■日本がアイルランドに歴史的勝利! さあサモア戦だ!
2019年9月20日(金)、アジア初開催となるラグビーワールドカップ(W杯)が日本で開幕しました。
開幕カードの対ロシア戦で初勝利を挙げた日本ですが、続く9月28日(土)の対アイルランド戦でも歴史的な勝利を収め、日本中が歓喜に沸いたことは記憶に新しいところです。

上のとおり、ラグビーワールドカップ公式サイトも「日本がアイルランドに大金星」と伝えていますが、「歴史的勝利」「大金星」というふうに表現されるのは、アイルランドがラグビーワールドカップ、今大会優勝候補の一角だからです。
アイルランドのラグビー世界ランキングは9月16日(月)時点で1位、9月23日(月)時点で2位。そんなアイルランドを日本が19対12で初めて撃破したのですから、「歴史的勝利」「大金星」という表現がぴったりのお祭り騒ぎとなったのでした。
そして明日10月5日(土)、日本は対サモア戦を迎えます。がんばれ日本! がんばれブレイブブロッサムズ(ラグビー日本代表の愛称)! サモアに勝って3連勝だ!―――ここまで読んで「ラグビーの話ばかりでFXのことが全然出てこない」「ラグビーとザイFX!は関係ないだろ」と思った方もいらっしゃるかと思います。
実は、ザイFX!とラグビーは深い関係ではないけれど、まったく関係がないわけでもないのです。
そんなビミョーな関係をフルに活かして、明日10月5日(土)の日本対サモア戦を、ひいてはラグビーワールドカップ全体を盛り上げていきたい!
ということで今回は、いろいろな国の通貨の動きをアレコレ追っているザイFX!らしく、ラグビーワールドカップ出場チームの通貨に注目していきたいと思います。
■ザイFX!とラグビーのビミョーな関係って?
先ほど、「ザイFX!とラグビーは深い関係ではないけれど、まったく関係がないわけでもない」と書きましたが、いったいどういうことなのか説明するために思い出していただきたいことがあります。
それが、2019年7~9月にTBSの日曜劇場で放送されたテレビドラマ「ノーサイド・ゲーム」です。
「ノーサイド・ゲーム」はラグビーの国内リーグを舞台としたテレビドラマで、スカッとする痛快な逆転劇が評判を呼び、ラグビーワールドカップ開幕直前に日本中でラグビー熱を高めてくれました。
記者自身も「ノーサイド・ゲーム」のラグビー熱にあてられて、以下のようなツイートをしています。
ノーサイド・ゲーム、アストロンズ君嶋GMの最新改革案に、帝国重工のGMが賛同!
— 藤本康文@ザイFX!編集部 (@fujimoto_zaifx) September 15, 2019
下町ロケットと無人農業用コンバインを帝国重工と完成させた佃製作所。
その佃製作所とトキワ自動車のアストロンズが間接的に関わるなんてニクすぎよ!
ダイヤモンド社傘下のザイFX!も頑張ります(なんとか関わりたい!)
これまでTBSの日曜劇場では、作家・池井戸潤氏の小説「半沢直樹シリーズ」『ルーズヴェルト・ゲーム』『陸王』『下町ロケット』などを原作としたテレビドラマが放送され、「ノーサイド・ゲーム」もまた、池井戸潤氏が2019年6月に書き下ろした同名タイトルの小説が原作となっています。
小説「半沢直樹シリーズ」『ノーサイド・ゲーム』はダイヤモンド社が出版しているのですが、上のツイートでもちょっと触れているとおり、ザイFX!はダイヤモンド社グループ傘下にあるのです。
そんなザイFX!なら、『ノーサイド・ゲーム』に負けないくらい熱くラグビーワールドカップを盛り上げるために、一役買うことができるかもしれない……と考えたわけでした。
■ラグビーW杯出場チームの通貨はFXで取引できる?
