■ユーロ/円は続落、140円台が重くのしかかる
先週(7月6日~)は、各テレビ局が報道特番まで組むほど話題になったギリシャ問題でユーロは揺れましたが、7月2日(木)のコラムでご紹介したようにユーロ/円は続落。
【参考記事】
●ギリシャ国民投票が緊縮財政賛成でもユーロの反発が期待できない理由とは?(7月2日、西原宏一)
Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)懸念を背景に過去3週間、週明けのユーロ/米ドル、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)は、ギャップダウンでスタートし、そのあとはヘッドラインに振り回され、乱高下する展開。
【参考記事】
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しかし、急騰する局面はあるものの、以前のコラムどおり、ユーロ/円は、140円台が想定以上に重くのしかかり、上値は限定的。
【参考記事】
●ギリシャ国民投票が緊縮財政賛成でもユーロの反発が期待できない理由とは?(7月2日、西原宏一)
(出所:米国FXCM)
今週(7月13日~)もギリシャ協議の「合意」という文字が駆け巡ったあと、ユーロ/円は一時的に、137.80円まで急騰しましたが、待ち構えていた市場参加者のユーロ売りにぶつかり、あっという間に136円台に押し戻される展開。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
ギリシャ問題が収束したことによって、ファンディング通貨(※)としてのユーロという役割に戻りつつあることが、ユーロ安の最大の要因。
(※編集部注:「ファンディング通貨」とは資金調達通貨のこと。金利の低い通貨で資金を調達し、金利の高い通貨に交換し、高金利で運用することで利ざやを稼ぐキャリートレードで用いられる)
■機関投資家のリパトリがユーロ/円の上値を重くしている
加えて、もうひとつが日本株のパフォーマンスの良さ。
機関投資家の友人に聞いたところによると、今年(2015年)に入って、ポートフォリオの中の日本株の収益力が際立っているとのこと。
独DAXを筆頭に欧州株絡みのパフォーマンスも悪くはないのですが、今回のようにギリシャ問題が紛糾し、Grexit懸念が出てくると、為替でのヘッジ(※)を考慮せざるを得ないということになります。
(※編集部注:欧州株を単純に買うだけでなく、同時にユーロ売りを行って、ユーロ安に対するヘッジをかけようとすることを指している)
こうした状況下のもとでは、欧州への投資より、許される許容範囲の中で、日本株への配分を増やすほうが効率が良いということになります。
こうしたリパトリエーション(本国への資金還流)フローはユーロ/円の売りとなります。ユーロ/円の上値が重くなっている要因のひとつは、こうした機関投資家のリパトリエーションフローもあると言われています。
■ユーロ/円は130円方向に続落する可能性が濃厚
そして、ユーロ/円の日足チャートをチェックすると、2015年4月14日安値126.08円と6月9日高値141.03円の上昇幅の50%戻しの133円台ミドルがサポートとなっています。
(出所:米国FXCM)
しかし、ECB(欧州中央銀行)トレードの復活と、前述の本邦勢のリパトリエーションの動きを加味すると、ユーロ/円の上値は限定的。よって、ユーロ円は130円方向に続落することが濃厚。
【参考記事】
●ドル/円は125円到達も調整は長引きそう。中国株下落でなぜユーロは上昇するのか?(6月4日、西原宏一)
中期的には、2015年4月14日安値126.08円に向けて下落するのではないでしょうか?
上値のメドが140円から138円へと下がり、下落余地が拡大しているユーロ/円の動向に注目です。
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