■利上げでもドル安の衝撃、ドルの頭が重いのは仕方ない
こういう状況を反映して、米ドル相場はまったく秩序を失ってしまっています。
現在、米国は利上げモードに入っています。
他の国の金利がまだ低迷し続ける中にあるので、通常であれば、米ドルは上昇していくはずです。しかし、そうはなっていません。
決定的だったのは、先日の3月16日(木)です。FOMC(米連邦公開市場委員会)が0.25%の利上げを実施した直後、利上げにも関わらず米ドルが下落していったのは衝撃でした。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
事前に大手外資系金融機関が「年4回の利上げペース」に速まると市場を煽りすぎてしまったせいであったとしても、利上げをして米ドルが上がらないとなると、他に米ドルを買っていく材料がなくなってしまいます。
それが今のだらだらとした米ドルのジリ貧状態を招いているのでしょう。
【参考記事】
●米利上げ実施。なのにドルは全面安に! 神経質な動きの原因は、トランプ大統領?(3月16日、今井雅人)
現在は米ドル/円の110.00円近辺に日本の年金の米ドル買い注文があり、さらなる下落を止めているようですが、一方でIMM(国際通貨先物市場)通貨先物ポジションを見ると、投機筋の米ドルロングポジションがまったく減っていません。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
個人的には、もう少し米ドルのロングポジションが減少していると思っていたので、意外感が強いです。この状態では、米ドルの頭が重いのは仕方のないことでしょう。
【参考記事】
●トランプ政権への不安がドル/円の重し!? たとえ戻りがあっても、頭は重くなりそう(3月23日、今井雅人)
■ロングが一掃されないと、米ドル反発は起きづらい?
さて、これからですが、米国の次の利上げは数カ月後になると考えられるので、材料にはなりにくいです。
日本は来週(4月3日~)から新年度に入ってくるので、国内機関投資家の新規の海外投資が活発化してくるのではないかという期待感も出てきてはいます。
しかし、ここ数年を見ていると、そうした季節要因はあまり見られません。
そういう環境下において、トランプ政権の舵取りがますます混迷してくると、一層の米ドル安を招きかねません。
米ドル/円は週明け、3月27日(月)に110.116円の安値をつけて以来、何とか下げ止まっているところではありますが、110.00円をいったん割り込んで、市場の米ドルロングが一掃されるようなことがないと、その後の米ドルの反発はなかなか起きづらいのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
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