つまり、よほど景気見通しが悪く、今後の株式市場の波乱は避けられないと当局が見ていることが推測され、さらなる「恐怖感」がマーケットに伝染する。
本来ならば投資家保護と市場安定化を図る政策なのだが、皮肉にも、現実は市場の不安をあおる材料となり得る。
この意味では、為政者の知恵はいつも時代遅れになりがちだと言えるだろう。
■「悪い米ドル高」に今から備えることが肝心
株の話ばかりで、皆さんの中には、また脱線したと思われる方もいらっしゃるだろう。
要するに、株式市場のパフォーマンスを考慮すると、2008年の金融危機の再来を彷彿とさせる節があるため、米ドル売りの限界がそろそろ来てもおかしくはないということだ。
そればかりか、結論から申し上げると、来るべき危機は2008年の「リーマン・ショック」の規模とインパクトを超える可能性すらあり、より深刻な景気後退に備える必要があると筆者は思っている。
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したがって、金融市場における流動性の低下がより長いスパンで続くことになり、その分、米ドルが買われ、2008年よりもはるかに長い周期で上昇ウェーブを描くことになるだろう。
ただ、米ドルの上昇があっても、いわゆる「悪い米ドル高」となる。これは残念なことだが、米ドル高自体が変わらないのであれば、素直にそれを受け入れるしかない。
本格的な景気後退が避けられないのであれば、今からいかに危機に備えるかが肝心である。
■今回の景気後退はジワジワ進行していく可能性が高い
本格的な景気後退が避けられないと思う根拠を、次回のコラムから詳細にご説明していくつもりだ。
ただ、2008年の時とは異なり、今回は、中国が救世主となって大規模な財政出動に踏み切れないことは確かである。
よって、「救い」がないので、幻想は持たないほうがよいだろう。もちろん、「QE3」が実施されるようなことがあっても、救いにはならない。前回の「QE2(量的緩和政策第2弾)」の効果を見れば、一目瞭然だ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
2008年の危機と違い、今回の景気後退は急速なスピードを伴うものではなく、ジワジワ進行していく可能性が高い。
だから、劇的な変化よりも、知らず、知らずのうちに世界経済の巡航速度が落ちていく可能性が高い。
このことは、2008年の危機と比較していただければ、よりおわかりいただけると思うが、その比較は次回に行うこととしたい。
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