窮地に立たされるジョンソン英首相。英ポンド/米ドルは1.2000ドルを割り込み急落
みなさん、こんにちは。
現在、英国ではジョンソン首相が窮地に立たされていて、英ポンド/米ドルは1.2000ドルを割り込み急落しています。
(出所:TradingView)
しかし、そうした英国の大規模な政治危機があっても、ユーロ/英ポンドを上昇させるには不十分で、ユーロは買われない展開です。
その要因は、欧州天然ガス価格が再び高騰していること。
(出所:TradingView)
ECB(欧州中央銀行)が徐々にタカ派にシフトしている事もあり、ユーロはもっと強くなってもいいのですが、欧州の天然ガス価格(=オランダTTF天然ガス価格)の高騰もあり、ユーロが軟調に。
ユーロ/米ドルは年初来安値である1.0350ドルを割り込むと、下落が加速し、一時1.0162ドルまで急落。重要な節目のパリティ(=1.0000ドル)割れまであとわずか160pipsにまで迫っています。
(出所:TradingView)
ユーロ/円も140.00円をあっさり割り込み、137.27円まで大きく下落しました。
(出所:TradingView)
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スイスフランは堅調。ユーロ/スイスフランは明確にパリティ割り込む
ただ、弱いユーロに対して買われる通貨は、筆者が数カ月以内で最強通貨になるとしているスイスフラン。
前回のコラムでご紹介させていただいたスイスフランは、今週(7月4日~)も堅調。
【参考記事】
●スイスフラン/円は、1フラン=150円に向けて上昇中! わずか2週間で10円も急騰、逆通貨戦争で最強通貨となったスイスフランを買え!(6月30日、西原宏一)
対円は、今週(7月4日~)のユーロ/円の下落で調整局面ですが、ユーロ/スイスフランは大きな戻しもないまま続落しています。
7月5日(火)に重要なサポートラインであるパリティ(=1.0000スイスフラン)を明確に割り込みましたが、本稿執筆時点では0.9875スイスフランまで続落しています。
(出所:TradingView)
スイスのビッグマックセットは2200円!ヨルダンSNB総裁の通貨高誘導も納得
なぜ、これほどスイスフランが強いのかもう一度確認してみましょう。
現在、米国を筆頭に世界中でインフレが拡大しているのは、多くの報道で知られているところ。
そこで、今回スイスではどの程度、インフレが進んでいるのかチェックしてみました。
筆者の知り合いに有名な画家がいるのですが、先月(6月)、バーゼルに滞在していたので、物価動向を聞いてみました。
なんと、マクドナルドのビッグマックセットが2200円!従業員の時給が2800円というから驚きです。
あまりの高さに、(失礼ではあるのですが…)彼が少々大げさにいってるのかと思い、スイスのマクドナルドの商品価格を調べてみました。
(出所:smood.ch)※1スイスフラン=140円で計算
これを見ると、ダブルビッグマックメニューは15.50スイスフラン。スイスフラン/円を140円として計算すると、2170円になります。一方、日本のダブルビッグマックセットは790円。
2170円(スイス)VS 790円(日本)
これでは、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])のヨルダン総裁がインフレを嫌って通貨高(スイスフラン高)に誘導しようとするのもうなずけます。
加えて、過去10年間に渡る為替介入により、SNBのバランスシートには巨額の外国資産が膨れ上がっています。SNBはバランスシートの保全の意味からも、その外国資産を徐々にマーケットに売り戻すのではないかと報道されています。
これもスイスフラン高要因であるため、こうした報道にも要注意です。
パリティを割り込んだユーロ/スイスフランは、まず0.9500スイスフランがターゲット。とある米銀では、0.9000スイスフラン台前半まで下落するのではないかと予測しているようです。
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米ドル/円は底固め後、早晩137円をブレイクし上昇トレンドに回帰へ
一方、今週(7月4日~)の米ドル/円は、ユーロ/円や豪ドル/円の下落に誘引され、一時134.79円まで下落。
ただ、米ドル/円は米金利のシャドーマーケットの側面もあり、米金利が崩れなければ、米ドル/円の下落も限定的になります。
FRB(米連邦準備制度理事会)の大幅な連続利上げを控えて、米10年債利回りの下値余地も限定的であり、米ドル/円は134.00±1円程度で底固めをした後は、早晩137円をブレイクして、再び上昇トレンドに回帰するのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
7月の本命はパリティを割り込み、0.9000スイスフランへと続落するユーロ/スイスフラン。
そして、米10年債利回りが底固めし、調整後再び137 円ブレイクを目指す米ドル/円の動向に注目です。
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