それではここからは、今回のラグビーワールドカップ出場チームとその通貨について見ていきましょう。
ラグビーワールドカップの出場チームは全20チーム。このうち、前回のラグビーワールドカップで成績上位だった12チームは予選が免除され、今回のラグビーワールドカップに自動的に出場できることになっています。
残り8チームはヨーロッパ、オセアニア、アメリカ、アフリカ、アジアの各地区予選、地区を超えたプレーオフ、敗者復活予選によって決定されました。
20チームは抽選によってプールA~Dの4つに組み分けされ、各プールの5チームが総当たりするプール戦が行われます。そして、プール戦の成績上位2チームがベスト8として準々決勝に進むことになっています。
そのような開催方式となっている今回のラグビーワールドカップですが、出場する20チームのラグビー世界ランキング、その通貨と国内FX会社での取り扱いについてまとめたのが以下の表です。
チーム | プール | 世界ランキング | 通貨 (通貨記号) |
国内FX会社取り扱い |
日本 | A | 8位 | 円 (JPY) |
〇 |
スコットランド | A | 9位 | 英ポンド (GBP) |
〇 |
アイルランド | A | 4位 | ユーロ (EUR) 英ポンド (GBP) |
〇 |
サモア | A | 15位 | サモアタラ (WST) |
× |
ロシア | A | 20位 | ロシアルーブル (RUB) |
〇 |
イタリア | B | 14位 | ユーロ (EUR) |
〇 |
ニュージーランド | B | 1位 | NZドル (NZD) |
〇 |
カナダ | B | 22位 | カナダドル (CAD) |
〇 |
南アフリカ | B | 5位 | 南アフリカランド (ZAR) |
〇 |
ナミビア | B | 23位 | ナミビアドル (NAD) |
× |
イングランド | C | 3位 | 英ポンド (GBP) |
〇 |
フランス | C | 7位 | ユーロ (EUR) |
〇 |
アメリカ | C | 13位 | 米ドル (USD) |
〇 |
アルゼンチン | C | 10位 | アルゼンチンペソ (ARS) |
× |
トンガ | C | 16位 | トンガパアンガ (TOP) |
× |
ウェールズ | D | 2位 | 英ポンド (GBP) |
〇 |
オーストラリア | D | 6位 | 豪ドル (AUD) |
〇 |
ウルグアイ | D | 18位 | ウルグアイペソ (UYU) |
× |
フィジー | D | 12位 | フィジードル (FJD) |
× |
ジョージア | D | 11位 | ジョージアラリ (GEL) |
× |
※世界ランキングは2019年9月30日(月)時点
※アイルランドには英国領である北アイルランドの選手も参加している
全20チームの通貨はメジャーなものがおおむね網羅されている一方、はじめて名前を聞くような超マイナーな通貨も結構ある印象です。
イタリアとフランスのように同じ通貨を使用しているケースもありますので、全20チームを使用されている通貨の種類に直すと16通貨ということになります。さらに、そのうち、国内FX会社での取り扱いがあるのは9通貨です。
上表にも記載していますが、その9通貨を列挙していくと、日本の円(JPY)、スコットランド、イングランド、ウェールズの英ポンド(GBP)、イタリア、フランスのユーロ(EUR)、ロシアのロシアルーブル(RUB)、ニュージーランドのNZドル(NZD)、カナダのカナダドル(CAD)、南アフリカの南アフリカランド(ZAR)、アメリカの米ドル(USD)、オーストラリアの豪ドル(AUD)ということになります。
上で列挙したなかにアイルランドを入れていないのですが、それはアイルランドに少し特殊な事情があるためです。詳しくは後述しますが、ラグビーのアイルランド代表には英国領である北アイルランドの選手も参加しているのです。アイルランド共和国の通貨といえばユーロ(EUR)なのですが、ラグビーのアイルランド代表という括りにすると、ユーロ(EUR)とともに英ポンド(GBP)も使用されている通貨になるのです。
先に列挙した9通貨のうち、ロシアルーブル以外の8通貨はほとんどのFX会社で取引できるメジャーな通貨です。ロシアルーブルは高金利通貨の1つですが、これまではサクソバンク証券、IG証券など外資系FX会社数社だけで取り扱われていました。ところが、最近になって業界大手の外為どっとコムがロシアルーブルの取扱いを開始するという、やや予想外のニュースがありました。
【参考記事】
●2017年は新興国投資のチャンス到来!? 金利10%以上の通貨を取引できる会社は?
●FXでロシアルーブルやシンガポールドルなど10ペア追加! 公式キャラ誕生記念!?
ちなみに昨年、2018年にロシアで行われたサッカーのFIFAワールドカップには32ヵ国のチームが出場。これを通貨の種類に直すと28通貨になり、うち国内FX会社で取扱いがあったのは13通貨でした。
【参考記事】
●ワールドカップ出場32カ国の通貨を調査! サッカー強豪国の通貨が取引できる口座は?
■ラグビーが強い国のマイナー通貨にある共通点が?
