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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

ポンド/円は150円近辺まで下落余地あり!
EU離脱問題で揺れる英国と欧州に注目!

2016年02月25日(木)13:14公開 (2016年02月25日(木)13:14更新)
今井雅人

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■円高・株安を基本認識としたトレード戦略

 前回までのコラムの中で、中国経済の問題、原油安の影響、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による官製相場の終焉などを背景に、円高・株安になるという見通しを、一貫して説明してきたと思います。

【参考記事】
中国景気減速による試練はまだまだ続く!もみ合いのあとはジリジリと円高・株安へ(2月18日、今井雅人)
マイナス金利導入はなぜタイミングが悪かった?介入がもしあれば絶好の売り場(2月12日、今井雅人)

 そういう状況認識のもと、2016年に入ってからは、円高・株安を基本認識としてトレード戦略を練ってきました。

 具体的に言うと、日本株の売り・円買いというのを基本としながら、スピードが速すぎるときは、少しだけ逆に張ってみるというプランです。

■ユーロ/円の売りで、それなりの利益を出せた

 為替相場としては、米ドル/円、ユーロ/円のどちらかで取引をしてきましたが、ここ1週間(2月18日~)は、ユーロ/円のショートを続けてきました。

 正直、この1週間は少しもみ合いになるかもしれないと感じていましたが、結果的には全体的に円高になったので、それなりの利益を出すことはできました

ユーロ/円 4時間足
ユーロ/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足

 ただ、この先、一気に円高に向かうというイメージではないので、いったん手仕舞いをして、また売りのチャンスを待つという姿勢で相場を見ています。

■英ポンドの下落には手が出せなかった…

 ところで、ここ最近の動きを見ていると、米ドル/円やユーロ/円よりも、はるかに下落傾向が鮮明な通貨ペアがありました。

英ポンド/円です。

英ポンド/円 4時間足
英ポンド/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足

 残念ながら、これには手が出ませんでした。

■6月にはEU離脱を問う二者択一の国民投票実施

 英国では今年(2016年)、重要なイベントが予定されています。

 それは、6月23日(木)に実施されるEU(欧州連合)に残るかどうかを問う国民投票です。

 国民投票の質問は、「英国はEUのメンバーに留まるべきか、EUから離脱すべきか」の二者択一

 キャメロン英首相は、「改革後のEUに留まることで、英国はより安全で、より強靭で、より豊かになり、離脱すれば経済や安全保障にとって脅威になる」と国民に残留への支持を訴えています。

■ロンドン市長のボリス氏、EU離脱支持で英ポンド急落へ

 しかし、状況はそれほど単純ではないようです。

 先週末、2月18日(木)~19日(金)に開催されたEU首脳会議では、キャメロン英首相がEU側から移民政策など大幅な譲歩を引き出した形で、EU改革案が合意されたわけですが、週末にはキャメロン政権の30名の閣僚の内、6名が英国のEUからの離脱を支持することを表明しました。

 そして、決定的な打撃となったのが、キャメロン首相の盟友であり、かつ国民的に人気のあるロンドン市長、ボリス・ジョンソン氏がEU離脱支持を表明したことで、離脱の可能性が急速に高まったとの見方が広がったことです。

 結果、週明け早朝(2月22日早朝)のオセアニア市場から、英ポンドにさらなる売りが浴びせられたということだと思います。

 英ポンド/円の長期のチャートを見ると、2015年の後半から激しいスピードで下落しているのがわかりますが、2013年にもみ合っている150円あたりまでは、十分、下落余地があるように見えます。

英ポンド/円 月足
英ポンド/円 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 月足

■当面、欧州から目が離せないだろう。しばらくは戻り売り

 また、3月10日(木)のECB(欧州中央銀行)定例理事会において、さらなる追加緩和策が講じられるのではないかという観測が徐々に高まっているため、ユーロにもさらなる下落圧力がかかってくる可能性があると思います。

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

 中国経済や米国経済の先行き、FOMC(米連邦公開市場委員会)での次の利上げがいつになるのかという点、あるいは日銀のさらなる追加緩和が3月、4月に行われるのか?などの話題にも注目が集まりますが、当面は、欧州から目が離せない状況が続くのではないでしょうか?

 当面、少し円安方向に向かったときに円買いを仕込む、つまり、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の戻り売りを基本戦略としておきたいと思います。


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