■ジャクソンホールへ向けて調整の米ドル高か
今週(8月22日~)の材料はなんといっても26日(金)のジャクソンホール会合ですよね。
利上げについて、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長がどんな発言をするのか、非常に注目が高まっています。
8月26日(金)にはアメリカをはじめ、欧州各国のGDP改定値も発表されますが、直後にジャクソンホール会合を控えているため、よほどのサプライズでなければ大きく動くとは思えない。
やはり、今週(8月22日~)の注目はジャクソンホール会合ですね。
先週(8月15日~)から、フィッシャーFRB副議長やダドリーNY連銀総裁といった大物FRBメンバーが利上げに前向きな発言をしています。
その2人と大きく食い違うことはイエレンも言わないでしょうから、ジャクソンホールではタカ派的な発言になるのでは…と期待が高まっています。
そのため、週明け、8月22日(月)の米ドル/円は上昇、ユーロ/米ドルは下落し、米ドル高で始まりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 30分足)
■ソロスは金ETF、金鉱株を大処分
先週(8月15日~)、上昇していたユーロ/米ドルですが、サポートだったライン(昨年12月と今年3月の安値で引いたライン)が今度はレジスタンスとなって上値が止められています。
(出所:CQG)
ドルインデックスもサポートラインで下落が止められていて、今週(8月22日~)は調整するのかな?という形。米ドル安がひと段落なのかもしれません。
(出所:CQG)
今週(8月22日~)前半はジャクソンホールに向けた期待もあり、米ドル高が進みそうですね。
また、米ドル/円については、先週末(8月20日)、黒田日銀総裁が産経新聞の単独インタビューで、「(マイナス金利は)さらに引き下げる余地がある」と発言したことの影響もあるのでしょう。
気になるのが、ジョージ・ソロスさん。米国株のプット(売る権利)を積み増していたことが先週(8月15日~)、話題となりました。
それと同時に、実は今年(2016年)前半に買っていた金ETFや金鉱株の大半を6月までに売却しているんです。
株安・金安を見込んでいるということは、裏返せば米利上げが近いと予想しているのかもしれない。利上げなら米ドル高、株安となり、米ドルと逆相関にある金も下がりやすいので…。
(出所:CQG)
でも、米ドル高の材料って利上げくらいですよね。米国は次の利上げが最後の利上げとなる可能性もあり、中期的な米ドル安のイメージは変わらない。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
ソロスさんも米利上げによっていったん金が下がったところで、また買い直すつもりなのかもしれません。
その証拠に全部売ったわけではなくて、一部、ポジションを残していますから。
(出所:CQG)
■9月日銀、FOMCへ向けてドルコールのオプション買い
オプション市場では1カ月物のドルコールオプション(買う権利)が買われています。
1カ月物ということは、9月21日(水)の日銀会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)をカバーできる。
まとめると、今週(8月22日~)はイエレンさんへのタカ派的な発言への期待やオプションの動きもあって、週前半、米ドル/円は99.50円~101.50円程度のレンジで、米ドル高気味に推移するのかなと思います。
米ドル/円は多くの人が下を見ていますし、意外と102円程度まで戻すかもしれないですね。
短期ならロングもいいかもしれません。ただし、上では想定レートを102円に引き下げたトヨタ自動車をはじめ、輸出企業の売りが待ち構えている。
【参考記事】
●株は堅調、ドル/円は上値が重い。弱まる日本株とドル/円の相関、原因は日銀にあり(8月12日、西原宏一)
基本的には米ドル/円の戻り売りは変わらないので、焦らずていねいに戻りを売っていきたい。
ユーロ/米ドルも同様。米ドル高で押し目となったところは買っていこうと思います。
【参考記事】
●長期もみ合いのユーロに反発の兆しアリ! 米利上げ観測後退による米ドル安がカギに(8月18日、西原宏一)
(出所:CQG)
(出所:CQG)
週前半は米ドル高、あとはジャクソンホール次第ですね。今週(8月22日~)は夏休みから帰ってくる参加者も多いでしょうから、新しい流れが出てくる可能性もありそうです。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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