みなさん、こんにちは。
■ユーロ圏の混乱が他の通貨にも影響を及ぼし始めた
先週、グローバルマーケットを揺るがしたイタリア国債の急落ですが、その影響が他の欧州諸国へと伝播してきました。
今週に入ると、イタリアのみならず、オーストリア、そしてフランスまでも、国債利回りが急騰しています。
欧州の国債価格の下落が周辺国のみならず、フランスまで及んだことで、ユーロ圏の混迷は深まるばかりです。
このような状況を受けて、ユーロ/円は前回のコラムでご紹介した下値メドである103.40円まで一時下落し、その後もジワジワと100円に向けて値を下げている展開です(「イタリア国債が危険水域に突入!ユーロは年末にかけて100円に向け下落する展開か」を参照)。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
最近では、ユーロ圏の混乱は他の通貨にも影響を及ぼすようになってきました。
■ユーロ圏混乱でも、昨年ほどのユーロ安とはなっていない
今週のユーロを対米ドルで見てみると、11月14日(月)早朝の高値1.3815ドルからスタートし、ジワジワと下値を切り下げています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
11月16日(水)のロンドン市場では、イタリアの10年国債利回りが再び7.00%台に乗せてきたことから、ユーロ売りが加速しました。一時は1.3429ドルまで下落し、対円でも103.40円まで急落しました。
そのような状況で、ECB(欧州中央銀行)がイタリアおよびスペインの国債を積極的に購入したとのウワサがマーケットに流れました。これを受け、ユーロ/米ドルは一気に1.3500ドルまで反発しています。
ところが、ECBが鳴りを潜めると、再びジリ安の展開に移行し、NY市場で格付け会社フィッチの「ユーロ圏の悪影響が米銀行の格付け見通しに脅威をもたらす」 とのコメントが伝えられると、米国株式市場は下げ幅を拡大しました。
連れて、ユーロ/米ドルは再び1.34ドル台前半に反落するという乱高下を演じています。
確かに、ユーロ圏の混乱は通貨「ユーロ」の下落につながっているわけですが、その影響は昨年とは比較にならないほど、今のところは限定的です。
■なぜ、今回の混乱ではユーロ安があまり進まないのか?
昨年は、欧州周辺国の国債価格の下落に連れて、ユーロ/米ドルの下落が加速しました。一時は1.18ドル台まで急落しており、それと比較すると、足元のユーロの下落はかなり限定的です。

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これに関して、ヘッジファンドの友人によれば 今回のユーロ圏の危機における値動きでは、欧州の市場参加者によるレパトリエーション(本国への資金送還)が相場に影響しているとのことです。
そのユーロ買いがユーロ/米ドルの下落を抑制しており、足元のユーロ/米ドルの下落を緩和しているとの見方です。
■リスクアセット通貨は目先、上値の重い展開が予測される
さて、前述した欧州の市場参加者が注目しているのは、むしろ、豪ドルなどのリスクアセット通貨です。
10月後半に1.07ドル台後半まで一時反発していた豪ドル/米ドルですが、ユーロ圏の混迷が増すに連れて急落しています。
今週になって、パリティ(1豪ドル=1米ドル)割れ目前の1.0021ドルまで急落する場面も見られました。

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これは、欧州の投資家がレパトリエーションを行うに連れ、キープしていた豪ドルに利益確定売りを持ち込んだことがその要因の1つとして挙げられています。
加えて、11月は多くのヘッジファンドの決算月となるため、彼らからの豪ドルの利益確定売りも持ち込まれているもようです。
当面は、豪ドルやNZドル/米ドルといったリスクアセット通貨は、上値の重い展開が予測されます。
■英国は追加の量的緩和の可能性が出てきた
一方、今週に入って下落が鮮明になってきたのが英ポンド/米ドルです。
今週の英ポンド/米ドルは1.6100ドル近辺からジリジリと下落する展開で、ユーロ圏の混迷に連れ、上値の重い状況となっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
マーケットで注目されたのが、11月16日(水)の「BOE(英中銀)インフレレポート」でした。
まず、BOEは英国の景気見通しが「著しく悪化した」との見解を示しました。
そして、レポートには「インフレ率がターゲットを大幅に下回る」との文言がありました。これによって「BOEは追加の量的緩和の可能性があることを示唆した」との見方が増え、英ポンド/米ドルは1.5700ドルを一時は割り込みました。
イギリスの景況感悪化と量的緩和観測のもとで、英ポンド/米ドルは12月に向けて下げ幅を拡大し、1.5300ドル近辺まで下落するのではないでしょうか?
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