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田向宏行
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陳満咲杜さんに聞くCFD取引の真実(2)
なぜ、情報が少ない外国株がいいのか?

2009年11月12日(木)15:04公開 (2009年11月12日(木)15:04更新)
ザイFX!編集部

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※この記事は2009年に公開された記事であり、内容に一部古い情報を含みます


「陳満咲杜さんに聞くCFD取引の真実(1) たった15分で40万円儲けた!」からつづく)

■FXで損してるなら、CFDには手を出すな!

 今までFXをトレードしていた人が、株や商品などのCFDに新たにチャレンジしようとしたら、どんな点に注意したらいいのだろうか?

 「FXをやって失敗して、じゃあCFDをやろうという話をよく聞くんですが、そういう人に対するアドバイスは

『FXで損してるなら、CFDには手を出すな!』です。

 これがダメなら、ほかのことを……という発想自体がとんでもない。企業経営でもそうだけど、日本で食っていけない企業が中国に出て行くとかね、そんなの失敗するに決まってます。何かで失敗した人は大体いつでも失敗するんです。より大きく失敗します。

 さっきも話したけれど、為替のボラティリティなんて小さくてかわいいくらいのもの。為替より株や商品の方がボラティリティは高い。

それをレバレッジをかけて取引するわけだから、リスクコントロールができない人はやってはダメ「陳満咲杜さんに聞くCFD取引の真実(1) たった15分で40万円儲けた!」参照)

 それと、FXは国際的なニュースや経済状況によって動くから難しいという人がいるけれど、株だってニュースやら何やら動く要素はいっぱいあります。商品なんかもっと理不尽な動きをします。株や商品の方が為替よりカンタンなわけじゃない

 とにかく、CFDを甘く見てはいけない。そういったことが痛切に感じられる陳さんの話である。

■トレードがうまくいかないのをギャップのせいにするな!

 では、日経225先物や日経225miniなどの株価指数先物を今までやっていた人がCFDにチャレンジする場合はどうなのだろう?

 「『日経225先物は理不尽なギャップがいっぱい空くから、米国株の指数をやりたいんだけど、どうですか?』という質問もよく受けますね。確かに米国株のチャートの方がギャップがあまり空かずにもう少しスムーズに見えます」

 ギャップとは、チャートのローソク足とローソク足の間にできる空白部分のこと。「窓」ともいう。日本株は前日の米国株の影響を大きく受けるため、たとえば、前日の米国株が暴落した場合、日経平均は前日の終値から大きく下がった価格から始まることがある。このような時に空くのがギャップだ。
(出所:株マップ.com

 けれど、「ギャップは本質的な問題ではない」と陳さんは話す。

 「チャートがスムーズかどうかにちょっとした違いはあったとしても、価格形成の本質は日本株でも米国株でも同じ。自分が損しているのをギャップのせいにするような人は、米国株もやらない方がいい。

 ただ、日本を含め世界の株は米国株の影響を受けていることは確か。

 日本株は外国人投資家の売買が大きな比率を占めていて、その動向に影響されるけれど、米国株の場合、いまだに売買代金の90%以上が米国、つまり自国のものということはある。

 結局、米国株が親で、日経平均などは子ども。親の動き次第で子どもは動く。それなら、直接親の方にアクセスした方がいい——そういう視点をちゃんと持てているなら、CFDで米国株を取引するメリットはあるでしょう」

■NYダウとナスダックは相場のサイクルが違う

 ここで米国株でも米国の株価指数に話を絞ると、代表的な指数としてはNYダウ、ナスダック総合指数、S&P500が挙げられる。これらの特徴、違いを陳さんはどう見ているのだろうか?

 「これは自分の経験、カンですが、ボラティリティが高くて比較的動きが波乱になりがちなのはS&P500とナスダックですね。それに比べるとNYダウはやや緩やかな動き。

 S&P500の先物はミニ先物なども含めて、世界中で一番多くトレードされています。S&P500の方がNYダウよりも米国の投資家の心理状況がより鮮明に反映されていると思いますよ。

 相場のサイクル的なことを言うと、ナスダックは2000年~2002年のITバブル崩壊の時に派手に下落していて、S&P500やNYダウとはかけ離れた動きをしています。相場のサイクルが違うんです。

 だから、今後米国株が下落したとしても、ナスダックは2002年の安値を更新しないでしょう」

■外国株は情報が少ないからこそいい!

