■安倍首相辞任説!? 海外勢の動きは?
今朝(8月24日朝)、安倍首相が都内の病院へ入ったとのニュースが流れました。先週(8月17日~)に続き、2度目。
先週は「検査のため」、今回は「前回の続き」とのことですが、心配ですね。
台湾メディアをソースにして「8月24日(月)辞任説」が流れ、一部の海外勢は気にしています。
アベノミクスの象徴である安倍さんが退任すれば、円高になりやすくなる。
海外勢はその可能性を考えて円高に備えたオプションを買っていました。
8月15日(土)には、安倍首相と麻生副総理の会談が報じられました。
副総理ということもあり、後任候補との憶測を呼んでいますが、財務大臣として財政規律を重んじる発言が多い麻生さんには「緊縮派」のイメージもあり、マーケットには歓迎されないかもしれません。
■コロナ治療に光明もサプライズとはならず
もうひとつ、今朝(8月24日朝)、注目されたのがトランプ米大統領の会見。
新型コロナウイルスの新たな治療法が米当局に承認されたことを発表しました。
トランプさんは「強力な治療法だ」と話していますが、市場の反応は限定的です。
トランプ米大統領は8月24日(月)朝、新型コロナウイルスの新たな治療法が米当局に承認されたことを発表したが、市場の反応は限定的だと西原氏は指摘 (C)Chip Somodevilla/Getty Images News
表現が大げさすぎるとの指摘もあるようです。
マーケットの反応を見ても、サプライズとなるようなビッグニュースではないようですね。
ワクチンや治療法については期待が高く、織り込まれつつもあるため、ポジティブなニュースには反応しにくくなっているのかもしれません。
先週(8月17日~)の民主党大会に続き、今日(8月24日)からは共和党大会が開催されます。
トランプさんとしては、党大会から勢いをつけていきたいでしょうが、為替市場への影響は限定的でしょう。
市場が注目しているのは8月27日、木曜日に行われるジャクソンホールでのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演です。
8月27日(木)にジャクソンホールで行われるパウエルFRB議長の講演に市場が注目していると西原氏は指摘 (C)Bloomberg/Getty Images News
■パウエル講演、「バーナンキショックの再来」も?
カンザスシティ連銀がジャクソンホールで開催する恒例のシンポジウムですね。
過去には中銀総裁がジャクソンホールでの講演で金融政策の転換を示唆し、市場が動き出したことが何度もありました。
パウエル講演は、日本時間8月27日(木)22時10分から。今回はオンライン開催となり、誰でも視聴できるようです。
FRBが今、金融政策を転換する可能性は低いですが、フォワードガイダンスの強化やYCT(イールドカーブ・ターゲット)などへの期待があるため、裏切られると市場が驚くリスクはありますね。
今年(2020年)のジャクソンホールのテーマは「今後10年の進路:金融政策にとっての意義」。
コロナ禍で各国現状は金融緩和路線でも、10年先を見据えた長期的テーマですので「金融政策の正常化」や「財政健全化」といった話が出てこないとも限りません。
全体像を見ずに、アルゴリズム勢が単語だけを切り取って動くリスクはないでしょうか。
2013年に金融緩和の引き締め方針を示して、株価が暴落した「バーナンキショックの再来」のようなことも想定できます。
特に足もとでは、IMM(国際通貨先物市場)のユーロロングが歴史的な水準まで積み上がっています。
米ドル安に対する調整の動きに要注意ですね。
【参考記事】
●IMMでロングだからこそ、ユーロ/米ドルはロングでOK! 金調整時もほとんど下落せず(8月19日、志摩力男)
●米ドルは戻り売りで!バフェット氏の金鉱株購入は、長期的な米ドル安を見越した動き!?(8月18日、バカラ村)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
■欧州通貨の下落が続くか
先週(8月17日~)は、ユーロだけでなく英ポンドも売られました。
英国とEU(欧州連合)の通商交渉が難航し、英国の首席交渉官は「ほとんど進展がなかった」としています。
こうしたニュースでユーロや英ポンドに利食い売りが入り、米ドル全面高となったことでゴールドも下落を強いられました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
今週(8月24日~)も調整が続くのかどうか。ジャクソンホール次第ではありますが、少なくとも8月27日(木)までは調整しやすいのでしょう。
ただ、すったもんだしても結局交渉がまとまるというのがコンセンサスですし、さらに視野を広げれば、中国の後退で米国は英国との連携を深め、英ポンドは買われるのではないかとイメージしています。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルは0.8000ドルに向けて上昇か。米国に続き、豪州も中国批判を強めるが…(7月30日、西原宏一)
●米ドル安となる環境が完璧に整いつつある! 大統領再選には、対中国強硬姿勢しかない(7月29日、志摩力男)
豪州もその中に入るのでしょうし、「ファイブ・アイズ」(米、英、カナダ、豪州、NZが参加する機密情報共有の枠組み)の枠組みが強まるのかもしれませんね。
ただ、それは長期の話。今週(8月24日~)はユーロや英ポンドを中心に米ドル安の調整が入る可能性がある。
ユーロや英ポンドの売りで考えているのですが、株価も崩れる可能性があり、その時に下げやすいのはドルストレートではなくクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)。
ユーロ/円や英ポンド/円での戻り売りがいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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