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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

なぜ英国への投資機運は高まらないのか?
中長期的に英ポンドは続落の可能性高まる

2017年07月13日(木)17:05公開 (2017年07月13日(木)17:05更新)
西原宏一

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■英国への投資機運が高まらず…。英ポンドの見通しは?

 では、中期での英ポンドの動向はどうなのでしょうか?

 先月(6月)からグローバルにはインフレ懸念が台頭しており、利上げ機運が高まっています

 今週(7月10日~)も12日(水)にBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が利上げに踏み切ったことから、加ドル/円が急騰しています。

カナダ政策金利

(BOCのデータを基にザイFX!編集部が作成)

加ドル/円 1時間足
加ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:加ドル/円 1時間足

 英ポンドも一時利上げ機運が高まっていたことや、ユーロ/円の上昇に連れる局面もあるのですが、その流れはなぜか続きません

英ポンド/円 4時間足
英ポンド/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足

 それは欧州と違って、英国への投資機運が高まらないこと。

 米国及び日本の投資家とミーティングをする機会があると、このところ必ず話題になるのが欧州。

 多くの機関投資家は、ギリシャを筆頭に問題が山積みになっていた欧州に対しては、アンダーウェイトの傾向がありました。

 それが今年(2017年)に入ってから欧州全般の景気回復とフランス大統領選を無事に終えたことによりリスク要因が減ったことから、欧州への投資というのがキーワードになっています。

【参考記事】
仏大統領選を無事通過してリスクオン再開。米ドル/円は115円に向けて反発する公算大(4月27日、西原宏一)

■中長期的に英ポンドは続落する可能性が高まる

 ところが、そうした投資家から英国への投資という話題はあまり出てきません。

 Brexit(英国のEU離脱)以降、グローバルな金融機関のロンドンの金融街、シティからの離脱なども現実味を帯び、どちらかというと、資金は英国へというよりも、英国から欧州や米国に流れるほうが目立っています

 これでは、中長期的に英ポンドが反発に転じるよりも続落する可能性のほうが高まっているといえます。

英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足

 欧州の友人の間では、中長期的にはユーロ/英ポンドは極めて安定的に続伸を続けるという意見が、徐々にコンセンサスになりつつあります。

 中長期では、ユーロ/英ポンドの押し目を丁寧に拾っていきたいところ。

ユーロ/英ポンド 日足
ユーロ/英ポンド 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 日足

 ただ、短期では別。

 ECBの緩和解除というのがコンセンサスとなり、ユーロ/円を筆頭としたユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)のロングがコンセンサスとなり、いったん調整に入っているからです。

【参考記事】
日銀は指値オペ実施で口先介入に成功!? ドル/円は目先115円台半ば、年末120円へ(7月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

 この中で注目は、前述の英ポンド/円。

 過去半年以上に渡って148円台のレジスタンスを超えられない英ポンド/円。

 英国への資金流入も減少しており、上値余地が限定的な英ポンド/円の動向に注目です。


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