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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

米ドル/円での米ドル安が顕著なのは、ポジションの偏りに
よるもの! 米CPIの急低下で、米ドル安圧力は当面かかる
が、日銀の政策変更観測は過剰反応で、中期では円安継続

2023年07月14日(金)11:36公開 (2023年07月14日(金)11:36更新)
今井雅人

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米ドル/円が一時145円から137円台にまで急落! 米CPIが低下し、7月FOMC以降は年内据え置きの可能性も出てきた

 米ドル/円が急落しています。一時145円まで到達していましたが、とうとう137円台にまで下落してきました。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 要因は、米国サイドと日本サイド両面から出ています。

 先日発表された、米国のCPI(消費者物価指数)が年率で3.0%の上昇と、予想の3.1%を下回りました。コアのほうも年率4.8%と、こちらも予想の5.0%を下回っています。

米国のCPIは、1年前は9%を超えていましたので、そこから見ると、急激なスピードで下がってきていることが分かります。

 7月25日(火)、26日(水)の、FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%利上げは、依然として確実だと思いますが、それ以降はひょっとすると、年内据え置きという可能性も出てきました。

 こうした状況を受けて、米国の長期金利は急低下。為替市場では米ドル全面安となっています。

 このCPIのインパクトは、今後も市場に影響を与えるかもしれません。

当面、米ドルに対する下落圧力は続く公算が高いと考えておいたほうが良さそうです。

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米ドルに対しての下落は、米ドル/円で顕著だったが、これはポジションの偏りによるもの

 米ドルに対しての下落は、米ドル/円で顕著でしたが、これは、ポジションの偏りによるものです。

 IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ると、ここ数年でもっとも米ドル/円ロングがたまっていたことがわかります。

IMMポジション(米ドル/円)
IMMポジション(米ドル/円)

(詳しくはこちら → IMM通貨先物ポジション/経済指標・政策金利

これがある程度解消するまでは、米ドル/円は頭が重くなると思います。

7月の金融政策決定会合で、日銀が政策を変更するとの憶測は、過剰反応

 さて、もう一方の日本サイドですが、7月の金融政策決定会合において日銀が「政策を変更するのではないか」という観測が出てきていることです。

 きっかけは、7月7日(金)に日経新聞に掲載された、内田日銀副総裁のインタビュー記事でした。

 この中で、YCC(イールドカーブコントロール)に関して「金融緩和を継続するという観点から続けていく」とする一方で、「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、バランスをとって判断していきたい」と話しています。

 この「バランスをとって判断していきたい」という表現が、政策変更をするという意味ではないかという憶測をもたらしました。

 しかし、これは過剰反応だと私は思います。それは前回の政策会合においての、各委員の主な意見を見ればわかります。少し抜粋します。

「先行きの物価見通しなどを踏まえると、現在の金融緩和を継続することが適当」
「企業の賃金・価格設定行動など、ようやく訪れた日本経済の変化の芽を、金融緩和を継続することで、大切に育てていくべきである」
「本年の春季労使交渉では約30年振りの賃上げ率となっている。2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現するためには、現在の金融緩和の継続を通じて、こうした賃上げのモメンタムを支え続けることが重要である」
「中小企業の多くは、価格転嫁継続や輸出拡大等により、賃上げや投資への意欲を高めつつあり、これに水を差すような政策修正は時期尚早である」
「物価の先行きの不確実性は高まっているが、中期的な下方リスクは依然大きいと考えられる。副作用に留意しつつ、金融緩和を続けることが適切である」
「拙速な政策転換によって目標達成の機会を逃すリスクは大きく、引き続き、粘り強く金融緩和を続けることが重要である」
「イールドカーブの歪みの解消が進んだほか、市場機能に改善もみられており、イールドカーブ・コントロールの運用を見直す必要はないと考える」

 このように、どの委員も政策変更は時期尚早と言っています。とても政策変更が検討されているとはどう考えても思えません。

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米ドル/円のポジション調整はもう少しあるかもしれないが、中期的には円安はまだ続く。クロス円の押し目買いのチャンスを狙う

 以上を考えてみると、次のような結論になります。

 「米ドル安圧力は当面かかるし、特に米ドル/円のポジション調整はもう少しあるかもしれない。その影響で、一時的に円高気味になることもあるかもしれないが、日銀の政策変更観測は過剰反応であり、中期的には円安はまだ続く」ということになります。

 米ドル/円の動きを注視しながら、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円などの押し目買いのチャンスを狙っていきます。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足


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