■日経平均1万5000円、米ドル/円110円あたりまで下落
2015年末のコラムでは、2016年は日経平均が1万5000円、米ドル/円が110円あたりまで下落する可能性があるという考えをお伝えしましたが、まだ2月も半ばという時点で、すでにその水準まで下落してしまいました。
【参考記事】
●証券会社の上昇予想は話半分で読むべき。日経平均1万5000円、米ドル/円は110円も(2015年12月25日、今井雅人)

(出所:株マップ.com)

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これほど早い時期に達成するとは予想していなかったのですが、原油先物価格の想像以上の下落を受けて、オイルマネーが急速に、世界中に投資していた資産の回収に回ってしまったほか、中国景気の急速な悪化やそれに伴う株式市場の急落などを受けて、世界的な規模での金融市場の混乱となったことが、そのおもな要因でしょう。
【参考記事】
●急激な円高は一服か。けれど2016年は強気相場にならない。1月に日銀追加緩和も…(1月7日、今井雅人)
■2月に入ってからは、売りが売りを呼ぶ悪循環に…
2016年年初からの上海株式市場の急落をきっかけとした混乱も、いったんは落ち着きを取り戻したかに思われた1月末日、黒田日銀総裁が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を決定。
市場は当日こそ好感して、米ドル/円も一時121.691円まで急騰したのですが、2月に入ってからは逆に、連日、売りが売りを呼ぶ悪循環となってしまっています。
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入の影響は終わり!少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)

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■マイナス金利導入のタイミングが悪かったと思う理由
この「マイナス金利」の導入は、賛否両論出ているのですが、何せ決定のタイミングが悪かったです。
まず1つは、市場がこれまでの「量的・質的金融緩和」の手詰まり感をかなり大きく感じ取ってしまったことでしょう。総裁は「3次元緩和」として「政策の限界はない」ことに何度も言及していますが、市場は、言われれば言われるほど、その限界を感じています。
また、2つ目は、ドイツ銀行やクレディスイスなどをはじめとする欧州大手銀行のクレジットリスクが高まっている最中でのマイナス金利導入となってしまったことで、銀行自身の収益悪化という認識が一気に台頭。
銀行株全般が、売り浴びせられる結果となってしまいました。
CoCo債(偶発転換社債)などを筆頭とした、いわゆる信用力の低い「ハイ・イールド債」が市場に大量に出回ったことで、銀行の信用問題が取り沙汰されている中、最悪のタイミングだったと言えます。
■GPIFは玉切れで相場を押し上げるのは困難
さらに、これまで下値を執拗に買い支えていたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの本邦年金資金などには、ここにきて、かつてのような玉はもう存在しておらず、「リバランス」と称する下落分の埋め合わせの買いが、その都度持ち込まれるだけの状況となっています。
【参考記事】
●驚きのGPIF資産残高構成。もう、玉切れで株高・円安の流れが変わる可能性も…(2015年4月2日)
●一方的な株高・円安になりにくいワケは?GPIFの株買い・円売りはまだ続くのか?(2015年7月16日)
こういった明白な買い支えがなくなった今、やはり相場を押し上げることは難しいでしょう。
■麻生金融相が強めのけん制発言
2月11日(木)の海外市場では、本邦勢が祝日で不在の中、米ドル/円は一時111円を割り込むまで急落。日経平均先物も、1万5000円割れ寸前のレベルまで売り込まれました。

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本日の東京市場では、さっそく麻生副総理兼財務金融相が、「為替の急激な変動は望ましくない」とした上で、「必要に応じて適切に対応する」という、かなり強めのけん制発言を行いました。
また、「G20(20カ国地域財務相・中央銀行総裁会議)で政策協調について協議を進める」ことにも言及しています。
■一時的な反発があっても、きちんと売っていって!
これからの展開ですが、G20(20カ国地域財務相・中央銀行総裁会議)やG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)などで何らかのアクションが取られる可能性が高まってきました。
「介入」などが実施されれば、当然、米ドル/円は急騰する場面もあると思いますが、その時は絶好の売り場を提供することになると思っています。
2015年8月の「チャイナブラックマンデー」以降の相場は、突っ込んで売り込まれたあと、しばらくもみ合いを続けて年末に向けて戻りを試す底堅い動きも見られましたが、今回の急落は事情が違っています。

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根本的に解決策が見出せていない金融市場となっていることから、以前のショック後と同じような回復が進むとは考えづらいです。
やはり、一時的な反発があっても、そこをきちんと売っていける準備をしておくことが重要となってきそうです。
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