■米中の部分合意でリスクオンに
米中が、貿易交渉に関して部分合意をしたことを好感し、株価が堅調に推移しています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
それに伴って、リスクオンの動きから、為替市場では全体的に円安になっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
まだ正式に調印したわけではないので、絶対、大丈夫とは言えませんが、今回は、まず大丈夫だと思います。
【参考記事】
●米中が部分合意へ!? トランプ大統領が米中貿易摩擦のヤバさに気づいた!?(10月11日、今井雅人)
■米ドル/円は110円近くへの上昇も
そうなると、しばらくこの問題に関しての懸念は払拭できるので、リスクオンの雰囲気は当面は続くのではないかと考えています。
ということは、しばらく円安基調が続くということになります。米ドル/円が110円近くまで上昇する可能性も、十分にあると見ています。

(出所:TradingView)
しかし、それは、あくまでも当面だということを忘れてはいけません。
繰り返しになりますが、今回はあくまでも部分合意であり、しかも、これ以上の追加関税を見送るというだけです。
これまで課してきた関税措置は、そのまま続くことになります。ですから、これからが交渉の本番となります。
■いつまでもリスクオンのムードは続かない!?
現状の関税措置を撤廃するためのハードルは、非常に高いと言わざると得ないでしょう。今後の本格的な交渉では、中国政府の国有企業への補助金の問題など、中国の国策に関わるものがテーマになるからです。
これに中国側が応じることは、難しいと思っています。
となると、またどこかで摩擦が激化する可能性も十分あるので、いつまでもリスクオンのムードは続かないということは、頭に入れておく必要があるでしょう。

今井氏は関税措置を撤廃するためのハードルは非常に高く、今後の本格交渉の中でまた米中の摩擦が激化する可能性は十分あると指摘。部分合意によるリスクオンムードはいつまでも続かないと思っておいた方がよいとも…。写真は2019年6月に開催された大阪G20時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
当面は、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での円売りを基本方針としていいと思いますが、期間限定という感覚で見ておく必要があります。
■英国とEUがついに合意!
次に、ブレグジット(英国のEU離脱)の問題です。
英国のジョンソン首相は、10月末のEU(欧州連合)離脱期限を目前に控えて、EUとの離脱協定の修正案に合意をしたと発表しました。
EU側も、サミット(首脳会議)でEU加盟国の首脳が承認したことを発表しています。
この一連の報道を受けて、英ポンドは一時、急騰しました。
【参考記事】
●大きなヤマ場を迎えるブレグジット問題! 「合意あるEU離脱」期待で英ポンド上昇(10月17日、西原宏一)
●合意ある英国のEU離脱は実現するのか? 英ポンド/米ドルの押し目買いに妙味アリ!(10月14日、西原宏一&大橋ひろこ)

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(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 30分足)
もともと、IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ても、投機筋の米ドルに対する英ポンドのショート(=売り)ポジションが、長期間に渡って残っていたので、そのショートカバーが一気に噴出していることが、英ポンドの急騰につながっています。
【参考記事】
●英ポンドは目先調整も、押し目買い方針。今は市場が動意づくまで待つしかないか(9月24日、バカラ村)

※CFTCのデータをもとにザイFX!が作成
■英国議会で承認されるかは不透明
これで、長らく続いたEU離脱を巡るゴタゴタも終わりかというと、そうではありません。
これから、英国議会の承認が必要になるのですが、これがうまくいくのかは、まだ不透明です。

離脱協定の修正案でEU側と合意に至ったジョンソン英首相。しかし修正案が英国議会で承認されるかは、まだ不透明な状態だという (C)Justin Sullivan/Getty Images
ドイツ銀行のストラテジストも、今週末(10月19日)に英国議会で合意が承認される確率は45%として、合意が議会を通過しない可能性のほうが高いと予想しています。
カギを握っている北アイルランドのDUP(民主統一党)も、正式に反対を表明しています。
残された48時間で、説得ができるかどうか…。10月19日(土)に開催される予定の英下院での特別審議の行方を、よく注視しておく必要があるでしょう。
【参考記事】
●英ポンドは1.30ドル? それとも1.15ドル? ここからはオセアニア通貨もおもしろそう(10月15日、バカラ村)
■しばらくは2大テーマを注視する必要あり
現状は、この2つの大きなテーマに注目が集中しているために、他の材料がほとんど無視されているような状況にあります。
米国は、EUとも航空機に関してWTO(世界貿易機関)で争い、関税措置を実施することになりましたが、こちらも今のところ、それほど話題にはなっていません。
しばらくは、上記の2つのテーマをよく見ておくことが大切です。
【参考記事】
●米中が部分合意へ!? トランプ大統領が米中貿易摩擦のヤバさに気づいた!?(10月11日、今井雅人)
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