■英国国民投票を終え、市場関係者は神経質に
日本時間6月23日(木)~24日(金)に行われた英国民投票の結果を受けて大混乱となった金融市場も、その後は、いったん落ち着きを取り戻していました。
しかし、今週(7月4日~)に入って、米国が独立記念日の休場明けとなった7月5日(火)から再び市場が荒れ模様になってきています。
【参考記事】
●20%近い下落! EU離脱ショックは1日で織り込まれた。もう深追いすべきではない(6月24日、今井雅人)
●英ポンドよりユーロを売りたい理由とは? ユーロ/米ドルはパリティ、対円では100円!?(6月30日、今井雅人)
特に大きなニュースがあったわけではないのですが、市場関係者の多くが非常に神経質になっているために、ちょっとした材料にも敏感に反応してしまう状況にあるということでしょう。
■英国で不動産ファンド凍結。伊の大手銀行に不良債権…
英国では、EU(欧州連合)離脱の決定を受けて、不動産ファンドが凍結状態となっています。
高騰しているロンドンの不動産価値が低下してしまうのでは? との懸念から、いっせいにファンド解約の動きが出てしまったことで、大手の不動産ファンドが次々と解約を停止しました。
約50%の不動産ファンドが凍結された状況となっており、為替市場では英ポンド売りがさらに強まったと言えます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
また、イタリアの大手モンテ・パスキ銀行の不良債権問題も再燃。イタリア政府の救済が不可避となってきている状況に陥っていることも明るみになりました。
このように、国民投票の余波が徐々に広がっています。
■7月14日(木)にBOEが追加緩和実施へ!?
BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])は、混乱を和らげるために追加金融緩和を実施する可能性を示唆しています。
市場では、来週の7月14日(木)にもMPC(英中銀金融政策委員会)で追加緩和が実施されるとの憶測が台頭しています。
カーニーBOE総裁も、「英ポンドは新たな水準を模索することになるだろう」との見解を表明しているほか、5日(火)の記者会見では「英ポンドの下落は輸出企業の支えになる」と発言しており、当局が英ポンド安を歓迎していることもあって、英ポンドにさらなる下落圧力がかかっています。
■英国国内は混乱しているが、株式市場は好調という不思議
しかし、株式市場は金融緩和と英ポンド安を好感して、堅調に推移しています。
英国国内は政治的に混乱しているにもかかわらず、株式市場は好調という不思議な状況となっています。
【参考記事】
●60%上昇!? 英国のEU離脱で暴騰しそうだったCFD銘柄は本当に暴騰したのか?
(出所:CQG)
それに対して、日本の株式市場は冴えません。
(出所:株マップ.com)
元々、市況が良くなかったところに、6月に日銀が追加緩和をしなかったことが、響いた形です。
【参考記事】
●予防線を張らなかった日銀は正直、馬鹿!米ドル/円は一気に100円を狙う展開へ!(6月16日、今井雅人)
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などに株を買わせて、外国への投資を通じ、円安を演出させてきたツケが、今になって回ってきているということです。
前回のコラムでもお話しした…
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