■緩やかな米ドル安だが、全体的にはもみ合い
先週(7月13日~)から引き続き、小動きが継続しています。
米ドル安へと緩やかに推移しているものの、為替市場全体としては、ほとんどの通貨ペアが、もみ合いとなっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
先週(7月13日~)の材料としては、17日(金)~18日(土)にEU(欧州連合)首脳会議がありました。しかし、2日間の日程では復興基金の合意がまとまらず、延長となって、本稿執筆時点で4日目(※)に突入しています。
(※編集部注:筆者からの寄稿後、7月21日(火)の東京時間に、EU首脳による協議は5日目に突入した)
復興基金は7500億ユーロ規模で、当初はその内訳として、返済義務のない補助金が5000億ユーロ、融資が2500億ユーロとされていました。
その後、補助金を3900億ユーロにして、融資を3600億ユーロとする案も出ていますが、まだ、合意に至っていない状態です。
■復興基金合意で、ユーロには手仕舞い売りも
今回、合意できなかったとしても、27日(月)~28日(火)にも、臨時のEU首脳会議が開かれ、協議される見込みがあるようです。
いまだに合意は難しいとされていますが、ギリシャ危機のときもまとまったため、最終的には、今回もまとまるものと思います。
市場参加者も、今回は合意できなかったとしても、近い将来、合意できると考えていることもあって、ユーロ買いのポジションが増えつつあるようです。
そのため、合意すれば、ユーロにはいったん、手仕舞い売りも出るのではないかと思います。
(出所:TradingView)
■米財政出動の期待で、株価は底堅さを維持か
米国では、景気対策として、第4弾の財政出動が検討されています。
米国は、これまでも大規模な財政出動を行いましたが、雇用統計は良い数字が出ているものの、まだ経済が回復するには時間がかかるようで、財政出動が求められています。
この期待から、米国株は、まだ底堅い展開が続くのではないかと思います。
(出所:TradingView)
■米ドル安のイメージに変化なし
為替市場では、リスク選好による米ドル安の動きが考えられますが、それに加えて、米国の財政赤字が拡大することからくる米ドル安も考えられるのではないかと思います。
これまでも、大きな流れは米ドル安と考えてきましたが、株式市場が崩れるまでは、米ドル高になりにくいと思いますので、米ドル安のイメージのままです。
【参考記事】
●もみ合い継続だが、米ドル安の見通しに変化なし! 戻りを待って売りたい(7月14日、バカラ村)
●自律的な調整終われば、再度リスク選好へ! 長期的な米ドル安見通しは変わらず。(6月16日、バカラ村)
●米国のコロナ禍拡大は短期的には米国株を支え、米ドル全体を下落させる材料に!?(7月10日、陳満咲杜)
■米ドル/円は、狭いレンジを上下するだけに…
米ドル/円は、107円台を中心とした狭いレンジが続いていますが、どちらかというと、下がる可能性の方が高いのではないかと考えています。
ただ、最近は、あまりに動きがないこともあり、市場参加者も手を出していないこともあって、ますます動きがなくなっています。
(出所:TradingView)
実需のオーダーで動くことはありますが、狭いレンジを上下しているだけの動きが続いています。
■FOMCは米ドル安の材料になりそう
来週(7月27日~)は、28日(火)~29日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)があります。米国は、コロナ感染を抑え込めていないことから、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は会見で、再度、悲観的な発言をするのではないかと思います。
写真はFRBのパウエル議長。バカラ村氏は、7月28日~29日に開催されるFOMC後の記者会見で悲観的な発言をするのではないかと予想している (C)Bloomberg/Getty Images News
金融緩和は継続、YCC(イールドカーブ・コントロール)の議論も続けると思いますので、米ドル安の材料になると思います。
【参考記事】
●もみ合い継続だが、米ドル安の見通しに変化なし! 戻りを待って売りたい(7月14日、バカラ村)
■米ドル安の材料の方が多い!
ほとんどの通貨ペアで動きがないですが、材料としては米ドル安の材料の方が多く、ドルインデックスのチャートが米ドル安へ推移していることもありますので、大きな流れは米ドル売りで良いのではないかと考えています。
【参考記事】
●ドルインデックスがダブルトップ形成! 大きな流れとしての米ドル安に変化なし(7月7日、バカラ村)
●自律的な調整終われば、再度リスク選好へ! 長期的な米ドル安見通しは変わらず。(6月16日、バカラ村)
(出所:TradingView)
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