■米ドル/円も50日線をキープ、反落はいったん落ち着く?
同じ視点をもって米ドル/円を点検すれば、おおむね同じ判断をできるかと思う。
米ドル/円は急落してきたが、50日線をなおキープし、また同線を一時下回ったのはあの11月9日(水)のトランプ氏の当選時のみだから、少なくとも現時点で米ドル高基調の終焉と判断するのは性急すぎる。
(出所:Bloomberg)
そして、今となって猫も杓子も米ドル/円の「ダブル・トップ」のパターンを指摘し始めているが、実はRSIを観察する限り、ずいぶん前から「弱気ダイバージェンス」のサインを点灯していた。
(出所:Bloomberg)
そして、2016年12月15日(木)から米ドル/円の調整がすでに始まり、今までもう1カ月以上も続いているわけだから、今さらスピード調整云々は、理屈としては正しくても、タイミングとして遅すぎるわけだ。
RSIの安値レベルを見ればわかるように、足元では2016年11月初頭時点(A)の水準を下回っている。
(出所:Bloomberg)
しかし、米ドル/円は現在114円台だから、当時の102円台より12円以上も高いわけで、足元のRSIの急落が、逆に米ドル/円の反落がいったん落ち着くことを暗示しているのではないだろうか。
いずれにせよ、今回強調しておきたい最大のポイントとは、米ドル全体にしても、米ドル/円にしても、反落自体がスピード調整であるなら、それは今始まったことではなく、2016年12月15日(木)あたりからすでに開始されていたこと、また、もう1カ月以上も続いているから、反落自体が一服してもおかしくないということだ。
■テクニカル上のサインより有効なサインとは?
反面、そうは言っても、目先、必ず底打ちを果たすとは限らない。「トランプ・ラリー」が行きすぎた分、調整も通常より長引く可能性がある。
目先、中立な立場を取り、次のシグナルを待つことが一番賢明であることは言うまでもないが、そのタイミングに関して、もしかしたらテクニカル上のサインよりも、もう1つのサインの方がより有効かもしれない。
それはほかならぬ、風見鶏たちの変節であろう。
つまり、米ドル高、米ドル高と声高に主張する面々が急速に弱気スタンスに転換するとか、また、トランプ氏を礼賛する方々が文句を言い始めたといった時に、再び米ドル高基調へ復帰しやすいのではないだろうか。市況はいかに。
(午後2時執筆)
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