その一方で、英国の中央銀行であるBOE(イングランド銀行)の利上げ見通しに再び暗雲が流れる英ポンドは、対米ドルで不安定な値動きとなっている。
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中国の経済成長減速という観測も相まって、豪ドルも対米ドルで先月の高値を更新できずにいる。
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このように、米国サイド以外の事情により、ドルストレート通貨ペアの値動きがバラついていることも、米ドルが全面安となっていない理由だろう。
さらに、「米ドル安」の受け皿としてスイスフランと加ドルがよく挙げられるが、スイスフランは歴史的高値を更新しているものの、加ドルは5月よりも対米ドルで軟調に推移している。
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こういったことも、米ドルが全面安になっていないことの一因であろう。
■「QE3」発動の有無がマーケットの流れを決定づける!
続いて、円サイドを見てみると、政局不安や不信任案の否決など、最近は政治がらみの材料が多かった。
そのような状況下で、円は、総じて横ばいの傾向を示している。米ドル/円が主導しているというのではなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での外貨側の調整に伴い、円高圧力を受動的に受けているといった印象が強い。
円サイドの材料は、日本の政治家と同様に、小粒で影が薄い存在としか市場関係者の目には映っていないだろう。よって基本的には、「蚊帳の外」に置かれている状況である。
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総合的に見ると、「QE3」が発動されるか、否かについての思惑が、これからのマーケットの流れを決定づけると言えるだろう。
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