4月29日の介入額は推定約5.5兆円!
みなさん、こんにちは
前回のコラムで、当局(=日本政府・日銀)の介入は日銀金融政策決定会合後に実施される可能性が高いと書きましたが、4月26日の日銀総裁の会見後の欧米市場では、介入は実施されませんでした。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円が155円に迫る中、為替介入の警戒感が高まる!介入のタイミングは155円ブレイクか日銀会合後が濃厚?規模やタイミング、手法も検証された警戒すべき介入に(2024年4月24日、西原宏一)
日銀が防戦に出ないのを見て、ヘッジファンド勢が動きます。
翌4月29日のアジア市場で米ドル/円はいきなり160.17円まで急騰。
日本円が通貨危機になるのか?と思わせるような勢いで進む円安の中、突然介入が入った模様で、米ドル/円は160円レベルからいきなり154.54円まで急落しました。
(出所:TradingView)
マーケット関係者によれば介入は2回行われた模様で、この時の介入額は推定約5.5兆円。
29日の介入は、EBSという電子ブローキングを多用したとの噂もありましたが、日本の祝日でもあったため実際は海外の銀行を利用しての介入だったようです。
ともあれ、5.5兆円は一日の介入額として十分、29日はもう介入はないとしたマーケット参加者の思惑どおり、NY市場での介入は実施されませんでした。
流動性の薄いマーケットを狙った3回目の介入で米ドル/円は乱高下
しかし、5月2日の日本時間未明、FOMC(米連邦公開市場委員会)が無事終了した時間帯、つまり、シドニー市場だけの流動性に欠けるマーケットで、再び介入が実施された模様。
米ドル/円は157円台ミドルから一気に153.04円まで急落しました。
ただ、前回同様、欧米勢は介入を待っており、彼らのドル買いにより、米ドル/円はあっというまに反発開始。
一時153.04円まで急落したものが、本稿執筆時点で156.00円レベルまで反発して推移しています。
(出所:TradingView)
2日はFOMCが大注目だったのですが、FOMC終了後なんのニュースもない中、当局の介入により米ドル/円が乱高下。
他通貨/円の動向にも大きな影響を及ぼすため、ここで当局の介入は再び行われるのか?それにより、米ドル/円はどの程度の影響を受けるのか?を探ってみましょう。
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神田財務官、マーケットの疑心暗鬼を深める!?
介入においての総額はまだしも、介入の回数はこれまで気にならなかったのですが、イエレン財務長官が「介入は極めてまれで例外的」としているので、今回の介入は何度もできないというのが気になるところです。
マーケット関係者によれば、すでに3回介入を行っているようなので、残りは2回程度。
後はタイミングですが、本日の介入で気になる事が一点あります。
29日の介入は、米ドル/円が160円まで急騰するといった急速にボラティリティ(振れ幅)が高まった局面だったため、介入が入るのは理解できるのですが、問題は本日未明の介入です。
本日のタイミングは、米ドル/円が荒れていたわけでもなく、157円台でもみあっていた程度。
そのタイミングで入ったということは、ボラティリティが高まらなくとも介入はできるというのが注意点でしょうか。
(出所:TradingView)
神田財務官は「為替介入の有無については今、お話できることはない」としているのは、マーケットの疑心暗鬼を深めるためだと想定されます。
つまり、意外なタイミングと時間帯で介入してくることがこれまでとは違う展開であり、介入が効果的になるよう、さまざまなやり方を模索しているといったところでしょう。
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米ドル/円相場は当局VS欧米勢の展開の中、170円へと上昇か?
介入の手法はいろいろあるにせよ、欧米勢は介入による米ドル/円の押し目を待っていることは変わりません。
そのため、介入が行われている間は、米ドル/円は急激に値を下げますが、154円以下は、米系勢、そして中国勢も断続的にドル買いをいれているという噂もあり、徐々に底堅くなっています。
SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])のように通貨高を嫌い、スイスの金利を下げる行動に出れば通貨安(=スイスフラン安)にもなりますが、日銀がハト派なスタンスのまま、当局が何度介入しても、円安の方向を変えるのはかなり困難ではないでしょうか?
(出所:TradingView)
マーケットが期待(懸念ではなく)していた当局による介入がやっと入った形。
一回の介入で4~5円押し下げるので、エントリーするレベルに気をつかいます。高値を追わないで、介入で下がったところを少しずつ米ドル/円のロング(買い)を構築するといったところでしょうか。
このコラムの米ドル/円のターゲットは160円だったのですが、到達してしまったため、次のターゲットは170円となりそうです。
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