■レイバーデイ明けで相場のセンチメント変化に注意
みなさん、こんにちは。
早いもので、今年(2018年)も9月に入りました。
カレンダー上ではレイバーデイが終わると、マーケットのセンチメントが様変わりすることもあると言われています。
レイバーデイが終わるということは、サマーバケーションの終了。
同時に、米国の学校は9月から新年度入りするわけで、日本の4月のように、学生のみならず、マーケット参加者は心機一転という時期に入るわけです。
そんな中、今週(9月3日~)、米大手銀行が、「米国株の下落に備えよ」というレポートを出している模様。
米国株の下落に備えよ-ゴールドマンとシティが警戒促す
米国株に対する投資家の楽観が強まる時は、ウォール街からの警告も高まる。
投資家の楽観が年初来最大の下落局面を示唆する水準に達したことから、シティグループは新たな相場下落が待ち構えている可能性があると警戒を促した。一方、ゴールドマン・サックスの強気・弱気相場指数は、バリュエーション(株価評価)の高さや労働市場の引き締まりを追い風に、警戒水準に達した。
出所:Bloomberg
これは、強気相場が終わったことを意味するわけではないようですが、8月には米国株の続伸を受けて、多くのストラテジストが米国株の2018年度末の予想を引き上げていることもあり、レイバーデイ明けの米国株の動向には要注意です。

(出所:Bloomberg)
■米国株が反落すれば、膠着した米ドル/円が動き出すか
振り返れば、これまで上海総合指数が急落しても、米国株には何の影響もありませんでした。
むしろ、米中貿易戦争の勝者は米国であるという意味で、上海総合指数が続落すれば、米国株が続伸するという展開。
それが、前述の記事にありますように、レイバーデイ明けは、米国株も調整に入る可能性も…。実際、あれだけ底堅く推移してきたナスダック総合指数が、今週(9月3日~)は軟調に推移しています。

(出所:Bloomberg)
米国株が反落すれば、米中間選挙を控えて、マーケットのボラティリティが急騰し、膠着している米ドル/円相場が、動意づく可能性が高まります。

(出所:Bloomberg)
為替トレーダー、米中間選挙のヘッジ開始を-BofAストラテジスト
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは、北米の夏が終わりに近づく今こそ、米中間選挙に備え計画を立てるよう、投資家にアドバイスした。
BofAは、11月にかけてドル・円オプション3カ月物のインプライド・ボラティリティー(IV、予想変動率)を保有することを推奨している。11月の中間選挙では、民主党が下院で、また上院でも共和党から過半数を奪回しようとする見通しだ。
出所:Bloomberg
レイバーデイ明けのマーケットのセンチメントの変化には、留意したいところです。
■年初来騰落率プラスのメキシコペソも負け組入り目前
一方、新興国通貨は、今週も続落…。そんな新興国通貨の中で、年初来の対米ドル騰落率が、今なおプラスで推移している通貨が、ただ1つあります。
それは、メキシコペソ。

(出所:Bloomberg)
しかし、メキシコペソも、今や負け組入り目前。
新興市場が次々と危機に揺さぶられ、続落する中、感染被害を受けている展開です。
■上海総合指数は2700ポイントが節目に
そして、資源国通貨である豪ドルの軟調な動きも続いています。
その要因は、豪州の政治的な混乱もありますが、上海総合指数の続落が影響しています。以下は、上海総合指数の週足チャートです。

(出所:Bloomberg)
このコラムで何度かご紹介させていただいていますが、上海総合指数は、下げ幅が20%を超えて弱気相場入り。サポートであった3000ポイントが遠くなり、節目の2700ポイントあたりで、もみあっています。
【参考記事】
●17年間も続いたサポートを割れる寸前! 豪ドルはなぜヤバい?米中貿易戦争が影響?(6月21日、西原宏一)
●2018年前半の為替相場を振り返ろう! 「ローリング・ベア」で弱気相場が継続する?(6月28日、西原宏一)
マーケットのウワサによれば、2700ポイントというレベルは、中国当局が意識しているレベルであり、下げ渋っていると言われています。ただ、米中貿易戦争が激化する中で、上海総合指数の上値は極めて限定的です。
■豪ドルの軟調な動きは継続…
この上海総合指数の続落が豪ドルに大きな影を落とし、豪ドルの下落トレンドは継続。
豪州経済は中国経済にかなり依存していることから、中国経済の失速が豪州経済を低迷させているわけです。
【参考記事】
●米国の対中関税第3弾が今週にも発動!? 米ドル安に誘導したいトランプはどう動く?(9月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
そして、前回のコラムでご紹介させていただいたように、中国や豪州から流出した資金は、米ドルだけではなく、欧州に流れ込んでいる模様。
【参考記事】
●トランプ政権が米ドル安に向けて動く!?欧州通貨上昇。米ドル一人勝ち相場終焉か(8月30日、西原宏一)
つまり、ユーロ/豪ドルは続伸中。

(出所:Bloomberg)
ユーロ/豪ドルについては、豪ドルの要因だけではなく、ユーロ/米ドルが1.1500ドルで底固めをしていることも、上昇に弾みをつける要因となっています。
1.6000豪ドルを回復したユーロ/豪ドルは、本稿執筆時点で1.62豪ドル台を回復。目先のターゲットを1.6600豪ドルに置いています。
投資資金は、スイスにも移動しているようで、スイスフランは対米ドルだけではなく、対豪ドルでも続伸中です。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
この環境下、前述の報道のように、仮に、米国株が調整するようであれば、リスクオフにより、豪ドル/円の下値余地も大きく拡大することになります。
先週(8月27日~)に引き続き、ユーロ/豪ドルは続伸。
米国のレイバーデイ明けの相場のセンチメントが変貌し、株が調整となれば、豪ドル/円も動意づくと想定されます。
引き続き、豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)、ユーロ/豪ドルや英ポンド/豪ドル、豪ドル/スイスフラン、そして、豪ドル/円の動向に注目です。
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