米国株などの外国株は日本株に比べると情報が少ない。しかし、トレードする時に、それはデメリットではなく、メリットになると陳さんは言う。
 「日本株だと情報が多いから、そうした情報に基づいて予想して取引しがち。だけど、外国株だと日本で入手できる情報が少なかったり、人によっては情報があっても英語が読めなくてわからないということがある。

 だけど、何もわからないからこそ、ヘンな先入観を持たず、チャートを見たままの取引ができるとも言えます。

 なまじ日本のことだと“わかる気がしてしまう”んですね。民主党政権だとこの株が上がるとかね。そういうのは当たる時もあるけど、はずれることもある。

 そんな自分の予想ではなく、自分が目で見たものを信じて取引した方がいい。情報がないと、損をしている時はものすごく怖いけれど、だからこそさっさと損切りできて、うまくリスクコントロールできるということもありますよ」

■ボラティリティの高さを示すVIX指数とは?

 陳さんは為替でも株でも、テクニカル分析の手法に違いはないという。そんなわけでCFDだからこそオススメのテクニカル指標というものは特にないとのことだが、その代わり、米国のトレーダーがよく見ている短期トレード向けの指標を教えてくれた。

 「一つは最近、日本でも知られ始めたVIX指数。これはボラティリティの高さを示すもの。よく『VIX指数が上がると、株は下がる』などと言われるけれど、必ずしも株が下がるとは限らない。VIX指数はあくまでボラティリティの高さを示すだけです。

 リーマンショック以降、VIX指数は80台といったよう異常な水準まで上がってましたが、今は低下傾向。普通は20~40ぐらいで推移します。

 そして、VIX指数の数値が低ければ、相場は安定している、従って、相場のトレンドが継続しやすい……大まかな見方としては、こうとらえておけばいいでしょう」

 ちなみに、VIX指数は米国ヤフーファイナンスなどで見ることができる(米国ヤフーファイナンスで「^VIX」と入力)。

■過熱の程度がわかるプット・コール・レシオ

 もう一つ、陳さんが教えてくれたのはプット・コール・レシオだ。こちらは日本ではまだあまり知られていない。

 プットとコールはオプションの用語。複雑になるので詳細は略すが、大ざっぱに言えば、これから相場が上がると予想した時に買うのがコール、これから相場が下がると予想した時に買うのがプットだ。

 そして、プット・コール・レシオとは、プットの出来高をコールの出来高で割った数値。陳さんによると、その数値を見る目安は以下のとおりだ。

 プット・コール・レシオ>1 市場のムードはかなり弱気
 プット・コール・レシオ>0.6 市場のムードは弱気
 プット・コール・レシオ<0.5 市場のムードは強気
 プット・コール・レシオ<0.4 市場のムードは過熱気味

 これは短期の逆バリトレードに役立つと陳さんは話す。たとえば、プット・コール・レシオが0.4より小さければ、市場は過熱気味と判断できるので、売りのチャンスをうかがうというわけだ。

 「米国のトレーダーはVIX指数もプット・コール・レシオもよく見ていますし、我々もこれを見ることで、現地の雰囲気を感じることができます。

 先にお話ししたとおり、米国株は米国人中心で取引が行われているわけだから、我々が取引する際は米国人が何を考えて取引しているかを常に理解しないといけない。

 だから、こうした指標を見た方がいいんです」
プット・コール・レシオ(クリックで拡大)

 なお、プット・コール・レシオはシカゴ・オプション取引所(CBOE)の「CBOE Intra-Day Volume」で見ることができる。

「陳満咲杜さんに聞くCFD取引の真実(3) CFDのペアトレードにうまみがあるワケ」へつづく)

(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔)

※この記事は2009年に公開された記事であり、内容に一部古い情報を含みます


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