、栗田工、イビデンはストップ安となりました。イビデンは、主要顧客であるインテルの決算を受けた連想売りに押されました。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週は日米欧の中央銀行イベントが続く1週間でしたが、結果は3つとも据え置きでした。
米ドル/円は週前半、強い米経済指標と原油高、株高を背景に、28日(水)に158.35円まで上昇しました。
ただ、同日のFOMCは予想どおりの据え置きで、ウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見でも次の利上げについてはっきりしたシグナルは出ませんでした。そのため、米ドル/円は一時157円台に押し戻されました。
30日(金)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)では、政策金利が1.25%に据え置かれました。ただし、採決は8対1で、高田委員が利上げを主張しています。
さらに、展望レポートでは物価見通しが上方修正されました。植田総裁も12月を含めて会合ごとに判断する姿勢を示し、利上げを否定しませんでした。結果としては「据え置きでもタカ派」の内容と言えます。
発表直後に157.10円台まで円買いが進み、NY市場では一時156円台まで下落しました。結局、157円台を中心としたもみ合いで1週間を終えています。
ユーロは、フランスの財政・政治不安や格下げ懸念から売られ、ユーロ/米ドルは28日(水)に1.1113ドルと年初来安値に並ぶ水準まで下落しました。
29日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会は据え置きでしたが、ラガルド総裁が12月の利上げの可能性に触れたことで、ユーロは買い戻されています。また、ラガルド総裁が任期を8か月残して来年2月に退任すると表明したことも、サプライズでした。
ユーロ/円は週を通じて175.00円から176円台半ばで推移し、節目の175.00円を割り込むには至りませんでした。
それでは叶内さん、今週(11月2日~)のイベントと注目点をお願いします。
ユーロ/円は175円割れなるか? 米中間選挙やユーロ圏の物価指標が相場を左右!
MC叶内 超重要イベントを通過し、焦点は11月3日(火)の米国中間選挙に移ります。
予測市場では、民主党が下院の過半数を獲得する確率が9割超、上院も7割程度となっています。
株式市場にとってもっとも好ましいのは、民主党が下院のみで勝つケースとの声が多いようです。
上下両院を制する「ブルーウェーブ」となった場合は、財政懸念が和らぐ一方でAI・データセンター規制への警戒が高まりやすいとみられています。
上院は接戦の州も多く、結果の確定が遅れると不透明感が残ります。州知事選も、データセンター建設の許認可に関わるテキサス、ジョージア、オハイオを中心に目が離せません。
東京市場は3日(火)が「文化の日」で休場のため、4日(水)は開票速報を横目に一喜一憂する展開が想定されます。
選挙後に米国がイランへの攻撃を再開する可能性や、共和党が敗れた場合にトランプ氏が選挙結果を受け入れるかどうかも不透明要因です。
こうした懸念もあり、今年(2026年)は「選挙が終わればアク抜けして年末高へ」とは行かなそうです。
企業決算面では、先週末のキオクシアや東京エレクトロンの決算内容などを消化するところから始まります。
週末には、ブラックストーンが投資家に「アンソロピックがIPO後に投資不適格級の信用格付けを受ける可能性が高い」と警告したとも伝わっており、AI過剰投資に対する警戒感は続いています。AI・半導体関連の動きに注目です。
時価総額ベースでは決算発表のピークを越えましたが、今週も500社超の決算発表が予定されています。
4日(水)の商社、NTT、5日(木)のトヨタ、任天堂、ソニー、6日(金)の重工などに注目しています。
米国では、2日(月)のアップル、パランティア、オンセミなどに注目です。
3日(火)はAMDやスーパーマイクロ、4日(水)はクアルコムやアームなど、AI・半導体関連企業の決算が続きます。
そのほか、5日(木)のルメンタム、6日(金)のモデルナなども予定されています。
米国の経済指標では、2日(月)に10月ISM製造業景況指数、3日(火)に9月JOLTS求人件数が発表されます。
4日(水)には10月ADP雇用統計と10月ISM非製造業景況指数、6日(金)には10月雇用統計と11月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されています。
12月の利上げ観測が強まるなか、11月6日(金)の雇用統計の結果は金利と株価の両面で重要になりそうです。
市場予想は、非農業部門雇用者数が5.5万人増と、9月の2.9万人増を上回るものの、小幅な伸びにとどまるとみられています。失業率は4.2%の横ばい見込み。平均時給は前月比0.3%上昇(9月:0.1%上昇)へ改善する一方、前年比は2.9%上昇(9月:3.0%上昇)へ鈍化する見通しです。
11月4日(水)には米財務省の国債発行計画の公表も予定されています。
国内では、5日(木)に10年国債入札、6日(金)に9月毎月勤労統計調査があります。
なお、11月1日(日)に米夏時間が終了しています。
そのほか、3日(火)にはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])、5日(木)にはMPC(英金融政策委員会)の会合があります。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 今週の最大の焦点は、やはり3日(火)の米中間選挙です。
予測市場では、共和党が上下両院の少なくとも一方で過半数を失う可能性が高いとみられています。そうなれば通常は、トランプ政権のレームダック化が意識されます。
ただ、トランプ政権は中間選挙後のイラン攻撃再開をすでに示唆しています。
共和党が敗れて国内で動きにくくなれば、その分、対外的な強硬策にさらに傾くおそれもあります。イランへの攻撃再開や、世界的な関税措置の強化といった可能性です。
地政学リスクが高まれば、原油高を通じてドルが買われる場面がありそうです。一方で、株安などのリスクオフが進めば円買いも入りやすく、米ドル/円は上下どちらにも振れやすくなります。選挙前後は乱高下に注意が必要です。
続いて、4日(水)のユーロ圏10月HICP(統一消費者物価指数)速報値です。予想は前年比4.0%と高い伸びで、上振れればECBの12月利上げ観測を後押しする可能性があります。
ただ、先週10月30日(金)に発表された独10月CPI(消費者物価指数)は前年比2.8%と予想を下回り、12月利上げ観測がやや後退しました。ユーロ圏全体でも下振れれば、ユーロ売りにつながる点には注意が必要です。
その一方、ユーロ圏ではフランスの騒乱がドイツにも波及しています。10月31日(土)にはフランクフルト、ケルン、ハンブルク、ベルリンなどでデモが暴徒化しました。
ドイツのデモは物価高や教育予算の削減への抗議が中心で、フランスのように財政問題に直結しているわけではありません。それでも、政治・社会不安の広がりはユーロの重しになりやすいと考えています。
さらに、3日(火)のRBA、5日(木)のMPCはいずれも利上げが見込まれ、週末6日(金)には米10月雇用統計が控えています。
米国の12月利上げ観測が強まるなかで、米ドル/円の下値は支えられやすい一方、AI関連株の調整が続けばリスクオフの円買いも出やすく、方向感はつかみにくい1週間になりそうです。日本では日銀の12月利上げ観測も根強く残っています。
こうした状況から、ユーロ/円の戻り売りを継続しています。175.00円の節目はなかなか割れませんが、上値も176円台半ばで抑えられています。
ユーロ圏の政治不安、日銀のタカ派姿勢、株安によるリスクオフという3つの材料がそろえば、175.00円の節目を割り込む展開も十分にあり得ると見ています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
一方、ユーロ圏の物価指標が予想を上回り、ECBの利上げ観測が一段と強まれば、ユーロが買い戻される可能性があります。ユーロ/円の上昇には注意が必要です。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今月も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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