■米下院のトランプ大統領弾劾訴追可決にも、市場は動かず
米下院によるトランプ米大統領弾劾案の可決があったが、市場はまったくと言っていいほど波乱にならなかった。共和党主導の上院で可決される見通しは、今のところは皆無に近いから、市場が問題視していないことは明らかである。
S&P500は昨日(12月19日)も高値を更新、「史上最高値更新」という点では、もう6取引日連続で更新を果たし、弾劾案を嘲笑するような強さを見せている。
(出所:TradingView)
一方、年末に近づき、一段と変動率の低下もみられた。為替市場では、英ポンド以外の主要通貨は総じて値動きが限定され、「トランプ砲」に助けてもらいたいほどだとトレーダーたちが冗談を言うくらいだ。
■英ポンドの反落は「買われすぎ」の修正にすぎない
英ポンドは高値から反落、表面上、ジョンソン英首相の発言に左右されたように見えるが、本質的にはこれ以前に起こった英与党圧勝による急騰に対する反動であり、また、英ポンドの「オーバーボート」に対する修正にすぎないとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
もっとも、「オーバーボート」とは買われすぎなので、かなり強気トレンドでなければ買われすぎもないはずだ。ゆえに、目先、英ポンドは調整しているが、ブル(上昇)トレンド自体は維持されており、いったん頭打ちがあっても、ベア(下落)トレンドへ転換することはなかろう。しばらく高値圏での保ち合いに留まるだろう。
■ユーロと豪ドルが英ポンドに続く可能性あり
そうなると、そのほかの主要外貨、特にユーロと豪ドルの切り返しがこれから英ポンドのパフォーマンスを追ってくる可能性がある。
英ポンド/米ドルの急伸も一服する兆しが鮮明になってきたので、ユーロや豪ドルの優位性がじわじわ浮上してきている。これはユーロ/英ポンドや英ポンド/豪ドルのチャートを見るとよくわかる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/豪ドル 日足)
■ドルインデックスは200日線を簡単には上回れないだろう
こういった見方ができる背景には、米ドル全体の反落基調の継続がある。
これまでのコラムで既述のように、ドルインデックスにとっては200日移動平均線(200日線)が重要であり、これを下回れば一段と反落の余地が拡大する。そして、現在は反落の初期段階にある可能性が大きい。
【参考記事】
●株も米ドル/円も今回は経験則を覆す!?日経平均、米ドル/円の上昇余地は大きい!(2019年12月13日、陳満咲杜)
前述の200日線を巡る攻防は、10月、11月に続き、今月(12月)前半もあったから、その明白な下放れで10月安値を割り込み、「三度目の正直」で割り込みの可能性を証左しただけに、これから米ドル全体の反発があったとしても、同線を簡単には上回れないだろう。
(出所:TradingView)
さらに、200日線を巡る「最後の攻防」では、プライスアクション上における「ダマシ」のサインを灯してから安値更新を果たしたわけなので、そのような可能性が一層高まる。
そのサインは12月6日(金)の陽線だった。200日線をいったん下回ってから高く大引けし、いったん「強気リバーサル」のサインを点灯したから、本来そこから切り返しを継続してもおかしくなかった。しかし、その後は一貫して下落を続け、同日安値の割り込みをもって「ダマシ」のサインを点灯、下落トレンドの継続を強く示唆したわけだ。
(出所:TradingView)
10月安値を割り込んだこともあって、下値余地は大幅に拡大しており、目先の反発はあくまで途中のスピード調整と見なされる。12日6日(金)安値の97.20前後は一転してレジスタンスと化す公算が高い。
整合性を持ってユーロ/米ドルを見ると…
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