トルコ8月経済信頼感指数は100.8。トルコ経済に回復の兆しが見えている
トルコの8月経済信頼感指数は0.7ポイント上昇し、100.8になりました。
(出所:TUIK)
経済信頼感指数が100を越えるのは景気に対する楽観的な見方が多くなったことを、100を下回っているのは悲観的な見方が多くなっていることを示していますが、全体の数字だけで実態を把握できないので、セクター別の信頼感指数を見ないといけません。
今回は民間セクター、サービスセクター、小売りと建設業における信頼感指数が上昇しました。8月に唯一下がったのは消費者信頼感指数で、1.6ポイント後退し、78.2となりました。
消費者信頼感指数の悪化が懸念として残るものの、全体としてトルコ経済に回復の兆しが見えているのは明らかです。
米格付け会社のムーディーズは、2021年におけるトルコのGDP成長率予想をプラス5%からプラス6%に引き上げました。
ムーディーズは、2021年にG20諸国のGDP成長率の平均がプラス6.2%となり、2022年にはプラス4.5%になると予想しています。そういう意味では、トルコのGDP成長率はG20の平均といえるでしょう。
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を市場はハト派的と判断。リスク資産は一斉に買われる展開
今週(8月30日~)のトルコリラは、対米ドル・対円で上昇に転じていて、米ドル/トルコリラは8.30リラ水準まで下落し、トルコリラ/円は一時、13.20円を超えました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
先週、8月27日(金)に行われたジャクソンホール会議で、FRB(米連邦準備制度理事会)は、年内のテーパリング(※)を示唆しましたが、ほぼすべてのリスク資産は大きく上昇し、ドルインデックスは下落しました。
(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(出所:TradingView)
これが新興国通貨にとって安心材料となり、トルコリラが買われています。
テーパリングを発表したはずなのになぜ?という疑問を持っている投資家も多いと思いますが、FRBのパウエル議長はジャクソンホール会議でテーパリングを発表したわけではありません。年内にテーパリングを開始するのが適切であると言っただけです。
また、インフレ上昇が一時的だという主張を今回も強調しました。つまり、パウエル議長の「インフレを懸念して早期の緩和縮小に動くべきではない」との考えは変わっていません。市場はこの姿勢を予想よりもハト派的だと判断したので、ドルインデックスが下落し、リスク資産が一斉に買われました。
外国人投資家がトルコ株やトルコ債を大規模購入。市場はFRBのテーパリング見送りにかけている?
年内最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、12月14日~15日に予定されています。それまでに景気が悪化し、インフレ上昇圧力が弱まれば、FRBがテーパリングを見送る可能性が高くなります。市場もそのシナリオにかけているのではないかと考えています。
その象徴のひとつはトルコリラ、それに加え、トルコの株式市場です。先週(8月23日~)、外国人投資家は約2.1億ドルのトルコ株を購入しました。また、トルコ債も同じく約2.1億ドル購入されています。
(出所:TradingView)
日本市場からすると小さな金額ですが、トルコ市場にとっては今年(2021年)1月以来の大規模な純買いになります。
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