■トランプ米大統領が日本と中国を名指し批判
そして、注目は前述のように、トランプ米大統領の「円安牽制」コメント。
基本的にG7(先進7カ国)諸国は「為替の水準」についてはコメントしないというのが、暗黙の了解となっているのですが、トランプ米大統領は中国と日本を名指しで批判。
トランプ米大統領は基軸通貨の米ドルの行方について、大きな影響力を持っているため、彼の「米ドル高・円安」牽制コメントに市場は震撼したわけです。
ただ、マーケットの反応は限定的で、本稿執筆時点での米ドル/円の安値は112.08円まで。
■なぜ、トランプ発言にも関わらず、ドル/円下落は限定的?
基軸通貨を持つ米国大統領の円安牽制コメントの影響が限定的なのは、まず、トランプ大統領の政策と一致しないため。
【参考記事】
●NYダウはついに2万ドルの大台達成! 米ドル/円反発のカギは金価格が握る?(1月26日、西原宏一)
トランプ政権が掲げている政策が仮に次々と実行に移されるとなると、米ドル高を誘引します。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
彼が米大統領選に勝利すると、米ドル/円が一気に18円もの急騰を見せたことがそれを証明しています。
【参考記事】
●トランプ大統領就任式に為替は反応せず。東芝の7000億円損失が為替に影響!?(1月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
ただ、通商政策から考えると、米ドル安が望ましいことも確か。
結果として、彼の米ドル高牽制コメントは、彼が掲げる政策による米ドルが急騰するのを抑制する意味があるのではないか?という考え方。
もうひとつの意見は彼らのターゲットは中国であり、日本ではないという見方。
確かに彼が名指しで日本の為替政策を批判するときは、必ず中国の名前も出てきます。
そのため、彼の円安牽制コメントは、本格的な米ドル安を狙ったものではなく、あくまでも米ドル急騰を牽制するという考え方もあり、それが米ドル/円の急落を抑制しているというわけです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■中期の米ドル高トレンドは変わらず
米ドル/円の安値は112.08円。
これは、このコラムで何度かご紹介している38.2%戻しとなり、ここをきれいにサポートとして、米ドル/円は何度も反発しています。
【参考記事】
●トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来(1月12日、西原宏一)
●米ドルが魅力的な高金利通貨に変身!? 浜田参与も注目する「シムズ理論」とは?(1月19日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
ただ、現状はトランプ新政権の通商政策が焦点となっており、50%戻しである109.93円まで調整する可能性も残っています。
しかし、前述のようにトランプ新政権が掲げる政策が次々と実行に移されるとなると、米ドル高を誘引することになるので、中期の米ドル高トレンドは変わらず。
こうした中、2月10日(金)に予定されている日米首脳会談にマーケットの注目が集まっています。
引き続き、米ドル/円の行方に注目です。
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