今年注目のコモディティであるGoldは年初来で43%急騰! Goldの代替通貨がスイスフラン/円という流れに
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 秋と言えば食欲の秋ですね。最近、松茸ご飯を食べる機会がありました。季節の味覚を楽しむのもこの時期の楽しみです。
MC叶内 いいですね! 私は秋刀魚が好きです。季節の変わり目は食べ物だけでなく、マーケットも変わることがありますね。今週(9月29日~)はどんなイベントが旬になるのか楽しみです。
トレーダー西原 それでは、先週(9月22日~)の振り返りからいきましょうか?
MC叶内 はい、よろしくお願いします。
先週のNYダウは0.15%安とわずかに3週ぶり反落、ナスダック総合指数は0.65%安、S&P500が0.31%安と、いずれも小幅ながら4週ぶりに反落しました。高値更新後の上昇一服という感じです。
足を引っ張ったのはビッグテックの一角で、アマゾンが週間で5%安、メタが4%超安で4週ぶり反落、アルファベットは8週ぶりの反落です。
長期金利の反転上昇の影響とも言われていますが、上昇のスピード調整ともみられます。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が9月23日(火)の講演で、株価水準に対して「高い」と述べていたのは少し気になりました。
先週の日経平均は前週末比309.18円高(+0.69%)の4万5354円99銭と5週連続で上昇しました。TOPIXは+1.25%で2週ぶりの上昇。9月配当権利取りの動きもありバリュー株優位だったせいか、TOPIXのほうが大きめの上昇です。商いをこなしながら堅調な展開でした。ただ、週末は米ハイテク株安を受けて半導体関連株などに利益確定売りが出ました。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 この作戦会議コラムの為替見通しは、金利や株の動向を参考にしており、特に株の動向には注意を払っているため、叶内さんに株の注目点をいつも教えてもらっています。
ただ、為替はコモディティの動きにも連動します。
今年(2025年)注目のコモディティはGold(ゴールド、金)です。
Goldについては、これまで作戦会議でも何度も取り上げてきましたが、いまひとつピンときていない読者の方も多いようなので、あらためてリマインドしておきます。
Goldは年初来で約+43%も急騰しています。

(出所:TradingView)
MC叶内 43%というのは凄まじいですね。
トレーダー西原 年足で見ると、今年は一気に大陽線が立っています。
このGoldの動きが、僕がスイスフランをロングにする材料のひとつにもなっています。
数年前まで、中国に投資する代替通貨が豪ドル/円だったように、Goldの代替通貨がスイスフラン/円という流れになっていると考えています。
マーケットは依然として、米金利低下を筆頭に米ドル安要因が多い状況です。
特に、このGoldの急騰を見ていると、米ドル安スタンスを維持するのは自然に思えます。年初来、主要通貨では米ドル全面安が続いているので、中長期の米ドルはGoldの急騰に連動しているといえます。ただ、短期は別です。
それでは、直近の為替の展望に行く前に、今週のスケジュールと株の注目点をお願いします。
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スイスフラン/円と米ドル/円を押し目買い! 米ドル安調整のトレンドが変わるか、雇用統計や自民党総裁選に注目
MC叶内 はい、今週はイベント満載です。
米国株については、先週のPCEデフレータなどの指標からインフレへの懸念が落ち着いているため、テーマは労働市場となりそうで、今週の雇用関連指標は大きな関心を集めそうです。
9月30日(火)のJOLTS求人件数、10月1日(水)のADP雇用統計に加えて、新規失業保険申請件数や9月ISM製造業指数の内訳の雇用指数などを経て、週末、10月3日(金)に9月雇用統計です。
雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+5万人程度という予想になっています。失業率は横ばい見込み。市場予想より悪い数字だった場合、景気懸念が強まるというより追加利下げ継続の思惑で金利低下、株高の可能性の方が高いと見られています。年内2回の利下げはある程度織り込んでしまっている気もしますが……。金利低下を好感するなら、AI関連、半導体関連が主導する展開となるかもしれません。
米国市場で注意したいのは、9月30日(火)の米政府予算の期限までに議会がまとまらなかった場合、政府機関閉鎖となることです。実体経済への影響はさほどないでしょうが、過去に雇用統計の発表が遅れたこともあり、良い話ではありません。
国内市場は、10月4日(土)に予定されている自民党総裁選の行方をにらんで神経質かもしれません。小泉氏と高市氏が有力候補とされていて、より積極財政派とみられている高市氏が優勢との報道などがあれば、株価には支援材料になるかもしれません。
西原さん、高市さんだと円売りにもなるのですか?
トレーダー西原 基本は高市トレードなので株高・円安ですが、ステマの報道があっても、小泉優勢という報道が多いようですよね。
MC叶内 小泉氏なら農業関連、高市氏なら防衛・原発関連など、物色対象が変わりそうです。
その他、今週は10月1日(水)発表の日銀短観の内容に注目です。日銀のややタカ派なトーンを気にしている市場関係者もいるなか、9月会合の「主な意見」公表が9月30日(火)、内田副総裁が10月2日(木)、植田総裁が10月3日(金)に発言予定があります。
また、9月29日(月)にしまむらなど小売の決算発表が始まります。マクロ統計では意外に良かった個人消費がどう反映されているのか見たいです。仕入れ価格、販売価格にも注目でしょう。そして、製造業の先行指標、安川電機の決算発表が10月3日(金)にあります。
なお、中国は10月1日(水)から国慶節の休暇入りです。
為替市場はいかがですか。
トレーダー西原 前述のように中期はGold高、米ドル安ですが、短期は別です。
先週のマーケットはそうした「Gold高、米ドル安」の思惑とは異なり、米ドル全面高で引けました。
先週の主要通貨の対米ドル騰落率を見てみると、円やニュージーランドドルがもっともも対米ドルで弱含み、スイスフランは相対的に下落が小さい展開。

結果として、スイスフラン/円は史上最高値を更新し、米ドル/円は150.00円に接近する円安相場となりました。
こうした動きを受け、基本米ドル安スタンスを変えていない参加者も、短期の見方を調整しています。
例えば、Bloombergのエコノミストは「Dollar Bear Pause, Not Reversal(ドル安トレンドは一時休止であって反転ではない)」とコメントしています。
Goldが続伸しても、本邦事業法人の米ドル買い需要もあり、米ドル/円の下値は限定的なまま。
基本的にはスイスフラン/円のロングをメインにトレードしているため、米ドル安の調整に伴って米ドル/円が反発してくれるのは好都合。
この米ドル安調整のトレンドが変わるきっかけとなりそうな、週末の米雇用統計と土曜日の自民党総裁選に注目です。
Goldも急騰が激しいので、いったんの調整はあるかもしれませんが、Goldとスイスフラン/円の押し目買いは変わらず。

(出所:TradingView)
米ドル/円も150円が壁になっているので、スイスフラン/円と同じく押し目買いスタンスです。

(出所:TradingView)
トレーダー西原 MC叶内 10月も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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