■ポジション動向をどう見るかも重要
前回3月22日(木)の当コラムで、ポジション動向という観点から、相場の見方を紹介しました(「環境は良好なのに相場は踊り場!? なぜ? IMMポジション動向から読み解く」参照)。
ポジション動向から見て、ユーロ以外はポジション調整による円安の局面が過ぎたので、ここからは円安には向かいにくいという話だったと思います。
そのあとの相場の動きを見ると、大体予想したような相場展開となっていることがわかると思います。
相場を予想するときは、市場を取り巻くファンダメンタルズなどの環境面を分析することも重要ですが、それと同じぐらい重要なことは、ポジションがどう傾いているかという点です。
それによって、市場の動き方が変わってくるからです。それをぜひ、頭に入れておいてほしいと思います。
■重要指標が出るまでは方向感の出にくい展開か?
来週(4月2日~)になると、雇用統計など米国の重要な経済指標が出始めるので、いろいろと動きが出てくるかもしれません。
ただ、逆に言いますと、それまでは方向感が出にくいということになってきます。
円安方向に向かったあとは、レンジ相場に入っています。
たとえば、米ドル/円では82円から84円程度、豪ドル/円では84円台後半から88円台前半程度となっています。

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
この1週間も同じような動きになるのではないでしょうか。
最後に少しだけ、政治の話をしたいと思います。
■消費税引き上げ条件に「具体的な数値目標」は避けるべき
今、社会保障と税の一体改革について議論がなされています。
その中で、「消費税引き上げには経済が好転することを条件にしろ」という意見がたくさんあります。
さらに、その条件には「具体的な数値目標を入れろ」という意見もありました。
私は、「それは絶対に止めるべきである」とみんなの前で主張しました。
そのときに例として出した話を、少ししておきたいと思います。
■「数値目標設定→国債暴落」のシナリオとは?
数値目標を条件にしてしまったとしましょう。
仮にその目標が達成できない状況になった場合、政府は当面の間、消費税を引き上げることができなくなってしまいます。
そうすると、格付け会社が日本の国債を格下げする可能性が高まります。現在、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)で日本の格付けは「AAマイナス」です。
日本の機関投資家の投資基準(適格要件)は「A」か「BBB」程度ですので、2~3段階の格下げがあると、日本の機関投資家は国債を売らなければならなくなります。
また、日本国債を含んでいるインデックスファンドなどでも日本国債が対象外とされて、そのインデックスを採用している投資家は日本の国債を売らなければならなくなります。
銀行などの金融機関には、そのようなルールはありません。
BIS規制によって、自己資本におけるリスクウェートが決められていますが、自国の国債は格付けに関わらず、リスクはないとみなしてよいとされていますので問題はありません。
しかし、銀行は時価会計をしているので、国債の価格が下がると、ロスカットをしなければならなくなる可能性がある。
こうした状況を見透かして投機筋が仕掛けだすと、負の連鎖が起きて、国債が暴落するということが1つのシナリオとして考えられる…。
ざっとこんな感じの話をしました。
ご参考までに。
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