米ドル/円は今週前半まで、78.00円近辺で底堅い展開となっていました。これは欧米勢を中心に、次のような安住財務相のコメントが注目されていたからです。
10月26日(水)午後の衆院財務金融委員会で、安住財務相は円相場の水準について「76円台、77円台は、われわれにとって適正なレートではない」(出所:日経QUICKニュース)との認識を示しました。
つまり、一時的に78.00円以下に円高に振れたとしても、当局の介入が再開され、「安住財務相が考える適正なレート(?)である78円台に戻されるのではないか?」という思惑が広がりました。
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ところが、こうした思惑は、米国財務省のコリンズ次官補が発言した次のようなコメントによって大きく覆され、再び円高懸念が高まっています。
「米財務省のコリンズ次官補(国際金融担当)は7日、ハワイで9~10日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会合について、中国の人民元を含む為替問題を議論することを明らかにした。最近の為替市場について、基本的に無秩序な動きではないと語り、急激な円高を受け円売り介入を実施した日本政府と異なる認識を示した」(出所:Nikkei)
このコメントが報じられると、78.00円でサポートされていた米ドル/円は、再び軟調な展開に移行しています。
米ドル/円の介入警戒感が大きく後退したため、結果として、ユーロ/円のダウンサイドリスクも拡大しています。
■本邦機関投資家が巨額のイタリア国債を保有!
前述のとおり、イタリア国債の利回りが急騰しており、現状のままでは利払いが相当膨らんでしまいます。
ところが、これまでのところ報道されている当局のコメントからは、「イタリアを救済する」という強い姿勢は見られません。
ECB(欧州中央銀行)のシュタルク専務理事は、「ECBが欧州各国政府への最後の貸し手にはならない」とコメントしています。
また、「ドイツのショイブレ財務相は、同国の議員らに、イタリアは必要ならば、救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)からの支援を要請するべきだと語った」(出所:Bloomberg)との発言も伝えられています。
ギリシャ問題の終結の後、間髪を入れず「イタリア国債の急落」という事態に直面しているユーロに対して、売り圧力が高まっています。
トレーダーの間では、本邦機関投資家が巨額のイタリア国債を保有しているということも話題になっており、反発局面があっても、ユーロ/円の上値は徐々に限定的になっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
■ユーロ/円は年末にかけて、100円へと向かう展開か?
このような最悪の状況下で、イタリアの1年債の入札が11月10日(木)に予定されており、注目が集まっています。
ユーロ/円は、104円台後半から105円台前半にサポートラインが密集しているため、いったんは下落が収まっています。
しかし、イタリア国債の入札の動向しだいでは、このサポートラインがブレイクされる可能性も高いでしょう。
ユーロ/円は年末にかけて、100円に向けて下落するのではないでしょうか?
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