ここまで2連勝して勢いに乗る日本代表ですが、プールAは日本、アイルランド、スコットランドによる3つ巴の様相を呈してきました。
日本がプールAで成績上位2チームに入るには、明日10月5日(土)の対サモア戦で勝利することが前提条件となりつつあるのです。
そんな対戦相手サモアは南太平洋にある島国で、その通貨はサモアタラ(SAT)ですが、サモアタラはさまざまな通貨を取り上げてきたザイFX!でも初登場の通貨です。そして国内FX会社での取り扱いもありません。
サモアタラを含め、ラグビーワールドカップ出場チームの通貨で国内FX会社での取り扱いがないのは、ナミビアのナミビアドル(NAD)、アルゼンチンのアルゼンチンペソ(ARS)、トンガのトンガパアンガ(TOP)、ウルグアイのウルグアイペソ(UYU)、フィジーのフィジードル(FJD)、ジョージアのジョージアラリ(GEL)の7通貨となります。
この中のアルゼンチンペソといえば、2019年8月のアルゼンチン大統領予備選の結果を受けて大暴落したことが話題に。それ以前にも政治・経済基盤の不安定さから何度か暴落したことがあり、そのことはザイFX!でもお伝えしてきました。
【参考記事】
●アルゼンチンでトリプル大暴落! 大統領予備選で野党候補圧勝し、またデフォルト!?
●デフォルト常習犯のアルゼンチンが緊急利上げ連発で政策金利40%に! 一体なぜ?
●市場は混乱、本当に怖いのは通貨安! アルゼンチンペソ暴落はなぜ起こったか?(2014年1月30日、今井雅人)
けれど、アルゼンチンペソ以外の6通貨はマイナー過ぎてこれといった特徴が見つからない……ということで、どう記事をまとめようか、ちょっと困っていたのですが、ラグビーが強い国の通貨という観点から改めて見てみると、サモアタラ、ナミビアドル、トンガパアンガ、フィジードルにある共通点が浮かび上がってきました。
■ラグビーはイングランドから徐々に広がっていった
その共通点にたどり着くために、まずラグビーの起源から確認していきましょう。
ラグビーは1823年、イングランドのパブリックスクール(※)であるラグビー校でフットボール(サッカー)の試合中、ウィリアム・ウェッブ・エリスという少年がボールを抱えたまま走り出したことが起源とされています。
(※パブリックスクールとは13歳~18歳の子供を教育する英国の名門私立学校のこと)
そんなイングランド発祥のラグビーはウェールズ、スコットランド、アイルランドへと広がっていき、それぞれの地域で代表チームが結成されることになりました。そのため、ラグビーにおいて英国代表というチームは存在しません。

(出所:Vecteezy)
そもそも、英国は正式名称を「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」といい、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの地域で構成されています。
ということは、北アイルランドというチームがラグビーワールドカップに出場していてもおかしくなさそうなのですが、実際には出場していません。
なぜかというと、アイルランドが南北に分割された1920年より前からアイルランド代表チームが存在していたため、北アイルランドのラグビー選手はアイルランド代表として出場するからです。つまり、北アイルランドというチームは最初から実在しないのでした。
■ラグビーワールドカップ開催中にブレグジットの可能性も
ここで話を通貨に戻すと、英国であるイングランド、ウェールズ、スコットランドの通貨は英ポンド(GBP)、アイルランド共和国の通貨はユーロ(EUR)であるわけですが、避けては通れない難題にここで直面することになります。それがブレグジット(Brexit、英国のEU(欧州連合)離脱)です。
【参考記事】
●混迷のブレグジット…。短期再開となった英議会でボリス首相が喫した6連敗とは?(9月12日、松崎美子)
●英ポンドは買いか? 売りか? 「合意なき離脱」の可能性は本当にない!?(9月13日、松崎美子)
ブレグジットの期限は本記事を公開した2019年10月4日(金)時点では、2019年10月31日(木)となっていますが、ラグビーワールドカップの優勝決定戦は11月2日(土)に行われます。つまり、ブレグジットの期限延長が決定されなければ、ラグビーワールドカップ開催期間中にブレグジットが実現してしまうのです。
しかも、世界ランキングは2019年9月30日(月)時点でウェールズが2位、イングランドが3位、スコットランドが9位。ウェールズやイングランドは優勝決定戦に進む可能性が高く、自国がブレグジットで大揺れのなか、優勝決定戦を迎えることになるかもしれないのです。
そして、スコットランドではブレグジット後に英国からの独立を問う2度目の住民投票を実施する要求が高まっているようです。
2014年9月に行われた1度目の住民投票では英国からの独立は否決されましたが、2度目の住民投票が実現し、可決されれば、その時は「スコティッシュポンド」のような新通貨が作られるのかもしれませんね。
【参考記事】
●スコットランド独立の可能性が急浮上! 経済への影響は? ポンドは暴落するか?
●ドル/円は108円抜いて続伸する可能性! スコットランド独立なら英ポンドは急落?(2014年9月11日、西原宏一)
さて、イングランドで発祥したラグビーが…
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