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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

5月以降、米ドルが反発したワケは?
ギリシャ危機は二の次、QE3の有無が重要

2011年06月17日(金)18:47公開 (2011年06月17日(金)18:47更新)
陳満咲杜

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■5月以降、米ドルが反発したワケは?

 為替市場では「米ドル高」が続いている。

 ドルインデックスは6月16日(木)に76をトライし、2010年6月高値から引かれたレジスタンスラインに差し掛かっている。もし、ブレイクすれば、テクニカルの視点では一段の上値余地が広がるだろう。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 米ドルの上昇は対ユーロ、対英ポンドといったところで激しく、対円の値幅は極めて小さい。したがって、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)では円高の方向に振られている。

ドルインデックスがさらに上昇するようなことがあれば、クロス円の円高傾向はしばらく続くと思われる。

 巷では、この米ドルの切り返しはユーロサイドの悪材料、つまり、ギリシャ危機の拡大によるところが大きいとの見方が多いようだ。しかし、筆者は、ギリシャ危機は二の次だと思っている。

 それは、ドルインデックスのチャートをご覧いただければおわかりいただけるだろう。最近のチャートを見れば、やはり、米ドルサイドに相場を動かす要因が集中している

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 ドルインデックスは、5月4日(水)に安値をつけた後に反騰し、年初来の下落トレンドにいったん終止符を打ってから、5月23日(月)には76.36の高値をつけた。

 このような値動きの背景にある最大の要因は、米国の「QE2(量的緩和策第2弾)」の6月終了に備え、年初からずっと米ドルを売ってきたショート筋が終了前に利益確定の買い戻しを行うだろうという、多くの投資家の予測だ。

 このような思惑をもとに、我先に利益を確定しようと米ドルが買い戻されたことから、反転上昇がもたらされたと言える。

「QE2」終了と「QE3」実施の有無が市場のメインテーマ

 ところで、その後に「QE3(量的緩和策第3弾)の可能性あり」といった思惑がマーケットに浸透したことから、米ドルを売ってみたいという市場参加者も多くいた「FRBは麻薬の誘惑から抜け出せなくなる。『QE3』に踏み切る可能性は小さくない!」を参照)

 これは、米ドルが5月23日(月)から6月7日(火)まで、ほぼすべての通貨に対して売り込まれたことから読み取れる。

 だが、この6月7日(火)安値からドルインデックスは切り返している。これは、ウワサされていた「QE3」が実行される可能性が後退したからだ

ドルインデックス 日足(クリックで拡大・再掲載)

(出所:米国FXCM)

 確かに、ギリシャ危機や米国債の債務上限引き上げといった材料は目立つ。しかし、マーケットの本流では、「QE2」の終了と「QE3」実施の有無がメインテーマであり続けていると思う。

 ゆえに、「QE3」に対する思惑が薄れれば、薄れるほど、米ドルの切り返しは鮮明となるだろう

 ちなみに、「QE1(量的緩和策第1弾)」の際には、それが実行されるとドルインデックスが大幅に下落し、終了が近くなると、その約3カ月前に米ドルが底打ちしたという経緯があった。

 今回の「QE2」は6月末に終了となるが、5月に入ってからドルインデックスが底打ちし、反騰しているのはむしろ遅すぎる

 このことからも、「QE3」実行の可能性が消えていないために、市場参加者の多くが「米ドル買い」に慎重になっていた様子がうかがえる。

■QE2終了なら「債券安・株安・米ドル高」となるはず

 そもそも、「QE」と略される量的緩和という名の政策は、難しく聞こえるものの、要するに…

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