■豪ドルはリスクオフの流れでも下げが限定的だった
さて、昨晩(11月7日)のリスクオフの流れの中で、想定以上の耐久性を見せたのが豪ドルでした。
従来であれば、リスクオフの時に下落幅を拡大するのは、リスクアセット通貨の代表である豪ドル。
ただ、豪ドルは10月のある経済指標の発表より流れを変えており、リスクオフの局面で大きく下落する通貨ではなくなっています。
注目されたのは10月に発表されたオーストラリアの消費者物価指数(CPI)。
オーストラリア連邦統計局が24日発表した第3・四半期の消費者物価指数(CPI)は前期比1.4%上昇と、市場予想の1.1%上昇を上回った。
炭素税の導入でエネルギー価格が上昇したことが背景。
CPIの発表を受け、豪ドルは上昇。市場が織り込む追加利下げの確率が低下した。
基調インフレ率は前期比0.75%。市場予想の0.6%を上回った。
前年比ベースの基調インフレ率は2.5%で、豪準備銀行(RBA)の長期目標である2-3%の範囲内に収まっている。
(出所:ロイター)
■12月の利下げはない!? 豪州の金利見通しが急転!
このCPIの発表を受け、市場参加者の金利見通しが急転しています。
一番強烈だったのは、11月6日(火)のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])政策金利発表で、「50bpt(0.5%)の利下げ」を予想していた某北米のエコノミストがいきなり金利据え置き予想に変更したこと。
エコノミストはトレーダーと違って、金利見通しを一気に変更することは少ないのですが、彼が一気に見通しを変更したことが話題となりました。
そして11月6日(火)にRBAが発表したのは、政策金利の据え置き。
発表されたRBA総裁のコメントもハト派なトーンではありませんでした。
金利先物市場では12月にRBAが25bpt(0.25%)利下げすることを50%程度織り込んでいるようですが、友人のファンドマネジャー達によれば、12月の利下げの可能性はほぼなくなってきているとのコメント。
オーストラリアにとっての外部要因(米国の財政の崖、欧州債務問題)などで仮に金融市場が大混乱すれば、RBAのスタンスも変わるかもしれませんが、オーストラリアの内部要因からすれば、12月の利下げはほぼなくなったのではないでしょうか。
金利引き下げの予測が大幅に後退するにつれ、10月後半より豪ドルは堅調に推移。
11月7日(水)に米国株が急落した局面でも、急落するユーロを横目に、豪ドルの下落は限定的で、現在も83円台を保っています。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
本日11月8日(木)に発表された豪雇用統計も好結果に終わり、11月6日(火)にRBAが金利を据え置いたことを正当化する結果になっています。
■動きが目立っている豪ドルクロスに注目!
豪ドル/米ドルや豪ドル/円ではまだ目立ちませんが、豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)で見ると、ユーロ/豪ドルや豪ドル/NZドルといった通貨ペアでは豪ドルが急騰。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:豪ドル/NZドル 4時間足)
11月に入り主要通貨がレンジ内での動きに終始する中、短期筋が注目しているのはこうした豪ドルクロスです。
当面、豪ドルの動向に注目。
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