米ドル/円も日経平均も大きく反落してきた。特に日経平均は本日(8月8日)急落、前場だけで455円も落ちた。
(出所:米国FXCM)
■地政学リスクで株安・円高を説明するのはずるすぎる!
いつものように、先週(7月28日~)、米ドル/円と日経平均の続伸を声高に主張した多くのセンセイたちは、一転して不安な口調となり、そして決まった言いわけを口にした。
そう、あの「地政学リスク」である。
ウクライナにしてもイラクにしても緊張が長引き、また新たな段階(ロシアの介入懸念や米軍のイラク空爆再開など)に入っているのも確かである。
しかし、こんなことで株安と円高を説明するのは、ずるすぎる。なぜなら、地政学リスクは今始まったものではないし、現在の事態は延長線として十分想定でき、本来マーケットに織り込まれているはずだからである。したがって、地政学リスク云々と言うだけなら、株も為替も特に反応しなかったはずだ。
言ってみれば、地政学リスク云々はセンセイたちの我田引水にすぎないし、本質をごまかす材料である。このあたりの事情も本コラムではかなり前から予想していたから、筆者はといえば、本日(8月8日)、いろいろ論説を読んで会心の笑みをもらしているところだ。
■相場における材料の解釈は、相場の構造次第
もっとも、相場における材料はなんであれ、解釈は相場次第と言える。相場におけるボラティリティが低位に安定している間、嵐でもまだコップの中と見なされ、逆にボラティリティが上昇していくと、コップの中の揺れでも本格的な嵐に発展していく。
なので、同じ材料でも、蒸し返されるとまったく違った相場がみられるのは、その本当の原因が材料自体にあるのではなく、マーケット自体の構造にあるからである。
言い換えれば、欧米株を始め、株高が歴史的な低い変動率に依存している側面が強いなら、その変動率の上昇で株パブルの崩壊も避けられない。
この理屈は、ユーロバブル、円高ミニバブルといった主語をもって相場の反転を説明すれば、大して間違いにはならないだろう。相場は材料次第ではなく、相場自体の構造次第である。今は総じて反動期に入っており、それはまだ始まったばかりである。
■最近の米ドル/円の値動きは反動期の好例
米ドル/円の最近の値動きはその好例であろう。3月から、米ドル/円のリバウンドは総じて米雇用統計まで続き、同統計発表後反落といったパターンを繰り返してきた。
同パターンは先週末(8月1日)も繰り返され、前回コラムの指摘どおりだった。要するに米ドル/円が米雇用統計次第という巷の常識はあてにならないのである。
【参考記事】
●「米雇用統計発表後にドル/円反落の法則」は続くのか? ドル/円の上放れはダマシ?(2014年8月1日、陳満咲杜)
「いや、違うよ、先週末の米雇用統計が悪かったから米ドルが売られたんだよ」といった反論も容易に推測できるが、こういう方には7月4日(金)の本コラムを一読することをお勧めしたい。足元の推移と照らし合わせると、おのずとおわかりいただけるのではないだろうか。
【参考記事】
●NYダウ1万7000ドルの今こそ嵐を警戒!「雇用統計良いとドル/円上がる」はウソ?(2014年7月4日、陳満咲杜)
■米ドル/円、日経平均も先週の「ダマシ」が効いてくるか
さて、前回コラムでは、1つ重要なことを指摘しておいた。それは他ならぬ、前回にて書いた「筆者によって、リスキーであり、またワクワクできる」見方である。すなわち、米ドル/円も日経平均も先週(7月28日~)の切り返しが一種の「ダマシ」であったということだ。
【参考記事】
●「米雇用統計発表後にドル/円反落の法則」は続くのか? ドル/円の上放れはダマシ?(2014年8月1日、陳満咲杜)
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
足元のチャートから考えて、この可能性は増大しているように見える。また「ダマシ」だからこそ最強のシグナルであることに注意を喚起しておきたい。
ところで、為替相場に比べ日経平均の方が…
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