■米国の金融引き締めは、まだ先の話
5月18日(木)に、4月26日(火)~27日(水)開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公表されました。
その中で、いわゆる「出口戦略」について話し合われていたことが明らかになっています。
議事録によると、ほぼすべてのメンバーが、正常化への第一歩は「昨年8月に開始したMBS(住宅モーゲージ担保証券)の償還金再投資をやめることである」という考えで一致したということでした。
また、多くのメンバーが「短期金利の誘導目標を引き上げた後に、証券を売却すべき」と主張していることもわかりました。
こうした「出口論」が話し合われたことで、いよいよ金融引き締めが始まるのかというムードが広がりそうですが、そのようになることを意識してか、FOMCでは、出口戦略をめぐる議論は引き締めが「近く必ず始まること」を意味してはいないとも述べて、クギを刺しています。
やはり、住宅市場が依然として低迷していること、景況感がここにきて腰折れしていることなどを心配しているのでしょう。
FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めは、まだ先のことだと考えておきたいと思います。
■対円、対ユーロあたりで、米ドルの戻り売り戦略が有効か
それを踏まえて、米ドルの動向を考えてみましょう。今回はドルインデックスを例にとってみます。
ドルインデックスはここ数年の最安値をつけた後、反転して、一時は76まで上昇していました。しかし、その後はまた少し緩み始めています。

(出所:米国FXCM)
ドルインデックスのMACDを見てみると、5月5日(木)にMACDとシグナルが逆転し、上昇サイクルに入りましたが、その後は2つの線のカイ離が大きくなって「買われ過ぎ」の状態に入っていました。
最近の反落は、このことを反映したものだと思います。
このような前提で考えるとすれば、米ドルのアタマは重そうだということになります。
米ドル/円、ユーロ/米ドルあたりで、米ドルを戻り売りするのが今のところは有効ではないでしょうか?

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円の82円台があれば、そこは売りゾーンとして考えておきたいと思います。
■豪ドルは緩やかに上昇していく展開へ
次に、豪ドルの環境について考えてみたいと思います。
4月27日(水)に、オーストラリアの1~3月期のCPI(消費者物価指数)が発表され、結果は前年同期比で3.3%の増加となりました。
RBA(オーストラリア準備銀行)はインフレターゲット制を採用していますが、その目標値は2~3%ですので、上限を超えてしまったことになります。
そうしたこともあって、RBAは「ある時点での再利上げ」について言及しました。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
RBAは、2009年10月から2010年11月にかけて、7回利上げしてきましたが、インフレ率が低下したこと、利上げで自動車や住宅などの販売が落ち込んできたことなどから、ここ半年ほどは金利を据え置いていました。
しかし、今回のインフレ率の上昇を受けて、これから3カ月以内に再利上げがありそうな気配となってきました。
これは豪ドルの買い材料ではありますが、一方で、景気への影響を考えると、あまり連続して金利を上げていくことには、RBAも慎重になると思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
したがって、豪ドルの上昇スピードは緩やかなものになると考えておきたいと思います。
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