注目のFOMCの金融政策は、ほぼ市場が予想していたとおりの決定内容に
12月16日(木)早朝に、米国で注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)が金融政策を発表しました。内容は以下の通りです。
まず、テーパリング(資産購入の段階的縮小)のペースを速め、想定されるテーパリングの終了時期を2022年6月から2022年3月に3ヵ月前倒ししました。
また、FOMCのメンバーが示したドットチャートでは、2022年の利上げ回数が前回の1回から3回に引き上げられました。
2023年は3回の利上げで前回と変わらず、2024年は2回と前回の3回より引き下げられています。
つまり、利上げの時期が早まり、回数も増えると予想しているということになります。
(出所:FRB)
また、声明文では、これまでの「一時的」という表現が削除され、「需給不均衡がインフレの押し上げに寄与し続けた」という表現に変わっています。これは以前、パウエルFRB議長が示したものと同じ内容となっています。
全体的にみると、ほぼ市場が予想していたとおりの決定内容でした。
予想以上の引き締めがなかったことを好感して、株高からの円全面安の流れに
それに対しての市場の反応はと言うと、発表の瞬間こそ一瞬、米ドル高になりましたが、その後、中身がほぼ予想通りということが確認されると、すぐに米ドル高は力尽きました。
その代わりに、予想以上の引き締めがなかったことを好感して、株式市場が上昇する流れに歩調を合わせる形で、円全面安の流れとなっていきました。
米ドル円/も114円台に乗ってきましたし、ユーロ/円や英ポンド/円を中心にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での円安が進みました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)
クロス円が上昇した影響で、ユーロ/ドルや英ポンド/米ドルでは、逆に米ドル安の方向に向かうというねじれ現象も起きています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
オミクロン株の感染拡大が広がっているが、市場への影響は限定的か
さて、その上で、今後の展開について考えてみましょう。
まず、1つ考慮に入れておかなければならないのは、オミクロン株の影響です。
英国では、感染が再拡大していますが、かなりの割合でデルタ株からオミクロン株に置き換わっているとの報道があります。
その他の国々でも、オミクロン株の感染拡大が広がっています。
ただ、やはり重症化については、今のところそれほどでもないという状況に見えます。
その前提に立てば、市場への影響は限定的ということが言えるのではないかと思います。
総合的に考えると、米ドル/円の買いが一番やりやすい。じりじりと115円に向かうか
そうであれば、今後、まだ株高からの円安が進む可能性はあるとは思います。
ただし、ペースは緩やかになると考えています。
また、米ドル相場に関してですが、確かにFOMCが終わってしまったので、今後、新しい材料がなくなってしまいました。
ですから、大きく米ドル高に向かう可能性はやや低くなったような気がします。
ただし、金融の引き締めが米国で先行しているのは、歴然たる事実ですので、米ドル安に向かうことはないと考えています。
そうしたことを総合的に考えると、米ドル/円の買いが一番やりやすいという結論になるということです。
前回、115円を勢いよく上に抜けたような元気はないかもしれませんが、じりじりと115円に向かう展開になると想定しています。
(出所:TradingView)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)