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米ドル/円は介入後に159円台半ばまで戻ったが、すでに流れは変わり、これから円高方向に進むとみる
7月末の日米協調介入があって米ドル/円は大きく反落したが、円安マインドの強さゆえに、いったん159円台半ばまで戻った。「介入は効かない、円安は構造的」といった論調がなお主流のようだが、すでに流れが変わり、これから円高の方向に進んでいく、という筆者従来の主張を再度表明しておきたい。

(出所:TradingView)
言ってみれば、市場における円安マインドは根強いから、介入があってもトレンドを即修正することはできない。より長い視点で言うなら、2011年10月末(円最高値)を起点とした歴史的な円安の流れが、今年(2026年)7月末まで続いてきただけに、日米協調介入があったとはいえ、雄大な円安の流れをすぐには修正できないのが、むしろ自然で当たり前だ。
だからこそ、介入後155.23円から159.57円までのリバウンドだけを切り取って、「介入は効かない」と言うのはナンセンスだ。円安派が切望する160円の大台の回復が見られないこと自体、大きなサインではないかとみる。
米財務省による国債買い戻し増額が、円売り投機筋にとって心理的な大打撃に
さらに、円売り投機筋に心理的な大打撃を与えたのが、8月19日(水)東京時間夜に発表された米財務省による国債買い戻し増額だ。同発表を受けてドルインデックスは急落し、昨日(8月20日)にはいったん98半ばまで下落、米ドル/円もいったん158円の節目手前を試した。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
心理的な大打撃と言うのにも、わけがある。
40億ドル程度の国債買い戻し自体、40兆ドルを超える米国家債務に対してはほんのわずかにすぎないが、金利の上昇を抑制したい一心で、結局、日銀の国債買い入れ増額と同じ手法を取ったところが注目される。
何しろ、これが円売りの動機や根拠として大きくもてはやされてきたのだから、そのまま米ドル売りにも当てはまるはずだ。円売りの「正義」が崩れかけているところだともいえる。
もっとも、国家債務とGDPの比率の絶対値は日本のほうが断然上だが、日本の同比率は低下する傾向にある。それに対して、米国は同比率が上昇する傾向にあり、トランプ政権の再発足以来、米債務の急拡大が懸念されている。
「構造的な円安」の根拠としてよく挙げられてきた債務懸念が、実は米ドル安にも当てはまるはずだ。なぜなら、債務懸念に関してマーケットは答えを出しているからだ。
ソブリンCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という、いわゆる国家の信用に対するマーケットの評価を数値(スプレッド)で表す金融商品があり、スプレッドが高いほどリスクが高いのだが、米国のCDSスプレッドが約34ベーシスポイントであるのに対して、日本は約25ベーシスポイントなので、日本より米国の状況が懸念されているといえる。
だからこそ、「構造的な円安」と言うなら、「構造的な米ドル安」も言えるはずだ。その「構造的な米ドル安」が、米財務省の国債買い入れ増額をもって、さらに裏付けられたわけだ。
日米協調介入の重みを理解できないなら、大きな代償を払うハメに!機軸通貨の発行元である米国の意向に反する行為は成功しない
ゆえに、「緊張の夏」はまだ続いている。
日経新聞などの有力メディアは9月、あるいは10月における日銀利上げの可能性を報道し、2026年年内2回の利上げもあり得る、といった推測も浮上している。いずれにせよ、日銀は従来では考えられないほど、早いベースで利上げしていくと思われる。
無理もない。米財務長官はEU(欧州連合)に事前に相談なく、NY連銀にユーロ売り・円買いの介入を命じたほど、「荒い手法」をもって日本当局に助け舟を出したが、日本のためというよりも米国の利益を守るためというほかあるまい。
ベッセント米財務長官は円安の進行がもたらす通貨や債券危機の可能性、また米債市場にまで連鎖するリスクをはっきり表明し、三村財務官も「日米通貨同盟」とまで言い切ったわけで、これは危機感の表れだろう。
だからこそ、「介入は効かない」と戯言を言って日米当局を舐めてはいけない。日米協調介入の重みを理解できないなら、大きな代償を払うハメになる。
円買い介入自体も実質米ドル売りなので、機軸通貨の発行元である米国の意向に反する行為が成功を収めると思うなら、無知か傲慢か、あるいは両方であると断言できる。
過去2回の日米円買い協調介入はどちらも歴史的な相場の転換点に! 歴史的な円安の行きすぎは正当化できない
実際、円買いかつ日米協調介入は、遡ってみればわかるように、2回しか前例がない。1985年のプラザ合意と、1998年のアジア通貨危機の時の介入だ。どちらも歴史的な相場の転換点となり、その後、円の急騰をもたらした。
もちろん、現在の為替市場はかつてないほどの流動性を有し、また日本はいわゆる「デフレの円高」の段階にないから、協調介入とはいえ、昔のような介入金額では効かない。ゆえに、報道にあった米財務長官のメモが示唆していたように、今回は50億~100億ドルの資金を用意し、投機筋の動きを完全に封じ込む覚悟だったというわけだ。
時代が大きく変わったので、円安傾向自体をいわゆる日米金利差や成長格差から説明でき、また正当化できたとしても、歴史的な円安の行きすぎは正当化できない。だからこそ、日米協調介入は歴史的な蓋然性を有し、効かないと思うほうがおかしい。
なにしろ、日米実質金利差から導かれる米ドル/円の水準は、現在1米ドル=141円程度にすぎない。日本円は1年以上も、金利差からの妥当な水準より極端に過小評価された状態にある。介入があったから円安のトレンドが修正されたのではなく、行きすぎた円安が修正される宿命にあったから、日米協調介入や米国債買い入れ増額が発生したわけだ。
材料はいつも相場の流れの後を追うように発生するもの、これこそ相場の真実である。市況はいかに。













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