日本とそれ以外の金融政策の違いを織り込み、介入警戒感が広がっていることが、投資家の動きを鈍らせている
この1週間、金融市場ではすっかり風がやみ、凪状態に入ってしまいました。
こういうときもあるかと諦めて、トレードはデイトレぐらいで、ポジションはほとんどとっていません。
1年間のうちには、こういう局面も必ずありますので、ここは焦らず、次の動きをじっと待つことにしています。
こうした状況になっているのは、日本とそれ以外の国との金融政策の違いを背景に進んできた円安の動きも、一応ほぼ織り込んでしまったことが膠着している原因だと思います。
さらに、日本政府からの度重なる円安けん制発言によって、円買い介入に対する警戒感が広がってきていることも、投資家の動きを鈍らせているという面もあると思います。
次のポイントは、今月(7月)25日(火)~26日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)ということになりますので、それまでは難しい相場展開が続くことを、覚悟しておかなければならないなと感じています。
11月のFOMCあがりでの追加利上げの織り込みは3割程度。7月FOMCの声明文やパウエル議長の発言内容に注目
FOMCに関しては、金利先物市場は0.25%の利上げを9割程度織り込んでいます。
7月7日(金)の米雇用統計、7月12日(水)の米CPI(消費者物価指数)でよほど悪い数字が出ない限り、予想どおり0.25%の利上げが実施されると思います。
その先ですが、現在の先物市場は、11月のFOMCあたりでの追加利上げを3割程度織り込んでいますが、ここがどうなっていくかがポイントとなってきます。
そういう意味においては、声明文やパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言内容に注目をしておく必要があります。
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さらなる利上げムードが高まるような発言内容なら、米ドル/円は150円、ユーロ/米ドルは1.06ドル程度に向かいそう
さらなる利上げムードが高まるような発言内容になっていれば、米ドル全面高になり、いよいよ米ドル/円も150円に向かう展開も現実味を帯びてきます。
(出所:TradingView)
また、ユーロ/米ドルのチャートなどを見ると、下に抜けそうな形状をしていますので、ひょっとするとユーロ/米ドルでもユーロ安・米ドル高となり、1.06ドル程度が視野に入ってくるのではないかとも思っています。
(出所:TradingView)
相場が膠着してきたときは、金利を狙うのが常道。メキシコペソ/円でスワップポイントを稼ぐのは有効
こういった状況ですので、FOMCまでは相場は方向感が出せず、膠着状態に入ると思いますが、相場が膠着してきたときは、金利を狙うというのが常道です。
メキシコペソ/円は現在一番堅調に推移していますので、この通貨でスワップポイントを稼ぐというのは有効だと思います。
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(出所:TradingView)
円相場全体が膠着していますが、こうなってくると、日本政府は介入をしづらくなってきますので、膠着すればするほど、金利を稼ぐ手法が効果を発揮してくるということになります。
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少なくとも日本サイドの要因で、円高に転換する可能性は当面ない
足元の相場があまり面白くないので、今回は最後に、植田日銀総裁が現在、何を考えているかを想像してみます。
「黒田総裁から引き継いだものの、まだ政府とも約束している2%の安定的なインフレは実現できているわけではない。また、各国は利上げでインフレ対策をしているので、世界的にインフレが抑制されてくれば、日本の物価上昇もまた鈍化してしまうかもしれない。確かにYCC(イールドカーブコントロール)政策などについては、いつかは廃止しなければいけないが、まだその時期ではなさそうだ。加えて、これからいつ衆議院の解散総選挙があってもおかしくない。下手に政策変更して、株価の暴落を招いてしまうのはまずい。当面は今の政策を継続するしかない」
こんなところだと思います。
であるとすれば、少なくとも日本サイドの要因で、円高に転換する可能性は当面ないということになります。
後は、他の国のインフレがどれぐらい収まってくるのかという点に絞られてくるでしょうから、今後もその動向を注視していきます。
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