■ユーロの調整は数日で終了し、反発
加えて、5月29日(月)の海外市場ではイタリアにも注目が集まったことでユーロの調整がさらに進行。
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イタリアでは、中道左派・民主党のレンツィ前首相が今秋に総選挙を行う案に前向きな考えを示したことがきっかけとなり、金利が上昇。呼応して株安、ユーロ/円安が進行。
さらには、ギリシャでもデフォルト懸念が出ていることもあり、ユーロ/米ドルは1.1110ドル、ユーロ/円は123.16円まで下落しました。
ただ、調整は数日に終わり、本稿執筆時点では、ユーロ/米ドルは1.1245ドルと再び1.1300ドルに迫る勢い。
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中国経済の減速により、上値が重い豪ドルに対して、ユーロは底堅いままで、ユーロ/豪ドルは1.52豪ドル台に反発。
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6月8日(木)の総選挙に向けて、政局が不安定化している英ポンドに対しても、ユーロは底堅く、ユーロ/英ポンドは0.87英ポンド台に反発。
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そして注目のユーロ/円は、本邦執筆時点では124.75円と、再び125円台をうかがう勢いとなっています。
■ECBのテーパリング懸念がユーロを下支え
イタリアの政局不安で調整に入ったユーロ/米ドル、ユーロクロスが反発した背景には、まずECBのテーパリング(※)懸念があります。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
これがくすぶっている限り、ユーロ/米ドル、ユーロクロスのダウンサイドリスクは限定的だと想定しています。
特に鉄鉱石が軟調に推移している豪ドルに対し、ユーロは底堅く、現在1.52豪ドル台を回復しています。
(出所:Bloomberg)
そして、ユーロ/円は前回のコラムでご紹介したとおり、本邦機関投資家の欧州への投資がカギを握っていると考えています。
【参考記事】
●メルケル発言よりも本邦勢の欧州投資がユーロに追い風! 130円突破なら135円へ(5月25日、西原宏一)
■6月入りで本邦機関投資家の動きが活発化
フランス大統領選挙、そしてロシアゲートなどのリスク要因を背景に、5月は大きな動きがなかった本邦機関投資家ですが、本日(6月1日)、つまり6月に入り、投資が活発化。
【参考記事】
●仏大統領選を無事通過してリスクオン再開。米ドル/円は115円に向けて反発する公算大(4月27日、西原宏一)
●「ロシアゲート」問題勃発でリスクオフ! 米ドル/円急落で今後のカギを握るのは…!?(5月18日、西原宏一)
本日(6月1日)の東京市場では、ひさびさに本邦機関投資家の「日本株買い・円売り」がマーケットに投入され、本稿執筆時点での日経平均は前日比203円高となり再び2万円をうかがう展開。
呼応してユーロ/円は、124.75円と再び125円台をうかがう展開に。
ユーロ/円は先週(5月22日~)の高値が125.80円と126.00円レベルでダブルトップとなり、日足ベースではいったん調整に入りましたが、長らく抜け出せなかった週足・一目均衡表の雲を抜け出ており、ダウンサイドリスクは依然として限定的。
(出所:Bloomberg)
仮に126.00円台に入れば、ユーロ/円の上値余地は130円へと大きく拡大すると想定しています。
(出所:Bloomberg)
底堅く推移するユーロ/英ポンド、ユーロ/豪ドル、そして本邦機関投資家の欧州への投資を背景に底堅く推移する、ユーロ/円の動向に注目です。
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