先週のコラムに引き続き、ヨーロッパの話になります(「スイスが大量のフラン売り介入を実施。なぜ、日本は大規模介入ができないのか?」を参照)。
というより、現在は市場の注目がヨーロッパに集中していますので、これを話題にしないわけにはいきません。
■ギリシャ国債の利回りはデフォルトの可能性を示す水準に
まず、状況をお話しましょう。
ギリシャ国債の10年物の利回りは、9月13日(火)時点で21.4%となっており、とうとう20%の大台を超えてきてしまいました。

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さらに深刻なのはより期間の短い国債の利回りで、2年物国債の利回りは前週末より20%以上高い80%台後半まで一時上昇し、1年物の利回りはすでに100%を超えてしまっています。
この水準は、簡単に言えば、ギリシャがデフォルト(債務不履行)を起こす可能性が非常に高いとみんなが感じているということを示しています。
■独副首相が「ギリシャはデフォルトに向かうべき」と発言!
このような混乱のきっかけとなったのが、9月12日(月)に独紙に掲載されたレスラー独副首相兼経済財務相の寄稿でした。
寄稿の中で、レスラー副首相は「もうタブーはない」「秩序だった国家破産の道を用意すべき」と述べて、ギリシャはデフォルトに向かうべきとの衝撃的な発言をしています。
また、9月9日(金)には突然、独出身のシュタルクECB(欧州中央銀行)専務理事が任期途中での辞任を発表しました。
この件に関しては、ECBがイタリアやギリシャの国債を買いすぎていることに対する不満からの辞任ではないかとウワサされています。
かなりきな臭くなってきました。
もともと、ギリシャ以外のEU(欧州連合)諸国の国民から、自らの税金をギリシャ救済のために投入していることに対して、疑問の声があがっていました。それが、ますますエスカレートしているのだと思います。
そもそも放漫運営で破綻の危機に瀕しているギリシャを、何ゆえ自分達の税金で助けなければならないのかと、怒りに似た国民感情が広がっているのではないでしょうか? 状況はさらに厳しくなってきました。
■EU内の銀行に「ギリシャ・ショック」の波が押し寄せている
もう1点の心配材料は、この問題が欧州の金融機関の経営に大きな影響を与えるということです。
9月14日(水)に、有力格付け会社のムーディーズはフランスの第2位と第3位の銀行の格付けをを格下げしました。
国際決済銀行(BIS)の6月の報告によると、フランスの銀行は、日本円にして約4兆3600億円ものギリシャの債権を持っています。
つまり、EU内の金融機関に「ギリシャ・ショック」の波が押し寄せているのです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
欧州の混乱は世界全体に波及しており、株式市場は世界的に低迷し、長期金利(10年物国債の金利)は急低下しています。
そうなると、ユーロ/円だけではなく、全体的に円高が進んでしまうことになります。足元の円高の背景は、ここにあります。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での円買い方針は、まだまだ維持します。
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