■レパトリエーションが本格化すれば円高圧力に
円高方向に向かうリスクとして、1つ、考えておかなければいけないのは、いわゆるレパトリエーション(本国への資金送還)です。
日本は、対外債権を多額に持つ債権国です。しかし、現在、各企業も経営が極端に悪化し、経営難に苦しんでいます。今後、こうした企業が、資金繰り確保のために対外資産を売却して、日本に資金を戻す可能性があります。そうなると円買いが生じますので、円高になります。
今のところ、そうした動きは、それほど見られていないようですが、今後、本格化してくると、かなりの円高圧力がかかってくるかもしれません。注視しておきたいと思います。
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■経済活動を先に再開できた国の通貨が強くなる
もう1点、頭に入れておきたいことがあります。それは、今後、各国で経済活動が、どう再開されていくかということです。
中国は、5月15日(金)に、経済活動を全面的に再開することを発表しています。次に問題になるのは欧州、米国などです。
経済活動再開には、感染拡大リスクが伴うわけですので、バランスが非常に難しいのは言うまでもありません。しかし、欧米諸国は、早々にも経済活動を再開する方向に向き始めています。
これがどうなっていくか、先に上手く再開できたところの通貨が、先に強くなるという動きが出てくる可能性があるので、よく見ておきたいと思います。
■米ドル/円・ユーロ/円は、想定レンジの下方修正が必要
以上のような点が、今後の注目点ではありますが、それを除けば、基本的にはレンジの動きが今後も続くと考えていますので、レンジを多少調整して、レンジトレードを続けていきたいと思います。
【参考記事】
●足元の相場動向を総点検! 為替は逆張りが有効。米ドル/円は107~109円レンジを想定(4月23日、今井雅人)
●為替相場は当面、レンジが続きそう…。米ドル/円は106.80~109.30円程度を想定(4月16日、今井雅人)
●株が乱高下する中で為替が方向感を失ったワケは? 米ドル/円は当面、107~110円か(4月9日、今井雅人)
米ドル/円、ユーロ/円のレンジを、多少、下方修正する必要があるでしょう。
(出所:Trading View)
(出所:Trading View)
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