今回のユーロ圏の危機における値動きでは、欧州の市場参加者によるレパトリエーション(本国への資金送還)が相場に影響しているとのことです。
そのユーロ買いがユーロ/米ドルの下落を抑制しており、足元のユーロ/米ドルの下落を緩和しているとの見方です。
■リスクアセット通貨は目先、上値の重い展開が予測される
さて、前述した欧州の市場参加者が注目しているのは、むしろ、豪ドルなどのリスクアセット通貨です。
10月後半に1.07ドル台後半まで一時反発していた豪ドル/米ドルですが、ユーロ圏の混迷が増すに連れて急落しています。
今週になって、パリティ(1豪ドル=1米ドル)割れ目前の1.0021ドルまで急落する場面も見られました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
これは、欧州の投資家がレパトリエーションを行うに連れ、キープしていた豪ドルに利益確定売りを持ち込んだことがその要因の1つとして挙げられています。
加えて、11月は多くのヘッジファンドの決算月となるため、彼らからの豪ドルの利益確定売りも持ち込まれているもようです。
当面は、豪ドルやNZドル/米ドルといったリスクアセット通貨は、上値の重い展開が予測されます。
■英国は追加の量的緩和の可能性が出てきた
一方、今週に入って下落が鮮明になってきたのが英ポンド/米ドルです。
今週の英ポンド/米ドルは1.6100ドル近辺からジリジリと下落する展開で、ユーロ圏の混迷に連れ、上値の重い状況となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
マーケットで注目されたのが、11月16日(水)の「BOE(英中銀)インフレレポート」でした。
まず、BOEは英国の景気見通しが「著しく悪化した」との見解を示しました。
そして、レポートには「インフレ率がターゲットを大幅に下回る」との文言がありました。これによって「BOEは追加の量的緩和の可能性があることを示唆した」との見方が増え、英ポンド/米ドルは1.5700ドルを一時は割り込みました。
イギリスの景況感悪化と量的緩和観測のもとで、英ポンド/米ドルは12月に向けて下げ幅を拡大し、1.5300ドル近辺まで下落するのではないでしょうか?
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