ヒルデブランド総裁のマーケットへの宣戦布告により、ユーロ/スイスフランはそれ以降、1.20フランを割り込むことはなく、現執筆時点も1.2080フラン近辺で推移しています。
中期ではわかりませんが、短期的には、ユーロ/スイスフランは1.2000フランを下回ると再び大規模介入が入る可能性が高いため、今のところ、1.2000フランがceilingとなっています。
ただ、ショートカバーの目的以外では、ユーロ/スイスフランを買い上げようという市場参加者は見当たりません。そのため、1000ポイントの急騰劇以降は急伸することもなく、1.20フラン台での神経質な展開が続いています。
その結果、ユーロ/スイスフランのボラティリティ(変動幅)は急落しており、ユーロ/スイスフランは当面1.20~1.23フランの狭いレンジで推移することが見込まれます。
現時点では、ヒルデブラント総裁の目論見どおり、ユーロ/スイスフランは1.2000フランを保っていますが、今後も、その動向に注目が集まっています。
■スイスフランが避難通貨から離脱し、「円」の行方は?
SNBが自国通貨高の阻止に向けて大胆な政策をとったため、一部の海外勢から、「日本の当局も、スイス同様の大胆な円高対策をとるのでは?」といった憶測も飛び出しました。
この件に関しては、五十嵐財務副大臣の「スイスは経済規模が小さく、おのずと金融政策も違う」というコメントが伝えられました。
しかし、この発言は「単独介入の可能性」を否定するものではなく、仮に日経平均株価が急落するようなことがあれば、単独介入が行われる可能性は高いのではないでしょうか?
引き続き、米ドル/円はレンジ相場となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
76.50円よりも下では「介入警戒感」で下げ渋り、78円台では本邦輸出企業の厚い米ドル売りの注文が上値を阻んでいる形です。
米ドル/円は当面、76.50~78.50円のレンジ相場ではないでしょうか?
■マーケットの注目は、ヒルデブラント総裁からトリシェ総裁へ
さて、今後のユーロの行方を占うための重要なイベントであるECB(欧州中央銀行)の定例政策委員会が、日本時間今夜、9月8日(木)に開催されます。
ユーロ圏経済が混迷を深める中、トリシェ総裁が「利下げを示唆するのではないか?」といった憶測が高まっています。
ところが、マーケットでは利下げを織り込む形で、先週よりユーロ/米ドルはすでに下落しています。したがって、仮に利下げを示唆する発言があれば、ユーロは一時的に反発する可能性を想定しておいたほうがよさそうです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ユーロ/米ドルの下落要因の1つであったユーロ/スイスフランの急落劇は、前述のように、ヒルデブラントSNB総裁の強烈な通貨政策により、沈静化しました。
そのため、1.45ドル台から一方的に下落してきたユーロ/米ドルも、9月6日(火)に節目の1.4000ドルを割り込んだ後は、多少落ち着きを見せています。
よって、大きなユーロ安の流れは変わらないと考えていますが、9月8日(木)の会見でのトリシェ総裁のコメントしだいでは、ユーロ/米ドルは大きく反発する可能性も高まっており、要注意です。
トリシェ総裁のコメントに注目ですね。
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