■ブレグジット交渉のヘッドラインに英ポンドは振らされる
みなさん、こんにちは。
今週(12月14日~)の英ポンド/米ドルは、ブレグジット(英国のEU離脱)交渉に関して合意の可能性が高まったということで、1.35ドル台に反発しました。
先週(12月7日~)金曜日には、合意なきEU(欧州連合)離脱の可能性が高まり、一時1.3135ドルまで急落していましたが、様変わり。
(出所:IG証券)
しかし、まだFTA(自由貿易協定)合意に至ったわけではないため、英ポンド/米ドルはヘッドラインに振らされ、不安定な動きが続いています。
■米ドル安継続も、大相場は期待できないか
米ドル/円は、103.00円~106.00円のオプションが効いており、過去2カ月ずっとこのレンジ圏内での推移。
(出所:IG証券)
本稿執筆時点(12月17日)では、ポストコロナの来年(2021年)の相場ついて、いろいろと考察がなされています。
参加者の多くの見方は、総じて米ドル安。
ただ、ファンディングカレンシー(調達通貨)である、米ドル/円とユーロ/米ドルに関しては、米ドル安継続という流れの中でも大相場となる期待はなく、当面、米ドル/円は100円~106円、ユーロ/米ドルは1.2000ドル~1.2600ドルという意見が大勢を占めています。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
■鉄鉱石急騰を受けて、豪ドルは上昇継続
そうした中、注目が高まっているのが、このコラムで頻繁に取り上げている豪ドル。
【参考記事】
●注目は豪ドル! 豪ドル/NZドルは、中期で1.15NZドルまで上昇との予測も!!(12月3日、西原宏一)
●コロナショック後の豪ドルは30%超上昇! 2021年の豪ドル/円は、90円を目指すか(12月10日、西原宏一)
今週(12月14日~)、豪ドルと相関性の高い鉄鉱石が底堅いことから、豪ドル/米ドルは、一時0.76ドル近辺まで上昇。豪ドル/円は再び79円に向けて反発しました。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
豪ドルは、金(ゴールド)が上昇していた時は金との相関性が高く、急騰という側面もありましたが、今回は鉄鉱石が急騰すると、相関性の高さを見せて急騰。
(出所:IG証券)
このところの豪ドルの動きは、コモディティ(商品)への追随性、特に鉄鉱石との相関性の高さを再認識する動きとなっています。
■水素燃料絡みの報道は、長期的に豪ドル買い材料に
ただ、今週(12月14日~)、筆者と豪州のアセットマネジメントに勤める友人とのトピックは、水素を介しての日本と豪州の関係について。
少々長期的な話になりますが、豪州と日本が水素燃料の未来に向けて連携を強化という報道が増えてきています。
オーストラリア/日本:水素燃料の未来に向けた連携
2050年までに水素を主要の動力とすることを国家として目指している日本は、その協力をオーストラリアに求めている。
出所:Indo-Pacific Defense Forum
先日来日した、スコット・モリソン豪首相の目的は、菅総理と「中国に対し、日本と連携する」というトピックが主眼だったのでしょうが、この「水素燃料に関しての連携」を確認するという目的もあった模様。
モリソン首相、水素開発で日本と連携強化へ
オーストラリアのモリソン首相は17日、訪問先の東京で、水素をテーマとするラウンドテーブル会議で日本の財界幹部らとの協議に参加し、2050年までの実質排出ゼロを目指す日本との水素開発での連携を確認した。
出所:アジア経済ニュース
グリーン水素に関しては、日経が詳しい記事を出していました。
豪、「グリーン水素」輸出へ 官民で石炭依存脱却
(出所:日本経済新聞)
ここまでの水素の話題は、かなり長期に渡るプロジェクトであるため、直近のマーケットに大きな影響があるわけではありません。
ただ、為替への影響を考えれば、豪州は「水素の生産者」、日本は「消費者」という立場になるため、豪ドル/円の買いということになります。
(出所:IG証券)
グリーン水素の件は、豪州の友人もこれから研究すると言っており、僕もまったくの素人です。
ただ、日本のエネルギー問題のテーマは水素になったようで、その供給者は豪州になるようですので、僕も少しづつ勉強しようと思います。
水素に詳しい方がいれば、ぜひ教えていただきたいですし、読者の方もいっしょに研究していきましょう!
当コラムで過去3回に渡って取り上げてきた豪ドル。
【参考記事】
●2021年はユーロ/豪ドルの動向に熱視線!? 欧米と豪州で新型コロナの感染状況に差(11月26日、西原宏一)
●注目は豪ドル! 豪ドル/NZドルは、中期で1.15NZドルまで上昇との予測も!!(12月3日、西原宏一)
●コロナショック後の豪ドルは30%超上昇! 2021年の豪ドル/円は、90円を目指すか(12月10日、西原宏一)
直近、中国からの需要と思われる鉄鉱石の急騰により、豪ドルも上昇しています。長期目線で見ても、豪州と日本はH2(水素燃料)の未来に向けての連携強化がポストコロナのテーマのひとつになり、結果的に豪ドルの上昇が続くという見方は変わらず。
中国の需要回復による鉄鉱石の上昇、そして、豪州と日本がH2(水素燃料)の未来に向けて連携を強化することも加わり、上昇が続く豪ドルの行方に注目です。
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