予想を下回った米CPI。専門家が考えている以上にインフレの鈍化が進んでいる
今週(12月12日~)は、今後の金融市場を占うために、非常に重要な週になりました。
今週発表された米国のCPI(消費者物価指数)および、今年(2022年)最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)の中身を確認しながら、今後の展開について考えていきます。
まず米CPIです。12月13日(火)に発表された米CPIは前年比で7.1%と予想の7.3%を下回りました。コア指数なども市場予想を下回っています。
【為替ニュース】【速報】米・11月消費者物価指数は予想を下回り+7.1%
— ザイFX! (@ZAiFX) December 13, 2022
日本時間13日午後10時30分に発表された米・11月消費者物価指数は予想を下回、前
年比+7.1%となった。
【経済指標】
・米・11月消費者物価指数:前年比+7.1%(予想:+7.3%、10月:… #zaifx #fxhttps://t.co/YApMsWc8CR
この結果には2つ注目する点があります。まず1つは、今年の6月に9%以上のピークをつけた後、毎月確実に下がってきているという状況がはっきりしたことです。
そしてもう1つは、前回(予想8.0%のところ7.7%)に続き、今回も事前予想を下回ったということです。
2カ月連続で予想を下回ったということは、専門家が考えている以上にインフレの鈍化が進んでいるということを示しています。
FOMCのメンバーも依然として警戒する姿勢を崩していませんが、実際はかなり安堵しているのではないでしょうか。
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米利上げは後2回で終わる可能性がかなり高い。利上げの終焉が視野に入り、米ドル高には戻らない公算がますます高まった
続いては、FOMCです。私は以前から、12月は0.5%の利上げ、来年(2023年)の2月は0.5%か0.25%、その次は0.25%となり、この辺りまでか、あるいは後1回0.2%利上げかという予想を示していましたが、ほぼこの通りになってきています。
今回の利上げは0.5%でした。そして、来年末の予想中央値が5.1%となりました。また、来年中には利下げはしないというニュアンスの発言も出てきていますので、そうするとターミナルレート(利上げの最終地点)は5%から5.25%の間ということになります。
それでは、これをどう捉えればいいかということですが、まず、今回の米CPIの結果を見る限り、利上げは後2回で終わる可能性がかなり高くなってきたと感じています。
その上で、大事なポイントは、利上げの終焉が視野に入ってきたということです。
以前にもこの話をいたしましたが、この程度の利上げまでは市場はすでに想定しています。多少のずれがあるだけです。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円での米ドル安リスクが、一番高いと言えるワケは? リスクは130円前後。米ドル買いポジションが一番大きく、米国以外の利上げによる、米ドル安圧力を受けるのは日本(12月1日、今井雅人)
そうなると、金利差で米ドルを買っていくというインセンティブはやはり急激に衰えます。ますます、今後米ドル高には戻らないという公算が高まったと見ておくべきでしょう。
米ドル/円は上値が重いレンジ相場に入りそう。137円台が上限、下限は一応134円程度か、もう少し下もありそう
ただ、これで米ドル安に転換するかと言えば、それは時期尚早です。現時点は急激な米ドル高相場が終わり、調整局面に入ってきていると捉えた方がいいと思います。
イメージとしては、若干米ドル安方向へのリスクが大きい状況の中で、米ドルの上値が重いレンジ相場に入ってくるのではないかと予想しています。
米ドル/円はもう137円台が上限になってきているような気がします。下値の方は一応134円程度かと思いますが、ひょっとすると、もう少し下値もある可能性も否定できない状況ではないでしょうか。
(出所:TradingView)
ユーロドルも週足の一目均衡表で雲の下限に近づいてきていますので、取りあえず、1.07ドル台が当面の高値圏になりそうですが、どちらかと言えば下値の方が固い動きをするのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
トレードプランとしては、米ドル/円の戻り売りをここのところ繰り返していますが、これを継続したいと思っています。
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メキシコペソ/円に6.7円ぐらいまでの下落リスク。クリスマスが近づくと段々取引が縮小
個人投資家に人気のあるメキシコペソ/円ですが、米ドル高の終焉と歩調を合わせて、軟調になってきています。6.7円ぐらいまでの下落リスクは意識しておいた方がいいと思います。
(出所:TradingView)
今日は、12月15日(木)ですが、後10日ほどでクリスマスです。クリスマスが近づいてくると段々取引が縮小してきますので、そこは頭に入れておいてください。クリスマス休暇が終わると、また来年に向けて取引が本格化してきます。
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