■ウクライナ問題で円高傾向だが、問題の過大解釈は禁物
先週(3月3日~)は円安の進行で、「円安基調これから定着」といった予測が多かったが、今週(3月10日~)の初めから、むしろ円高傾向に振れてきた。
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昨日(3月13日)、ウクライナ情勢に絡む地政学リスクの再燃で円がさらに買われた。おそらく再度市場センチメントの修正につながっているのではないかと推測できる。
もっとも、ウクライナ問題で相場が振られたことは、典型的な材料の蒸し返しで、材料自体よりもマーケットの解釈のほうが気になる。ウクライナ問題は先週(3月3日~)のように、ショート筋を踏み上げする材料にもなれるし、目下のように相場の過熱感(特に欧米株)から利益確定の材料にもなれる。
この意味では、これからもウクライナ情勢から目を離せないが、同材料を過大解釈すべきではないと思う。
■銅相場の急落はもう少し背景を精査する必要がある
そのほかの材料もしかり。
銅相場の急落で、「中国企業の『銅キャリー・トレード』の崩壊で資金ショート」といった懸念が深まっているが、今さら目新しい話ではない。
(出所:CQG)
一般論として、紙媒体の日本の新聞に大きな見出しで書かれたものは、海外のネタであればどちらかというと終わりに近い状態であり、新しい見聞でないケースは多い(※)。
(※時には日本国内のネタでもそうだ。最近の好例は、あのビットコイン取引所Mt.Gox(マウントゴックス)の倒産であろう。あの企業の倒産なしでは、一時ビットコイン取引の80%のシェアを握る世界最大のビットコイン取引所が日本にあることを、日本のマスコミが報道できただろうか)
中国国内では、銅を担保に資金を調達するのはずいぶん前から行われてきたし、公然の秘密というか、有力な融資手段として定着していた。
筆者の記憶が正しければ、欧米紙も2年前から繰り返しこの問題を指摘してきた。したがって、銅相場の急落で中国企業の資金ショートが仮に大規模に発生してくるとしても、サプライズとは言いにくい。
実際、銅相場を含め、金属マーケットにおける事情は複雑で、なかなか簡単には片づけられない部分が多い。
筆者が知っている限り、一部欧米ヘッジファンドが、中国企業の弱みを発見したごとき大規模な銅の売りポジションを作り、銅価格の下落で中国企業のポジション解消を迫っていたが失敗に終わり、逆に踏み上げられ大損したということがかつてあった。
したがって、今回もどういう事情か、もう少しあとにならないと明らかにならない可能性が大きいので、巷の見方を鵜呑みにすべきではない。
さて、為替相場の話に戻る。要するに…
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