自民党総裁選で高市新総裁が誕生! 総裁選前は小泉勝利がコンセンサスで米ドル/円は下落した一方、日経平均は最高値更新
西原宏一(以下、トレーダー西原) みなさん、こんにちは。
さすがに秋らしくなってきて、朝晩は冷え込むようになりましたね。先週末は高市新総裁の誕生という大きなニュースがありました。政治の季節の到来を感じます。
叶内文子(以下、MC叶内) こんにちは。そうですね、これからの展開が楽しみです。今週(10月6日~)も皆さまに有益な情報をお届けしたいと思います。
トレーダー西原 では叶内さん、先週(9月29日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 今週もよろしくお願いします。
米国株は堅調な1週間でした。NYダウとS&P500は5日続伸し、過去最高値を更新。NYダウは+1.1%高、S&P500は1.09%高。週末こそ反落しましたが、ナスダック総合指数とフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は10月2日(木)に最高値を更新しています。ナスダック指数は1.32%の上昇でした。
米政府機関の閉鎖で雇用統計など一部の経済指標が発表されていませんが、民間データなど足もとの雇用や生産の指標は弱く、利下げ期待が根強く、買いの手がかりとなっています。
人工知能(AI)への強い期待から、半導体や関連セクターへの買いが続いています。また、この週はトランプ関税への懸念が後退した医薬品セクターの上昇が目立ちました。
ただ、マグニフィセントセブン(※)の一角は上値の重さが顕著で、AI相場への過熱感を指摘する声も聞かれました。
(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)
自民党総裁選前に手控えムードかと思われた日本株も、週後半に米ハイテク株高の流れを受けて盛り返し、日経平均は週末に約1週間ぶりに最高値を更新。終値は前週末比414.51円高(+0.91%)の4万5769円50銭で、6週連続の上昇でした。
一方、TOPIXは58ポイント安(-1.8%)と反落。月末の配当権利落ちや月初の益出し売りなどで、週前半は日経平均も軟調でした。
AI関連では、日立製作所がOpenAIと提携、キオクシアホールディングスや富士通が米エヌビディアと連携など、新たな発表がありました。素材メーカーなどにも動きがあります。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の注目は2つありました。まずは当コラム注目のGold(ゴールド、金)です。
先週の金価格は調整なく続伸。週明けの本日10月6日(月)、1トロイオンス=3900ドルを突破し、過去最高値を更新しました。
米連邦政府機関の一部閉鎖が長引き、安全資産への需要が強まっている展開で、これは米ドル安要因です。
もうひとつは、10月4日(土)の自民党総裁選です。事前予想は小泉さんの勝利で、週末が近づくにつれ「小泉勝利は90%」という報道も目立ち、前日の金曜日(10月3日)には小泉さん勝利がコンセンサスとなり、それを米ドル/円マーケットが織り込みに行く形になりました。米ドル/円は一時146.59円まで大きく下落。
ただ、日経平均は別の動きをしており、日経先物は4万6000円台で引けています。
小泉勝利にかけた空売り勢がかなり増えていたといわれていますが、叶内さん、どう見ますか?
