■米ドル/円は一時105.76円、米ドルの買い戻し続く
今年(2021年)に入ってから、米ドルの買い戻しが続いており、米ドル/円は105.76円まで上昇、ユーロ/米ドルは1.1952ドルまで下がりました。
(出所:TradingView)
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昨年(2020年)後半は、米ドル安トレンドでしたが、その影響で市場参加者のポジションは、米ドル売りに偏っていました。そこに、米国が実質的なトリプルブルー(※)となったことで、大規模財政出動期待が出て、米長期金利が上昇したため、それが米ドルの買い戻しへとつながっています。
(※編集部注:「トリプルブルー」とは、米大統領が民主党で、さらに上院・下院の両方で、民主党が過半数の議席を占めている状態のこと。現在、上院は民主党・共和党がともに50議席ずつ保有しているが、採決などで賛否が50対50になった場合、副大統領の一票で最終決定することから、実質的に民主党が有利になると考えられる)
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また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、毎回、ハト派な発言をしていますが、現状の金融緩和は続けるものの、さらなる強烈な緩和とはならないため、偏ったポジションの手仕舞いが出やすいものと思います。
【参考記事】
●米ドル/円の切り返しは、ドル買いと連動! 105円台半ばの打診も当然の成り行きと見る(2月5日、陳満咲杜)
■1.9兆ドル規模の経済対策が実現か
米国の追加の経済対策については、これまでは、共和党議員から約6000億ドル規模の案があり、それに対して、バイデン大統領は1.9兆ドル規模としていたため、その規模に関して注目されるところでした。しかし、先週(2月1日~)には、民主党の賛成票だけで成立させることができる予算決議案を可決しました。
これにより、共和党議員の賛成票がなくても、経済対策案を成立させることができるため、1.9兆ドル規模になる期待が高まっています。
まだ、どの程度の規模になるのか、正式には決まっていませんが、バイデン大統領の政策のスタートでもあるため、できるだけ大きな規模で決まるのではないかと思います。
民主党議員による単純過半数獲得で経済対策を成立させることができるようになり、バイデン大統領の提案する1.9兆ドル規模の大型財政出動の実現も現実味を帯びてきている (C)Scott Olson/Getty Images News
いつ決まるのか、に関しては、早くても下院で2週間かかり、その後、上院での審議となるため、今月(2月)末に成立する可能性もあるようです。
これが決まれば、米長期金利は上昇しやすいことになります。
■米長期金利上昇でも、まだ株価は下がらない
米長期金利は、1.00%を超えてからは、そこがサポートとして推移していることもあり、チャートからも上昇の可能性が出ています。
(出所:TradingView)
米長期金利が上昇すれば、米国株などが下がるという懸念もありますが、まだ、株価が下がるには早いように思います。
FRBの金融政策は、長期に緩和的となり、他の主要各国の金融政策もまだ緩和的です。世界中が緩和を続けているのであれば、株式市場では、下がったところで買いたいと考えている人も、まだ多いのではないかと思います。
(出所:TradingView)
■米ドル/円は押し目買い継続。2月は104~107円を想定
そのため、リスク選好になりやすく、米長期金利も上昇となれば、米ドル/円も上昇する可能性があることになります。
今週(2月8日~)も引き続き、米ドル/円は押し目買いで良いのではないかと考えています。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルとNYダウに、非常に高い相関性。0.74ドル付近メドに押し目買い!(2月2日、バカラ村)
●米ドル/円の押し目買い継続! ドル安要因多いのに、米ドル安が進みにくい理由は?(1月26日、バカラ村)
●米ドル押し目買い方針。ドル安を目指さないイエレン新財務長官の手腕にも注目!(1月19日、バカラ村)
ただ、米長期金利の上昇は緩やかであるため、米ドル/円も緩やかにしか上昇しないと思います。
4時間足のMACDは、ダイバージェンスをしており、目先は調整しやすいこともあって、高いところで買わずに、押し目を待って買うのが良いのではないかと思います。
【参考コンテンツ】
●FX初心者のための基礎知識入門:MACD
●FX初心者のための基礎知識入門:ダイバージェンス
(出所:TradingView)
今月(2月)のレンジとしては、104~107円の幅と考えて、押し目買いで、上がれば早めに手仕舞いするような、そんなトレードが良いのではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円は、今週も押し目買いでよさそう。103.20円水準から下がなさそうなワケは?(2月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
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