■失業率高止まりの米国は量的緩和第2弾に踏み切った
今では信じられない感じがするが、2010年のはじめの段階では、2010年夏ごろには米国は利上げに動くだろうという説が主流だった。
このところ、米国の経済指標には良いものも出ているが、相変わらず失業率は高止まり、インフレ率は低下している。その結果、米国は利上げどころか、QE2(量的緩和第2弾)に踏み切らざるを得なくなった。
QE2はFRB(米連邦準備制度理事会)が8カ月間で6000億ドルの米国債を購入するというもの。ざっくり言えば、米ドルをジャブジャブにすることだ。
8月にジャクソンホールで行われたバーナンキFRB議長の講演でQE2が示唆されたあと、マーケットでは次第にQE2期待が高まって、米国の長期金利は低下、米ドル安がグングン進み、米株高もかなり進むこととなった。

ただ、今振り返ると、ジャクソンホールの講演は、講演直後はものすごく注目されていたわけでもなかったように思える。あとから振り返って、「あれが相場反転のキッカケだった」と解説されることが多くなっていった感じだ。
そして、11月のFOMCでQE2が現実に発表になると、材料出尽く的な動きとなり、米国の長期金利は上昇、為替相場は米ドル高へ転じている。
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■米ドル/円は変動相場制以降の最安値79.75円に大接近!
2010年はユーロ/米ドルが前半、中盤、後半とドタバタ下がったり、上がったりする一方、米ドル/円は途中多少反発する場面もあったものの、基本的には下落基調にあった。
11月1日には80.2円台の最安値をつけた米ドル/円。1995年4月につけた変動相場制以降の最安値79.75円を下抜けるのではないかという声も高まった。

この「79.75円」という歴史的なレートがよく話題にのぼった2010年だったとも言える。
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(「ザイFX!で振り返る2010年(2)【為替・経済の動き 後編】」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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