MC叶内 前回総裁選後の急落のイメージもありますし、ヘッジ売りがかなりあったと聞いています。
トレーダー西原 なるほど。
そして、先週土曜日の総裁選では、コンセンサスどおり小泉さんが選ばれて何事もなく今週を迎える——そのはずでしたが、結果は覆り、高市さんが「ガラスの天井(※)を打ち破って」新総裁となりました。
(※編集部注:ガラスの天井とは、性別や人種などを理由として、有能な人物が不当にキャリアアップを阻害されること)
これで今週の相場は大きく動くことになります。
それでは、直近の為替の展望に行く前に、今週のスケジュールと株の注目点をお願いします。
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高市トレードに沿って、米ドル/円、ユーロ/円、日経平均をロング回転! 米ドル/円は152円をうかがう展開に
MC叶内 西原さんがおっしゃるように、週末の自民党総裁選で高市氏が逆転勝利をおさめたことで、週明けの株式市場は大幅高で始まっています。積極財政を期待して、日経平均は4万8000円台に乗せました。

(出所:TradingView)
先物は踏み上げの様相。週末SQを控えて一段と大きな動きになる可能性も残ります。「高市トレード」再始動で、小型原発、防衛関連、サイバーセキュリティ関連が急伸しています。
高まっていた日銀利上げ観測は後退しています。ただ、今のところ出てきた人事案が、幹事長に鈴木俊一さん、副総裁に麻生太郎さん、官房長官に木原稔さん、外務大臣に茂木敏充さんと「いつもの自民党」で、伸び悩むこともありそうで注意しています。
今週、経済指標の発表は日米ともに大きなものはありません。ただし、米国の政府閉鎖が長引けば米国の経済指標発表は延期されますし、解消されれば延期分が発表されるはずです。
国内では、10月6日(月)にさくらリポート(地域経済報告)、10月7日(火)に8月家計調査と景気動向指数、10月8日(水)に8月国際収支と毎月勤労統計(実質賃金)、10月9日(木)に9月景気ウォッチャー調査、9月オフィス空室率と工作機械受注、10月10日(金)に9月企業物価指数、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」結果が予定されています。10月7日(火)に30年債の入札、10月8日(水)に植田総裁の発言機会。10月10日(金)はオプションSQです。
海外では、10月7日(火)に米8月貿易収支とNY連銀インフレ期待指数、10月8日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(9月開催分)、10月9日(木)に米新規失業保険申請件数、10月10日(金)に10月ミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表予定。10月9日(木)にはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言機会があります。
RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])は10月8日(水)に政策金利を発表(西原 利下げが予想されています。100%以上の織り込みです)。
中国は10月8日(水)まで国慶節・中秋節の連休で休場です。
企業決算などでは、10月9日(木)に台湾TSMCの月次売上高が注目。日本の小売企業の決算発表も続きます。10月9日(木)のセブン&アイ、ファーストリテイリング、10月10日(金)の良品計画。ここまでの小売決算では猛暑の影響などがやや気になりました。
小売り関連では、10月1日(水)からの中国国慶節でインバウンド需要の動向が伝わると手がかりになりそうです。
10月10日(金)には半導体関連のローツェ、建機の竹内製作所も決算を予定しています。
なお、ノーベル賞の発表がありますので、物色の手がかりになるでしょう。10月6日(月)に生理学・医学賞、10月7日(火)に物理学賞、10月8日(水)に化学賞、10月9日(木)に文学賞、10月10日(金)に平和賞の受賞者が発表予定です。
為替市場はいかがですか。
トレーダー西原 先週末は小泉さん勝利の確率は9割前後という報道も目立ち、小泉新総裁誕生は既定路線のような雰囲気でした。
金利や為替では、自分たちの情報をもとにコンセンサスとは裏腹なポジションをとってイベントを待つことも多いのですが、選挙は専門外のため、そうしたポジションは取りにくい。
ともあれ、小泉勝利がコンセンサスであれば、先週末はもう少し円高に進んでもよかったのではないかと想定していました。
ただ、日経平均は別。為替が円高にふれる局面があっても、日経平均は米国株を横目に値を上げる展開が続いていました。
そして、高市新総裁誕生という結果に。高市勝利の要因は、麻生さんが高市さん支持に回ったこと。これで高市さんには麻生さんへの「借り」が生まれ、麻生さんは主流派としての権力を維持できることになります。よって、幹事長ポストは麻生派が担うことになります。
視点を相場に戻すと、前述のとおり高市総裁誕生はマーケットの想定外。
今週の米ドル/円相場は152円をうかがう展開になると想定しています。
ただ、昨年(2024年)と比べると高市さんの発言はかなり穏やかになっているため、米ドル/円は高値追いではなく押し目を拾いたいところ。

(出所:TradingView)
一方、Goldの動きから考えれば、他通貨での米ドル売り圧力も強い結果、ユーロ/円、スイスフラン/円は引き続きロング回転で。
高市トレード発進で、週明けの日経平均は4万8000円台へ急騰しています。前述のように日経平均については、空売りがかなり膨らんでいるという報道も多く、想定以上に急騰する可能性もあるため要注意。
高市トレードに沿って、米ドル/円、ユーロ/円、日経平均をロング回転で。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今月も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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